危険な牛のモンスターとの遭遇
カイトとウイークはセアンたちの魔力を感じ、話をしていた。
「セアンたちが何かと戦っているみたいだ」
「無事だといいけど。砂漠には、毒を持った危険なモンスターがいるからな」
「毒! ラージュが解毒剤を持っているといいけど……」
と言って、カイトはセアンたちの無事を願った。そんな中、ウイークは奥から聞こえる音を聞き、カイトにこう言った。
「逃げろ! 何かがこっちに来ている!」
「なっ!」
カイトはウイークと共に、通路の端に移動した。すると、大きな黒い牛が突っ込んで来た。大きな黒い牛はそのまま通り、遠くへ行ってしまった。
「何だ、あの大きな牛は?」
「あれはオイルビーフ。毒はないけど、油のようなよだれを周囲にばらまく汚い牛のモンスターだ。肉は食えるらしいけれど……」
ウイークがそう言うと、通り過ぎたオイルビーフが再び突進してきた。
「うわっ! また来たぞ!」
「もう一度避けるぞ!」
カイトはウイークの言葉を聞き、オイルビーフの突進を回避した。それから少しして、再びオイルビーフの鳴き声が響いた。
「あの牛、俺たちをターゲットにして始末するつもりだな」
「あんな牛にやられてたまるか」
カイトは刀を持って反撃しようとしたが、ウイークがカイトを止めた。
「待て、カイト。あいつは大型トラックと同じくらいの体重だ。それで、走る速度はスポーツカー並。そんな奴の突進を受けるとぶっ飛ぶぞ。魔力を使っても、意味がない」
「うわ……その状態で突進を受けたら一発で死ぬな」
その直後、再びオイルビーフが突進を仕掛けてきた。二人はオイルビーフの突進をかわした後、奥の道へ向かって走り出した。
「とにかく広い場所に出るまで逃げるぞ!」
「その前にあいつが追い付いたらどうする?」
「上を見ろ。天井まではかなり高さがある。魔力を込めてジャンプすればあいつの突進をかわせる!」
「そうか。いつの間にこの周囲を見回した?」
「ついさっきだよ。何度も戦いや冒険を経験すれば、状況を理解する力は自然に身に着く!」
ウイークがこう言うと、後ろからオイルビーフが走ってきた。
「飛ぶぞ!」
「おう!」
二人は合図をして高く飛び上がり、オイルビーフの突進をかわした。二人は着地した後、再び走り出そうとした。しかし、オイルビームは近くにいて、二人に向かってよだれを放った。
「うっわ! 汚い! 臭い!」
「や……やべぇ!」
よだれを浴びたウイークは、嫌そうな顔をした。カイトはウイークの体を掴んで高く飛び上がり、オイルビーフの突進を回避した。着地した後、カイトはウイークにこう聞いた。
「大丈夫か?」
「ああ……だけど……俺はもう戦えない」
この言葉を聞き、カイトはウイークが使う魔力を思い出した。
「そうか。火を使うし、雷も火花が発して……」
「ああ。俺が魔力を使ったら大爆発が起こる。まずいな……この状況で襲われたら……」
「大丈夫だ。広い部屋に出た」
カイトは周囲を見回し、広い部屋に到着したとウイークに伝えた。
「さて、この状況をどうやって打破するか考えないと」
ウイークは周りを見て、オイルビーフをどうやって倒すか考え始めた。すると、カイトは周りに壁があることを察し、こう言った。
「俺にいい考えがある」
「え?」
その後、カイトはウイークにオイルビーフを倒すアイデアを伝えた。その話を聞いたウイークはにやりと笑った。
「シンプルでいいアイデアだ。さぁ、すぐに行動に移すぞ!」
ウイークがこう言った後、二人は壁に向かった。すると、オイルビーフが現れた。二人はオイルビーフが現れたことを確認すると、挑発し始めた。
「やーい! 走るだけしかできない牛野郎! 俺たちはここだぞー!」
「悔しいならここまで走って来いよ! 走るだけの単細胞! あそーれ、お尻フリフリー!」
カイトは舌を出して、ウイークは尻を出してオイルビーフを挑発していた。そんな二人の姿を見て、オイルビーフの顔が赤く染まった。
「おっ、あいつ挑発されているって察しているみたいだぞ」
「いい感じだ。さーて、構えるぞ」
話をすると、オイルビーフが二人に向かって突進した。二人はすぐに高く飛び上がってオイルビーフの突進をかわした。
「よっしゃ! 作戦通り!」
と、上空でカイトはガッツポーズをとった。オイルビーフの鋭利な角は壁に突き刺さり、抜けることができなかった。
「カイト、俺は魔力を使えないから奴に一撃を与えられない。とどめはお前に任せる!」
「ああ。任せてくれ!」
カイトは魔力を開放し、刀を抜いて氷の刃を作り、オイルビーフに向かって斬りかかった。氷の刃はオイルビーフを一閃し、しばらくして消滅した。一閃されたオイルビーフの体は、左右に裂けるように崩れ落ちた。
「よし! 倒した!」
地面に着地したカイトとウイークは勝利を確信し、ガッツポーズをとった。
戦いが終わった後、カイトとウイークは体に付着したオイルビーフのよだれを拭うため、服を脱いで洗濯をしていた。
「ほら、チョコバーだ。魔力を使うから補充しておけ」
「ありがとう」
カイトはウイークからチョコバーを受け取り、食べ始めた。カイトの魔力の水によって、よだれで汚れた二人の服はすぐにきれいになった。だが、濡れた服はすぐに乾かないため、二人はこの場で休むことにした。
「あーあ、セアンちゃんたちがいれば、皆仲良く半裸状態でこの場で待機できたけどなー」
「確かにそうだが……」
カイトは半裸のセアンたちに近付こうとして、攻撃を受けるウイークの姿を想像した。そんな中、ウイークがカイトにこう聞いた。
「なぁ、どうやってセアンちゃんたちと近付いた?」
「近付いた? うーん……話しておくか」
カイトはウイークが信頼できる人間だと思い、異世界転生してこの世界に来たことを伝えた。
「ほへー。そんなことがあるのか。小説などでそういった話を見たことがあるけど、現実であるとは思わなかった」
「俺も信じられないけど、実際にこんな形でこの世界に来た」
「へー。それで、神様って人からこの剣を貰ったってことか」
ウイークはカイトの刀を見て、こう言った。
「いろいろあったけど、何度もこいつのおかげで助かったよ」
「結構切れ味もいいし、魔力を込めて使っても壊れない頑丈さ。誰もが欲しがるだろうな。鞘から抜いてみる」
と言って、ウイークはカイトの刀を鞘から抜こうとした。だが、刀は固くなり、鞘から抜くことができなかった。
「うぐ! うぐぐぐぐぐ! 何だ、これ? かなり固いぞ!」
「え? マジで?」
カイトは刀を受け取り、鞘から刀を抜いた。
「あれ? 普通に抜ける」
「おっかしーな? その状態で貸してみて」
「ああ」
カイトは抜いた状態の刀をウイークに渡した。ウイークが刀を受け取った途端、刀が重いのか急に地面に落ちた。
「うっぐああああ! この剣、かなり重いぞ!」
「えー? そんなはずはないけど」
と言って、カイトは刀を持ち上げた。それを見たウイークは、刀を見ながらこう言った。
「どうやら、その剣はカイトにしか使えないみたいだ。誰かが持ったら、急に重くなるし、鞘から抜けなくなる仕組みだ。神様がくれた剣だからか?」
「そうかもしれないな」
カイトはそう言って、神様からくれた刀を見た。話を終え、二人は再び洞窟の奥へ向かった。
「この洞窟、どこまで続くのかな?」
「分からないな。早くセアンちゃんたちと合流して、無事を確かめたいぜ」
「俺も同じ気持ちだ。その前に、変なモンスターに襲われないといいけど」
「そうだな。ま、現れても返り討ちにしてやるよ」
と、そんな話をしながら男二人は歩き続けた。
モンスターのイメージは実在する動物や虫を元に、物騒な能力を持たせています。このモンスターがどうやって主人公たちを追い詰め、逆転されるか考えるのが楽しいです。
評価、ブクマ、いいね、感想質問、レビューをお待ちしています。質問がくれば答えられる範囲で答えを返します。ブラッディークローのボスは誰とか、今後の展開などのネタバレに関する質問は答えられないけど。




