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砂漠での大レース


 翌朝、キャンプの片付けをするカイトとウイークは、車のエンジン音がやたらと鳴り響くことを気にしていた。


「もしかしたら、他の連中もあの緑の光を見たのかな」


「そうかもしれないな。あれが洞窟の入口かもしれないし」


 カイトの言葉に返事を返しつつ、ウイークはテントを畳んだ。そんな中、サディから連絡が入った。


「どうした?」


「船長、生きていますか?」


「勝手に殺すな。俺は生きているし、セアンちゃんたちも無事だ。成り行きで同行することになった小僧がいるが」


 と言って、サディに今までのことを伝えた。話を聞いたサディは返事を返した後、ウイークにこう言った。


「昨日の夜からこの周辺の地図を調べたの。今、皆が持っている端末にデータを送るわ」


「おっ。ありがと、サンキュ!」


 ウイークがこう言った後、端末を持っていたライアが声を上げた。


「あっ! 地図が更新されている!」


「洞窟の位置が分かればいいわね。ん? これが洞窟かしら?」


 ライアとラージュの声を聞き、カイトは地図を確認した。地図にはオアシスや岩盤などの場所が記号で記されており、洞窟らしき場所も記号で示されていた。その洞窟の場所は、ここから少し離れた場所、昨晩緑の光が見えた場所である。


「やっぱりあの光が洞窟から発していたのね」


「早く行こう!」


 ケアノスとセアンがカイトとウイークの手伝いに入ったため、すぐにキャンプの片付けは終わった。その時、周りを見ていたコスタとアディが声を上げた。


「他の連中が洞窟に向かっているよー」


「早く行こう!」


 慌てているコスタとアディだったが、セアンは冷静にこう言った。


「落ち着いて。リティーヒの宝のことを思い出して。先に入った奴がいたけど、酷い目に合ったでしょ? あれもリティーヒの宝と同じようだとしたら、先走った奴は死んじゃうよ」


「うーん……そうだね、慌ててもいいことはないわね」


「そう。とにかく、確実に準備を終わらせよう」


 その後、カイトたちは支度を終え、車に乗り込んだ。運転席にいるウイークは後部座席にいるアディに向かってこう言った。


「一気にかっ飛ばすから、どこかに掴まっていろよ!」


「う……うん!」


 アディはシートベルトをして、車の壁を握って衝撃に耐えるように構えていた。ウイークは車を動かし、猛スピードで動かした。




 ウイークが車を運転する中、カイトはゴーグルをして周囲を見回していた。周りの車が近付いてくるため、事故になる可能性があるのだ。


「ウイーク、周りの奴らが結構なスピードで走って来るぞ」


「そりゃそうだ。宝が目の前にあるから、誰だって焦る!」


「どうする? 事故になるかもしれないぞ!」


「大丈夫だ! 俺は船だろうが車だろうが何でも運転できる! 任せとけって!」


 ウイークはそう言って、アクセルを踏み込んだ。さらに車がスピードを上げたため、カイトとアディは悲鳴を上げた。


「おわっ! ジェットコースターよりも重力を感じる!」


「うわあ! お父さん!」


 二人が悲鳴を上げる中、セアンがカイトに近付いた。


「安心して、ああ見えてウイークは運転の腕がいいから。確か前は峠で走っていたって言っていたよね?」


「ああ。毎晩仲間と共に峠道を車で爆走していたぜ! いろいろあって海賊やっているけど」


 このスピードに慣れているのか、セアンとウイークは普通に話をしていて、コスタはカイトと同じように周りを見ていて、ケアノスとラージュは端末を見て洞窟の位置を確認していた。


「皆余裕だな」


 カイトはケアノスたちを見てこう言ったが、ライアの顔が青くなっていることを察した。


「ライア……まさか……」


「久しぶりに酔ったかも」


「へ? 嘘だろ!」


 ライアの言葉を聞いたウイークはどこか休める場所を探そうとしたが、運悪く両端に車が現れた。


「ライバルはここで潰す!」


「悪いが、お前らはここで終わりだ!」


 両端の車に乗っている荒くれ共が声を上げた。セアンはウイークにスピードを落とすように告げた後、窓を開けて荒くれ共に顔を見せた。


「誰が誰を潰すって?」


「え? げえっ! ピラータ姉妹だ!」


「嘘! やばい、逃げろ! スピードを下げろ!」


 セアンの顔を見た荒くれ共は逃げるように去って行った。だが、一台の車が突如地面に落ちてしまった。


「うわっ! 車が落ちた!」


「まずい、もしかしたらモグラヘビがいるかもしれない!」


「モグラヘビ?」


 その名を聞いたカイトは、モグラのような蛇を想像した。ケアノスはカイトに近付き、端末を見せた。そこにはモグラのような鋭い爪を持った蛇が映っていた。


「こいつがモグラヘビ。普通は他の蛇と同じ大きさだけど、一部地域では人と同じくらいの大きさと言う話……」


 その直後、ウイークは急ブレーキをした。


「うぷっ! 何するのよ、ウイーク……」


「気を付けてくれ! モグラヘビがいる!」


 ウイークが叫んだ直後、目の前から大きなモグラヘビが地面から現れた。ケアノスが一部地域では人と同じくらいの大きさと言っていたが、現れたモグラヘビは十メートルほどの大きさだった。


「ケアノス、人と同じくらいの大きさって言っていたよな」


「ごめん、まさかここまで大きい奴がいるとは思ってもいなかった」


「ケアノスちゃん、この砂漠のモグラヘビは亜種でかなり大きいって話だ。噂だと思ったが、本当だったとは……」


「突っ立っている場合じゃないよ!」


「セアン、私たちでやりましょう!」


 セアンとラージュは武器を持って外に飛び出し、大きなモグラヘビに挑んだ。他の荒くれ共はモグラヘビを見て逃げ出そうとしたが、別のモグラヘビが現れて荒くれの車ごと飲み込んでしまった。


「うわー、こいつはやばい……」


「下手したら、俺たちもあいつの胃袋の中ってわけだ。それに、奴は消化が速いから……」


「これ以上言わないで。アディ君が気を失っているわ」


 ケアノスは気を失っているアディをウイークとカイトに見せた。その時、海賊旗を付けた車がいくつも通り過ぎた。


「別の海賊か。俺たちが戦っている隙に向かうつもりだな」


「焦るな、カイト。もしかしたら、モグラヘビのようにとんでもない化け物がここにいるかもしれない」


 ウイークがこう言った直後、通り過ぎた海賊を追うかのように、大きなヒレがいくつも現れた。それを見たカイトは、あれがデザートシャークだと理解した。


「下手したら、あいつらはデザートシャークの餌になるのか」


「そうだな」


 その時、車の横に大きなモグラヘビが倒れた。そのせいで、車の中に砂が入った。


「ウェップ! 砂が口に……」


「うげぇ、酔いが更に加速する~」


「ライアちゃん、安全だと思ったら外で吐いてくれ!」


 カイトたちが騒ぐ中、頭を下げながらセアンとラージュが戻って来た。


「ごめん、こっちに倒れちゃった」


「派手に揺れた?」


「揺れたぜ。ライアが更に気分が悪くなったみたい」


 カイトは顔が青ざめたライアの背中をさすりながらこう言った。その後、カイトたちは一度外に出てライアの気がよくなるまで休むことにした。その時、先に向かった海賊らしき悲鳴が響いた。


「この冒険、大変なことになるな」


「そうだね」


 と、カイトとセアンはこう話をした。




 一方、ギドランドは二人の部下と共に砂漠に来ていた。


「かぁ~、熱い! 本当に熱い!」


「砂漠ですからね。雨でも降れば少しは変わりますが……」


「降る気配はないし、天気予報でも今日一日は晴れと言っていました」


「はぁ、これからこの砂漠を渡るのか」


「仕方ないですよ。さて、近くのレンタカーを借りてきます」


 部下の一人はそう言って、近くのレンタルカーショップへ向かった。だが、すぐにその部下は戻って来た。


「ほとんどの車がレンタルされているようです」


「他の車は?」


「砂漠用の車以外があるのですが、砂漠を渡るつもりなら絶対に貸さないと言っていました」


「私の名を言え!」


「言ったけど、無理でした」


「クソッたれが! 歩いて行けと言うのか……はぁ」


「町長、腹をくくりましょう」


 部下の一人がこう言った後、ギドランドはため息を吐いた。


 町長の名前、ギドランドには元ネタがあります。ロマ〇シ〇グ・サガ3と言うゲームに出てくる町の名前です。その町の町長が長年語り継がれるくらいクソみたいな奴です。どうしてクソ野郎と言われるかと言うと、洞窟の化け物を倒してくれと言われるのですが、洞窟に到着した瞬間に主人公を閉じ込めます。それからその洞窟を抜けて会いに行くと、他人事のように「私が町長です」と言うからです。リメイク版では殴らせろと言う選択肢があるので、多少はスッキリします。


 こんな風に小説にゲームネタをぶち込むくらいゲーム好きです。評価、いいね、ブクマ、感想質問、レビューをお願いします。応援よろしく!


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