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病の謎を解け


「うーん……いくら病気が流行っているからって、これはやりすぎじゃないの?」


 と、防護服を装備したセアンがこう言った。サンライト島には謎の病が発生し、そこに住む人々は苦しんでいた。その島に向かうのだが、病対策で防護服を着ることになっていた。やりすぎと言うセアンに対し、ラージュは真剣にこう言った。


「病がどういうものかはっきりしない以上、ちゃんと守らないとセアンも大変なことになるわよ。苦しい目にあいたくなければ、ちゃんと防護服を着なさい」


「はーい。分かりましたー」


 セアンは返事をし、武器を持って陸に上がった。その後ろには、同じように防護服を着たカイトたちがいた。着陸してしばらく歩いていると、砂浜で倒れているメイトウザン海賊団を見つけた。


「あ! オウサとその部下! こんな所にいた!」


「ちょっと待って、様子がおかしいわ。皆倒れている」


 ライアとケアノスの会話を聞き、ラージュが様子を見に行った。カイトは倒れている部下が不意打ちをするかもしれないと思い、刀を持ってラージュと共に向かった。


「護衛のつもり? ありがと。だけど、奴らは立ち上がる気配はないわ。それをしまって」


「そうか? 演技かもしれないぞ。気を付けないと」


「確かにそう考えるわ。だけど、私が近付いた時に攻撃するため、奴らは魔力を開放すると思うわ。今の奴らは、魔力を出す気配がないし、動く気配もない」


 ラージュはそう言った後、倒れている部下の様子を見た。まずい状況だと把握したラージュは、すぐにカイトにこう言った。


「ニュースで見た症状と同じ。まずいわ、嘔吐物がのどに詰まる可能性があるから、なるべく口の中の物が出しやすい態勢に寝かせて。私が教えるわ」


 ラージュはカイトに指定した態勢で部下を寝かすように指示した後、部下の様子を再び調べた。


「脈は乱れているけど、死にはしないみたい。これだけじゃ分からないわね。一度、町へ向かいましょう」


「こいつらはどうするの? そのままにしておけないよ。ラージュが町に行きたいなら、私がこいつらを見張るけど」


 セアンがこう聞くと、ラージュは考えてこう言った。


「ごめん、言葉に甘えるわ。でも、セアンと誰かが見張っていて。倒れていて何もできないと思うけど、異変があったらすぐに教えて。二人いれば、安心だと思うわ」


「それじゃ、私も残るよ。他の皆で町に向かって」


 と、ライアがそう言った。ケアノスは戦力がなくなるかもしれないと考えたが、何かがあった時に一人よりも二人がいれば大丈夫だろうと思った。


「ええ。分かったわ。お願いね、セアン、ライア。それじゃあ行ってくるわ」


 その後、メイトウザンの見張り役としてセアンとライアを残し、カイトたちは町へ向かった。




 サンライト島にある町、ヒカリゴケ。門番らしき男性も、カイトたちと同じような防護服を着て、門番をしていた。男性はカイトたちの姿を見て、珍しそうにこう聞いた。


「あらま、こんな状況で旅人かい? ニュースを見て知っているかどうか分からないけど、今この島は大変なことになっているよ」


「理解しています。私はラージュ・ピラータ。ピラータ姉妹の一人です。この島の状況を把握して、ここに来ました」


「ピラータ! おお、義賊海賊の美少女姉妹か。でも、こんな島にお宝はないよ。宝探しできたなら無駄足だよ」


「いいえ。宝ではなく、病の謎を解き明かすために来ました。私はこの状況を打破するため、力及ばないと思いますが、手助けに来ました」


 ラージュはそう言うと、門番に事情を説明して町に入れるように頼んだ。門番はすぐに門を開け、カイトたちを町の中に案内した。


「うわ……これは酷い……悲惨だ」


 町の中に入り、カイトが最初に見たのは防護服を着た人。そして、道端に倒れている人。倒れている人の処理をしている人に近付き、カイトは話を始めた。


「あの、この人たちも病で倒れたのですか?」


「ああ。多分、病が流行りだした時からずっと倒れているよ。かわいそうに……もう死んじまっているよ……助けたいって思ったけど……手段がなくてな……悔しいよ……」


「酷い、酷すぎる。いつからこんな状況に?」


「数週間前だよ。突如病が発生した。何にも前触れもなく。そのせいで、大勢の人が倒れた。中には、命を落とした人もいるよ」


 話をする中、突如紫色の煙が現れた。それを見たカイトは、煙の発生源を目でたどった。その先には、山の上にある工場があった。


「あれは? 工場のようですが」


「あの工場はシャケベルトっていう企業の工場だよ。あの山一帯は関係者以外立ち入り禁止だし、一体何をやっているか分からない」


 シャケベルトと言う名前を聞き、カイトはあることを思い出した。たまにテレビのコマーシャルで、シャケベルトが宣伝されているからだ。そのコマーシャルで、シャケベルトの本社工場がここ、サンライト島にあることも思い出した。


「うむ……工場からねぇ……確か、あの会社は車の部品を作ってる有名な会社だけど……怪しい噂がいくつかあるって聞いたわね」


 ラージュは煙を見て、怪しそうに唸った。ケアノスは周囲を見渡し、町の人にこう聞いた。


「今、シャケベルト関係者に会える方法はありますか?」


「いや、ないよ。あの企業の連中、うちらを見下しているのか話をしないし、こちらの意見も耳にしない。自分たちが偉いとでも思っているのだかねぇ? 嫌な連中だよ。本当に」


 町の人の話を聞き、カイトたちはシャケベルトの工場を見つめた。




 シャケベルト工場内。会長であるイックラーが欠伸をしながら秘書に話をしていた。


「おい、さっきニュースでこの島の流行り病のことが流れたぞ。メディアやマスコミのクズ共を抑えていたのではなかったのか?」


「はい。ですが、風の噂みたいな感じでこの島の流行り病の話を聞き、情報を流したのではないかと」


「そうか……上の連中が抑えてなかったから、何も知らないバカな下の連中が勝手にニュースにしたのか……あいつらは数字のために面白おかしくニュースを流すからな。迷惑な連中だ。だからテレビがつまらなくなるのだ」


 イックラーはそう言うと、マスコミ担当の部下が急いで部屋の中に入り、イックラーにこう告げた。


「大変です! 今、入って来た情報によりますと、ピラータ姉妹の海賊船、ヴィーナスハンドが入港したと!」


「何! ピラータ姉妹だと! あの義賊海賊が!」


 セアンたちがサンライト島に到着したと情報が入り、イックラーは慌て始めた。


「まずい、奴らは普通の海賊ではない。ほぼ義賊よりの海賊だ。悪事に手を染める海賊や、企業相手を懲らしめるという話だ。まさか、我が社があれを作っていると知ってここに来たのか?」


「どうしますか? ピラータ姉妹を倒しますか?」


「どうもこうもない。こちらには対抗手段がない。もし、何らかの手段で工場のことを調べようとしたら、邪魔をしろ。いいな?」


「はい。では、早速ピラータ姉妹への妨害を始めてきます」


「頼む。奴らがここに来たらもう終わりだ」


 イックラーは頭を抱えてこう言った。慌てるイックラーの様子を見て、マスコミ担当の部下がこう聞いた。


「あの、どうしてそんなにピラータ姉妹のことを恐れるのですか?」


「奴らは普通の海賊ではない。強さも他の底辺海賊と比べて倍以上あり、船であるヴィーナスハンドも小型ながらも高性能。そして……奴らにはある繋がりがある」


「繋がり?」


「ああ……この世界の海を守る奴らとの繋がりが……」


 と、恐れるようにイックラーは部下に答えた。その答えを聞いた部下は、緊張し始めた。彼もピラータ姉妹のことを知っていたが、自分が知っていることよりも、ピラータ姉妹は強く、恐ろしい存在だと把握した。


 サンライト島での事件で出てくるシャケベルトやイックラーと言う単語は、見た目通り鮭をイメージしました。ですが、適当に考えたので深い意味はないです。


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