巨大ムカデとの戦い
カイトとウイークと離れ離れになってしまった後、セアンたちは洞窟の奥へ向かって行った。
「大丈夫かな、カイトさんとウイークさん」
アディは二人の心配をしていたが、ラージュは笑顔でこう言った。
「大丈夫よ。ウイークの生命力はゴキブリ並みにあるから何かがあっても無事だし、カイトも強いから生きているわ」
「信頼しているんですね」
「ええ。カイトはもちろん生きているって信じているし、ウイークは……まぁ、腐れ縁だけど、何があっても死なないって理解しているから」
ラージュの言葉を聞き、アディは少しだけ安心した。そんな中、前を歩いているセアンとライアが声を出した。
「音がする。変なモンスターが来るかもしれないから気を付けて」
「あら大変」
「ラージュ、私がアディを守るよ」
と、コスタがラージュに近付いてこう言った。ラージュはアディをコスタに任せた後、大剣を手にした。
「さ、これならどこから来ても大丈夫」
「油断しないでね」
近くにいたケアノスがこう言った。それからしばらくすると、地面から無数の足が生えたムカデが現れた。それを見たアディは悲鳴を上げた。
「大丈夫だよ、アディ。あれはセンアシムカデ。千本の足があると言われている巨大なムカデよ。砂漠にしかいないって言われているわ」
「それは知っているけど……生で見ると怖い……」
震えながらアディはこう言ったが、コスタは笑顔を作った。
「皆強いからあんなモンスター、さらっと倒すから」
コスタはそう言って、戦いの様子を見ながらスナイパーライフルの用意をした。
「そりゃぁっ!」
セアンはカトラスを振り回しながらセンアシムカデの足を切り落としていた。緑色の体液を流しながらセンアシムカデは暴れまわった。しばらくセアンが攻撃をしていると、センアシムカデは大きな牙を出してセアンに襲い掛かった。
「そうはさせないよ!」
セアンはハンドガンをセンアシムカデの口に向けて発砲した。放たれた弾丸はセンアシムカデの口に命中したが、致命傷を負わせることはできなかった。
「セアン! 油断しちゃダメだよ!」
と言って、ライアがナイフを使ってセンアシムカデの牙に斬りかかった。だが、センアシムカデの牙はかなり固く、ライアのナイフでは壊すことはできなかった。
「かった~。意外と硬いよ、こいつの牙」
「よし、魔力を使って叩こう!」
「そうだね。それしかないね。後々のために魔力を保存したいけど」
会話後、セアンとライアは同時に魔力を開放し、センアシムカデに斬りかかった。二人が魔力を開放したことを察したセンアシムカデは、体をうねらせながら二人を惑わせた。
「変な動きをしてきた!」
「私たちが魔力を開放したってことに気付いたみたい。結構頭いいね、このムカデ」
二人が話をしていると、ケアノスが現れて暴れまわるセンアシムカデに攻撃を仕掛けた。
「ぼーっとするより、とにかく奴を叩かないと! 少しでも奴にダメージを与えないと!」
「そうだね!」
セアンはハンドガンを構え、センアシムカデに向けて何度も発砲した。弾丸はセンアシムカデの体に命中し、体から緑色の体液を流した。
「よーし! このまま叩けば奴を倒せる!」
ライアは嬉しそうにこう言ったが、その声を聞いたのか、センアシムカデはライアに向かって襲い掛かった。ライアはすぐにナイフを構えて反撃を行った。だが、センアシムカデの牙はライアの腕に命中した。
「ううっ!」
「ライア!」
セアンは急いでライアに近付き、魔力を込めてセンアシムカデの牙を破壊した。だが、センアシムカデはセアンにかみついた。
「キャアッ!」
「セアン!」
二人が攻撃を受けた光景を目の当たりにしたケアノスは、魔力を込めてセンアシムカデに攻撃した。ケアノスのレイピアから風が発し、センアシムカデの足をいくつか切り落とした。しかし、攻撃を受けたセンアシムカデはケアノスの方を向いて体液を放った。その体液は、ケアノスの顔に命中した。
「う! 何これ……」
ケアノスは急いで顔に付着した体液を取ろうとしたが、その前に体液から熱を感じ、ケアノスの顔を焼き始めた。
「きゃあああああ!」
攻撃を受けた三人に向かって、センアシムカデはとどめを刺そうとしたが、大剣を振り回しながらラージュが現れた。ラージュの攻撃によって、センアシムカデの体は二つに斬られた。
「皆、大丈夫? すぐに治療するから!」
ラージュは急いで傷を受けたセアンたちの治療を始めた。牙が命中したセアンとライアを見て、二人の体内に毒が回りつつあるとラージュは察した。
「今、解毒剤を使うから」
と言って、ラージュは解毒剤が入った注射器をセアンとライアに注入した。その後、ラージュはタオルを濡らし、ケアノスの顔を拭いた。
「ケアノス、私の顔が見える?」
「ぼやけているわ……まだ顔が熱い」
「あいつの体液には熱があるみたいね。ちょっと待って、魔力で治療するから」
ラージュは魔力を込めて、ケアノスの顔に触れた。
「はぁ……ひんやりしていて気持ちいい……」
「じっとしてね。傷が酷いから……」
ラージュがそう言うと、体を斬られたセンアシムカデがラージュに襲い掛かった。その時、コスタが魔力を込めた弾丸を発砲し、センアシムカデの頭を撃ち抜いた。この一発で、センアシムカデは倒れて動かなくなった。
「ありがとう、コスタ」
「ごめん、一撃で倒すのに強力な弾を作るのに時間がかかった」
と、コスタは申し訳なさそうにこう言った。
戦いが終わった後、傷を受けたセアンたちはその場で横になっていた。毒を受けて苦しそうな顔をしていたセアンとライアは、少しだけ楽になったのか、表情が柔らかくなった。
「調子はどう?」
「さっきより楽になったよ」
「ありがとう、ラージュ。解毒剤が遅かったら死んでいたよ」
と、笑いながらライアがこう言った。その言葉を聞いたアディは、震えながらこう言った。
「いつもこんな目に合っているのですか?」
「たまにね」
「たまにって……」
笑いながら話をするライアを見て、アディはこの人は死ぬのが怖くないのかと思った。
その頃、外では車を盗んだギドランド一行が洞窟を目指して移動していた。
「洞窟はどこだ? どこにある?」
「俺たち下っ端が知るわけがないでしょうが。ま、らくーに行きやしょうや」
と、運転している部下がこう言った。そんな中、地面から翡翠の騎士が現れた。それを見た部下は急ハンドルをし、翡翠の騎士を避けた。
「おわっ! 何だ、あいつ? 新手のモンスターか? 地面から出て来たぞ!」
「分かりませんよ。あんなカッコイイモンスター見たことありませんよ!」
「カッコイイとか言うな! ん? よく見ると騎士のような形だし……かなりカッコイイな」
と、呑気に話をしていると、翡翠の騎士はギドランドたちに向かって斬りかかった。
「うわぁ! 呑気に話をしている場合か! 今すぐこいつから逃げろ!」
「イエッサー!」
運転している部下はアクセルペダルを踏みこみ、その場から逃げた。だが、翡翠の騎士は車と同じ速度で走り、追いかけてきた。
「うわぁぁぁ! あいつ、追いかけてきます! しかも車と同じスピードで走っています!」
「何だ、あの化け物は! とにかく逃げろ、逃げるのだ!」
翡翠の騎士との追いかけっこがこうして始まった。しばらく車を走らせると、いつの間にか翡翠の騎士の姿は消えていた。
「に……逃げたのか?」
「みたいですね。よかったー」
後ろを見たギドランドと部下は、翡翠の騎士がいないことを察して安堵の息を吐いた。そんな中、運転している部下がこう言った。
「安心している場合じゃないですよ。魔力がないので車が動きません」
「な……何だと!」
ギドランドは車の燃料メーターを見て、絶望した。だが、前を見てこう言った。
「車は動かないが……私たちはいつの間にか目的地についていたようだ」
ギドランドの前には、翡翠の洞窟があった。
モンスターの名前は分かりやすく、適当に考えています。それでお思い浮かばない時は、英和辞典などを使って単語を調べます。それで、単語の文字を入れ替えたりして名前を作っています。これ、小説を作るコツだと思ってください。
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