現れるのは愚者
洞窟に入ったギドランド一行だったが、洞窟内に生息しているモンスターに追われていた
「うわあああ! 何だ、このモンスターたちは!」
「皆砂漠に生息しているモンスターたちですよ。図鑑を見なかったのですか?」
「アダルト雑誌だけじゃなくて、図鑑も読んでくださいよ、色欲町長」
連れの二人は文句を言うようにこう言った。だがその時、地面から現れたモグラヘビが連れの一人を飲み込んだ。
「なっ! 嘘だろ!」
部下の一人は相方が命を落としたことを察し、茫然とした。だが、ギドランドは彼の手を引っ張った。
「バカモノ! ここで突っ立っているとお前が死んでしまうぞ!」
「しかし! あいつはまだ死んでは……」
「死んだ! モグラヘビに食べられたのだぞ! 生きているわけがない!」
ギドランドは息を切らせながら走っていたが、突如部下の手を引っ張っている手が軽く感じた。
「あれ? おかしいな……」
ギドランドは後ろを見ると、そこには部下の姿はなく、ギドランドが手にしているのは部下の腕だけだった。その時、口に血が付着したセンアシムカデがギドランドに襲い掛かった。
「ひぇぇぇぇぇ!」
突如現れたセンアシムカデを見て、部下の腕を捨ててギドランドは逃げようとしたが、後ろに下がる途中で転んでしまった。センアシムカデはギドランドに襲い掛かろうとしたが、上にあった大きな岩が落下し、センアシムカデを潰した。
「た……助かった……」
ギドランドは小さな声でこう言ったが、たった数分で二人の優秀な部下を失い、更に岩のせいで外に出られなくなってしまった。
「こんな所で死んでたまるか! できることなら、翡翠を手にして外に出てやる!」
と言って、ギドランドは奥へ向かった。
その頃、セアンたちは休憩していた。
「ふぃー、結構深いね、この洞窟」
「そうね。どこまで続くのかしら?」
セアンとケアノスは周囲を見回しながら話をしていた。コスタはスナイパーライフルの手入れをし、ライアはデザートシャークの干し肉を人数分に切り分けていた。
「はい。デザートシャークの干し肉。今のうちに食べて」
「ほーい」
セアンはライアから干し肉を受け取り、一口で食べた。セアンを見て、ラージュは笑いながらこう言った。
「慌てながら食べないの」
「大丈夫。私は冷静だよー」
と答えながら、セアンは口を動かした。そんな中、周囲に走るような足音が響いた。
「モンスター?」
「いや、モンスターじゃないよ」
セアンは不安そうに尋ねるアディにこう言うと、望遠鏡で奥の方を見た。しばらくすると、ギドランドの姿が見えた。
「あの町長だ。こんな所で何をやっているのかな?」
セアンがこう言うと、サディから連絡が入った。
「もしもし」
「セアン。定期連絡の時間よ。今、そっちの状況はどうなっているの?」
「カイトとウイークが穴に落ちて行方不明」
「そう。カイト君が無事だといいけど」
「カイトは大丈夫だよ。前にも穴に落ちて離れ離れになったけど、生きていたし」
セアンの声を聞き、サディは安堵した。
「それより、今そっちに町長が来ていない? 町の人の話で、そっちに向かったらしいのよ」
「今こっちに来ているよ」
「一人だけ? 話では、二人の部下がいるらしいけど」
「うーん……一人だけで慌てているし……もしかして……」
「嫌なことを考えない方がいいよ。とりあえず、こっちは無事だから。また連絡してね」
「うん。今からあのアホに連絡するね。それじゃ」
連絡を終えた後、セアンはギドランドが来ていることをコスタたちに話し、ギドランドを迎えに向かった。
「やっほー、町長さん。こんな所で何やっているの?」
「ヒッ! な……何だ、お前は酒場にいた子供の……」
ギドランドはセアンの顔を見て、目を丸くして驚いた。
「おっ……お前はピラータ姉妹の!」
「セアンだよ。で、こっちの質問に聞いてよ。何でこんな所にいるの? 翡翠を持ってきたら一千万ネカを渡すって約束でしょ? もしかして、私たちが翡翠をネコババするって思っているの?」
セアンの言葉を聞き、ギドランドは言葉を失った。セアンはため息を吐き、ギドランドにこう言った。
「そんなことを考えて行動したから、二人の部下は命を落としたってわけ? 自分の力を考えて。それと、欲望に身を任すと身の破滅を起こすよ」
「うるさい! 小娘が偉そうに私に説教するな!」
「あんたみたいな強欲野郎がとんでもない目にあったのを、私たちは何度も目を見ているからね。ま、この洞窟に来て何か起きても、なーんにも考えてないあんたの自業自得ってなるかもしれないけどね」
と、セアンはこう言った。ギドランドは歯を食いしばり、黙り込んだ。セアンはため息を吐き、コスタたちの方を振り向いた。
「で、このおっさんどうする? このままほっといても危険だし、連れて行く?」
「そうね。人望なさそうだけど、一応偉い人だから守らないと」
ケアノスの言葉を聞き、ライアが嫌そうな声を上げた。
「私は嫌だよ。何だかスケベそうな顔をしているし、欲が強い奴は性欲も強いよ。きっと隙を見て私たちにエッチなことを……」
「誰がするか! 私が小娘に発情すると思っているのか!」
「うん」
ライアの返事を聞き、ギドランドは呆れた。
「まあいい。この状況だから、私を守ってくれ。金はいくらでも出す」
「いくら出すの?」
と言って、ラージュが近付いた。ギドランドは少し考えた後、うつむいてこう答えた。
「出される額を出す」
「小切手ある? 口約束じゃあ証拠がないから、ちゃんと証拠を残さないとね」
「グッ! うう……」
会話後、ギドランドは一枚のメモを取り出し、ラージュから話をしながら額を決めた。
「ここから脱出した後、このメモを私の秘書に渡してくれ。メモには私の血印があるから、証拠になるだろう」
「交渉成立ね。それじゃ、死にたくなければ私たちの言うことを聞いてね」
「分かった。必ず私を守れ」
話を終えた後、ラージュはセアンたちの元に戻った。話を聞いていたアディはラージュに近付き、こう聞いた。
「いくら出すように言ったの?」
「翡翠と同じ値段。一千万ネカ。恐らくだけど、あの町長には隠し財産があるみたい」
「隠し財産? 僕には何も分からないけど……」
「長年海賊をやっていると、宝の匂いが分かるのよ」
と言って、ラージュはアディに向かってウインクした。
その後、休憩を終えたセアンたちは、洞窟の奥へ向かった。時折モグラヘビやセンアシムカデに襲われたが、対処法を覚えたセアンたちの敵ではなかった。
「ふぃー、一度戦えば結構楽に戦えるねー」
「そうね。モンスターのほとんどは頭がよくないから、戦法を変えないのよ」
「単細胞だからねー!」
と言って、セアンは笑った。そんな中、アディは後ろにいるギドランドを見て、ラージュの方に振り返った。
「あの町長、いちいち悲鳴を上げてうるさい。アディ君は静かなのに、まるで大きなおこちゃまよ」
「私も同じ気持ちよ。でも、ちゃんと守らないといけないわね。お金貰う約束したし」
ラージュはそう答えながら、ため息を吐いた。その時、遠くから羽音を聞いたラージュは大声で叫んだ。
「身構えて! 何か飛んで来るわ!」
「鳥か。いや、かなり大きい!」
セアンはカトラスとハンドガンを持ち、周囲を見回した。しばらくすると、大きなコウモリが現れた。ギドランドはそのコウモリを見て悲鳴を上げ、近くの岩の後ろに隠れた。
「でっかいコウモリ。コウモリか……倒しても調理できないな」
「ライア、そんなことを言っている場合じゃないわ。早くあいつを倒さないと」
ケアノスにこう言われ、ライアはすぐに武器を構えた。アディはコウモリを見て、ラージュにこう言った。
「あいつはヘドロコウモリ。体内に溜めたヘドロを目的に放って攻撃するコウモリだ!」
「汚い攻撃をするコウモリね。さて、ササッとやっつけるわよ!」
ラージュがこう言うと、セアンたちは魔力を開放した。
このあとがきを書いている現在、次の章である話を考え、作っています。次の章はシーポリスが関わり、悪い海賊団とのバトルがメインになります。俺の小説は常に書いている時に自分の中でブームになっている作品などに影響を受けています。次の章で影響を受けたのはジャッキーチェンやブルースリーの映画です。映画みたいなアクションを文章で説明できるか、その辺楽しみにしててください。
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