ピラータ姉妹VS最強の騎士
ウイークの海賊船でカイトたちの状況を確認していたサディたちだったが、突如カイトとウイークの連絡ができなくなったことを知り、少し慌てていた。
「セアンちゃんたちと連絡できる?」
「何度も通信してるけど、反応なし」
「何かあったかもしれないわね。アホとカイト君は……通信音が入るけど、返事は来ない」
「多分、カイト君とあのアホの方にも何かあったのよ」
話を終えた後、サディは洞窟で何が起きているのか気になり、カイトたちが無事に戻って来ることを祈った。
セアンとライアは魔力を開放し、同時に翡翠の騎士に斬りかかった。翡翠の騎士はセアンを振り払ったが、ライアの斬撃を受けてしまった。だが、翡翠の騎士はライアの斬撃を受けてもダメージがないことを学習し、わざとライアの攻撃を受け続けた。
「こいつ、ダメージがないからって私の攻撃をわざと受け続けてる!」
翡翠の騎士の考えを察したライアは攻撃を止め、勢いを付けて翡翠の騎士に斬りかかった。後ろに飛ばされたセアンはライアが怒っていることを知った。
「ライア! あいつの挑発に乗っちゃダメだよ!」
セアンはこう叫んだが、ライアにこの言葉は届かなかった。ライアは力と魔力を込めて翡翠の騎士にナイフを振り下ろしたが、それでも鎧に傷はできなかった。
「クソッ……」
翡翠の騎士は右手の人差し指をゆっくり左右に振り、右腕のガンドレッドを振るってライアに攻撃した。
「ガッハァッ!」
ライアは後ろの柱に激突し、悲鳴を上げた。セアンはすぐにライアに近付き、様子を見た。
「ライア、大丈夫?」
「な……何とか。いてて……背中が痛い」
痛そうな声を上げながら、ライアはセアンの手を借りて立ち上がった。翡翠の騎士は剣と盾を握り、二人を見ていた。
「あいつ、私たちを舐めてるね。今なら攻撃できるってのに、攻撃しないなんて」
「そうだね。ちょっとイラつく」
「冷静になって、二人とも」
二人が話をする中、ケアノスがやって来た。ケアノスは翡翠の騎士を見て、様子を伺った。
「奴は私たちを見下しているわね。かなりイラッとするけど、そこで我を失ったら奴の思うつぼよ」
「確かに……でも、どうやってダメージを与える? 奴の鎧、かなり頑丈だよ」
「似たような奴と何回も戦ったでしょ? 一か所に集中して攻撃すれば、いずれダメージが通る!」
と言って、ケアノスはレイピアに魔力を込め、力を込めてレイピアを前に着いた。レイピアの刃に込められた刃が飛び出し、翡翠の騎士に命中した。
「セアン! 衝撃波が当たった所を狙って弾を撃って!」
「オッケー!」
セアンはハンドガンを構え、マガジンの中の弾丸を使いきるつもりで発砲した。放たれた弾丸は全てケアノスが放った衝撃波が命中した部分に命中した。だが、セアンとケアノスの攻撃を受けても鎧にダメージはなかった。
「あの攻撃を受けてもダメなの!」
「あいつ……今までの騎士より強い!」
セアンたちは一度後ろに下がって作戦を練ろうとしたが、翡翠の騎士が迫ってきた。
「あいつが来たよ!」
「私が食い止める! ケアノスとライアはどうやって奴にダメージを与えるか考えて!」
セアンが前に出て、翡翠の騎士の攻撃を受け止めた。だが、セアンのカトラスは翡翠の騎士の攻撃を受け止めることができず、勢いに負けてセアンはカトラスを落としてしまった。
「あ、ヤベ」
セアンは急いでカトラスを手にしようとしたが、その隙を狙った翡翠の騎士がセアンに向かって剣を振り上げていた。
「この隙にやるつもりか。そんな手には引っかからないよ!」
翡翠の騎士の頭に狙いを定め、セアンはハンドガンを構えて魔力の弾丸を放った。強烈な魔力の弾丸は翡翠の騎士の頭に命中した。ダメージを与えることはできなかったが、騎士は後ろに下がった。その隙にセアンはカトラスを手にし、後ろに下がった。翡翠の騎士はセアンに狙いを定めて追いかけ始めた。
「私が狙いか」
セアンは翡翠の騎士の狙いになっていることを知り、走り出した。そんな中、大剣を構えたラージュが翡翠の騎士に襲い掛かった。
「ラージュ!」
「援護するわ、セアン」
ラージュはセアンの方を向いてウインクした。セアンは安堵の息を吐いた後、カトラスとハンドガンを構えながら、ラージュに話しかけた。
「ラージュ、アイツにダメージを与える方法って思い浮かんだりしない?」
「今まで戦いの様子を見てたけど、どんな手を使っても傷ができない以上、思い浮かばないわ。ただひたすら、殴るしかないわね」
「それしかないね。さーてと、魔力を開放してやりますか!」
「そうね!」
二人は話をした後、魔力を開放して翡翠の騎士に襲い掛かった。セアンはカトラスを振るい、ラージュは大剣を振り回していたが、二人の猛攻でも翡翠の騎士にダメージはなかった。
「本当に強いわね、この鎧!」
「そうだね。何回も斬ったけど、傷が付かない!」
二人が武器を振り回しながら話をしていると、翡翠の騎士はセアンに向かって剣を突いた。騎士が放った突きはセアンの右肩の下に命中した。セアンが攻撃を受けたと察したラージュだったが、騎士の動きはかなり早く、すぐにラージュの脇腹に剣を突き刺した。
「ガアッ!」
「ウウッ!」
傷を受けた二人は後ろに下がり、傷の手当てをしようと試みた。だが、翡翠の騎士は素早い動きで二人に追撃を放った。追撃を受けた二人は口から血を流し、後ろに倒れた。
「セアン! ラージュ!」
ケアノスは二人に近付こうとしたが、目の前に翡翠の騎士が迫ってきた。
「どきなさい!」
迫った翡翠の騎士に対し、ケアノスは魔力を開放して翡翠の騎士を吹き飛ばした。柱に激突したが、翡翠の騎士はすぐに立ち上がった。
「嘘でしょ、強くぶつかってもピンピンしているだなんて……」
立ち上がる翡翠の騎士を見て、ケアノスは敵がどれだけ強いか察した。
コスタはスナイパーライフルを構え、翡翠の騎士に狙いを定めていた。だが、セアンたちの猛攻を受けてもダメージを受けない騎士を見て、自分の狙撃でもダメージを与えられないと考えていた。
どうすると、コスタは心の中で自問自答を始めた。そんな中、アディがコスタに近付いた。
「ねぇ……あの騎士の鎧や兜に隙間とかないのかな?」
「隙間?」
「うん。もし、中に人がいるとしたら、水や風、それを使えば中に入って何かできるかなって思って……」
アディの言葉を聞き、コスタはあることを考えた。今までの騎士は中に人が入っていた。今回も中に人が入っていたとしたら、ダメージを与えることはできなくても動きを鈍らせる、あるいは動ける範囲を狭めることができるとコスタは考えた。
「ありがとうアディ。いい案が浮かんだわ」
コスタは風の魔力を使って弾丸を作り、翡翠の騎士に向けて発砲した。
「コスタ?」
コスタが発砲したと知ったケアノスは、コスタが放った弾丸の行方を見守った。風の弾丸は翡翠の騎士に向かって飛んだが、接近を察した翡翠の騎士が風の弾丸を斬ってしまった。
だが、これがコスタの狙いだったのだ。
翡翠の騎士によって斬られた風の弾丸は斬られた瞬間に破裂し、緑色の粉末が周囲に待った。その粉末は翡翠の騎士の中に入って行った。
「む? 何だ、今の粉は?」
戦いを見ていたカーキョイは、コスタの弾丸を見て疑問に思った。しばらくして、翡翠の騎士は両膝を地面に着いた。
コスタが作った魔力の弾丸は、麻痺の効能が入っていた。コスタは弾丸を発砲して、鎧に命中してもダメージは受けない。そして、弾丸の接近を察しられて切り落とされる未来が浮かんでいた。なら、魔力で麻痺の効能が入った魔力の弾丸を作り、相手の手で破裂させて麻痺させようと考えたのだ。
「さて……これで時間が稼げるけど……」
コスタの考え通り、翡翠の騎士の動きを封じることができた。だが、いつ麻痺が解けるか分からない。相手が動けない時にこの状況を打破しなければとコスタは思った。
この作品だけではなく、二年前に書いていた小説、幼なじみと一緒に異世界転生でもラストバトルは多数対一の形式が多いです。この戦いの表現が、主人公が戦う奴が滅茶苦茶強いって分かるからかなー? 俺が見てたマンガの章終わりの戦いは、主人交VS強敵なのに。うーむ。ドラ〇エ3をやりすぎたかな?
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