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襲い来る翡翠の騎士


 モグラヘビが作った穴に落ちてしまったカイトウイークを待ち受けていたのは、三体の翡翠の騎士だった。二人は三体の騎士の攻撃をかわし、様子を見ていた。今の状況は、三体の騎士がいる場所は狭く、カイトとウイークがいる場所は広い場所。広範囲の魔力の攻撃を放てば、騎士が避けられるスペースはない。


「カイト、お前の魔力は確か水だったよな?」


 と、ウイークが声をかけてきた。


「ああ。そうだけど……何か策があるのか?」


 ウイークに案があると思い、カイトは言葉を返した。ウイークは騎士を見ながらこう言った。


「俺の魔力は火と雷。あの騎士を濡らして、俺の雷で感電させればダメージを与えられるかもしれない」


「一か八かやってみよう。あいつらは強い。どんな手も使ってみないと」


 カイトは魔力を発し、騎士に向けて水を放った。騎士は避けることができず、水を浴びた。それを察したウイークは魔力を開放し、強烈な雷を発した。


「これでどうだ!」


 雷が鳴り響く音が周囲に響いた。だが、感電しながらも騎士はカイトとウイークの方を向き、ゆっくりと歩き始めた。


「嘘だろ! それなりにダメージがあると思ったけど!」


 強烈な雷を浴びたが、歩き出した騎士を見てウイークは驚いた。そんな中、カイトはあることを思い出した。砂漠で戦った騎士の中身の人間は死んでいたことを。


「なぁ、まさかあの鎧の中の人って、元から死んでいるのかな」


「あん? ああ……確か、あの時は……」


 カイトの言葉を聞いたウイークは、あることを思いついた。


「カイト! 砂漠での戦いを思い出せ! あいつは鎧を脱がしたら倒れた。もしかしたら、こいつらも鎧を脱がせば倒せるかもしれない!」


「鎧を脱がす? どうやって?」


「兜をぶっ飛ばせ! それからあとは流れでどうにかする!」


「うし、分かった!」


 ウイークの話を聞いたカイトは魔力を開放し、右手で地面に触れた。カイトの右手に解放されていた魔力は水となり、騎士の元へ向かって行った。そして、その水は兜に向かって伸びた。だが、騎士は後ろに下がって水の攻撃から避けた。


「避けたか……」


 小さくカイトは呟いた。騎士は水の攻撃がカイトの攻撃であることを察した騎士は、カイトに向かって襲い掛かった。


「カイトに狙いを定めたか!」


 ウイークはカイトが狙われていると察し、カイトの前に立った。騎士の一人はウイークに斬りかかったが、残る二人は飛び上がってカイトに襲い掛かった。


「カイトぉ!」


 ウイークは目の前の騎士を蹴り倒した後、背後のカイトを見た。カイトは刀を振り回して二人の騎士の攻撃を対処していた。


「クッ! 二人で斬りかかられるとキツイ!」


 カイトは後ろに逃げて、距離を取ろうとした。カイトが無事であると察したウイークは安堵したが、その時に騎士はウイークに斬りかかった。ウイークは腹を動かして斬撃をかわし、反撃として両手の剣を振り下ろした。


「クッ! 一人でも厄介なのに、二人が相手だとしたら……」


 カイトの状況が危険だと察したウイークは、すぐにカイトの援軍に行こうと考えた。しかし、二人の騎士はウイークに襲い掛かった。


「クソッたれ! これでも受けろ!」


 ウイークは剣に魔力を込め、火を放って斬りかかった。騎士は盾でウイークの斬撃を受け止め、ウイークの脇腹に目がけて剣を振るった。その剣は、ウイークの腹に命中した。


「グガッ!」


 攻撃を受けたウイークは、剣を手放して後ろに下がった。荒く呼吸をして精神を落ち着かせ、治療を始めた。治療をする中、騎士はウイークに攻撃を仕掛けてこなかった。


「治療する時には攻撃しないのか。変なところで騎士的精神を持っているようだな……海賊とはえらい違いだ」


 回復を終えた後、ウイークは落ちていた剣を拾った。その時、騎士が身構えた。


「そこまで丁寧に待たなくてもいいのに。まぁいいか」


 ウイークはそう言った後、カイトの方を見た。カイトはボロボロになりながらも騎士二体相手に善戦していた。


「いい根性を持っているな」


 その時、騎士がウイークに斬りかかった。ウイークは攻撃を防御し、騎士に反撃を行った。


 カイトは呼吸を乱しながらも、二人の騎士を相手に立ちまわっていた。これまで戦って来たモンスターや海賊との戦いで、カイトは肉体的にも精神的にも強くなっていた。しかし、一対二という状況はカイトを苦しめていた。


 さて……どうやってこの状況を打破する?


 心の中でカイトは考え始めた。そんな中でも、二人の騎士はカイトに襲い掛かる。カイトは攻撃を対処しつつ、状況を打破することを考えた。すると、兜と鎧の間に小さな隙間を見つけた。


「そうだ、一か八かだ!」


 カイトは右手で刀を持ち、小さな隙間に向けて刀を突いた。すると、刀の先端は小さな隙間に入りこんだ。


「うし!」


 刀の先端が小さな隙間に入ったことを察したカイトは、魔力を込めて刀を上に振り上げた。その瞬間、兜は勢いよく上に飛んで行った。それを見たウイークは、笑い始めた。


「ハハハ! 剣を使って兜をぶっ飛ばしたのか! そうか、その手があったか!」


 兜を失った翡翠の騎士は、ふらついてその場に倒れた。カイトは別の騎士を見て、同じ手を使って騎士を倒した。


「凄いぜ、カイト! そんな手で騎士を倒すとは考えもしなかった!」


「やってみてよ、上手にやれば騎士を楽に倒せるぜ!」


「ああ、その手を借りるぞ!」


 ウイークはカイトが騎士を倒したと同じように小さな隙間に剣を刺し、上に振り上げて兜を吹き飛ばした。その後、兜を失った騎士はその場に倒れた。


「ふぅ……何とかなった」


「ああ……あー、疲れた」


 戦いを終えた後、二人はその場に座り込んだ。




 数分後、カイトとウイークは周囲に倒れている騎士を見た。


「なぁ、確かあの時って鎧はすぐに塵になって消えたよな?」


「ああ。今回は塵にならずに消えている。どうしてだか」


 ウイークは鎧に近付き、手を触れた。


「崩れない。うっしゃ、今のうちにこの鎧を調べるチャンスだ」


 そう言って、ウイークは鎧を触り始めた。しばらくし、ウイークはカイトにこう言った。


「あの鎧から魔力を感じる。翡翠に魔力があるようだ」


「翡翠に魔力? そう言えば、何か力があるかもって言っていたな」


「いろいろと調べたけど、あの翡翠は結構硬いぜ。もしかしたら、塵になったのは経年劣化した翡翠かもしれないな」


「翡翠にも劣化があるのか」


「ああ。使えば物は壊れるさ」


 ウイークはそう言って、騎士から鎧を脱がそうとした。


「少しでも翡翠を取らないと。こいつはいくらになるのかなー?」


「いい値が付くといいけど、その前にこんなことをしていいのかな?」


「大丈夫だって。どうやらこの鎧の中の奴は死んでいるから、使う奴はいないだろうし」


 と言って、ウイークは鎧を外す作業を進めた。この光景を見て、カイトはこの場にセアンがいたら、同じようなことをするのだろうなと思った。


 しばらくし、鎧を手にしたカイトとウイークは立ち上がった。


「さて、先に向かうか。セアンちゃんたちも先に向かっていると思うし」


「ああ。早く合流しよう」


 そう言って、二人は奥へ向かった。それから無言で二人は歩いていたが、何かの足音を耳にした。


「何かいるな」


「どれどれ……うわっ、でっかいムカデだ」


 ウイークは嫌そうな顔をして、ムカデから逃げた。カイトも噛まれないようにムカデから避けた。


「ムカデもいるのか、この洞窟」


「砂漠だからな。もしかしたら、サソリもいるかもしれないな」


「うーわ、それは勘弁」


 サソリに刺された光景を考えたカイトは、嫌そうな顔をした。その時、大きなムカデが二人の後ろにいたのだが、そのムカデは二人に襲い掛からず、どこかへ向かった。


 この作品にはいろいろなモンスターが出てきます。モデルはほとんどが危険な猛獣や、虫をイメージしています。モンスターとの戦いはト〇コやモン〇ンから影響を受けています。


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