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アイスクリンでの出会い


 デザートディッシュの翡翠の情報を手にするため、カイトたちはウイークと共に港町、アイスクリンの酒場にいた。情報収集していると、太った男が入ってきた。太った男は周囲を見回し、声を出した。


「私はこの町の町長、ギドランドだ! ここにいる連中は、翡翠の噂を聞いてこの町に来たのか?」


 ギドランドの言葉を聞き、酒を飲んでいた海賊や冒険家が声を上げた。カイトとセアンは耳を抑え、コスタは突如声が響いたため驚いていた。


「うるさい連中だねぇ」


「本当だな」


 カイトとセアンがこう言う中、ギドランドは話を続けた。


「お前たちに話がある。噂の翡翠を手にし、私の元に持ってきたら一千万ネカをやろう!」


「一千万!」


 とんでもない額の金額を聞き、セアンは喜んだ。ケアノスはため息を吐いてセアンに静かにしろと言い、更にうるさくなった声から耳を守るため、ライアとラージュは嫌そうな顔をして耳を抑えた。


「あーもう。更にうるさくなった」


「一千万か……本当に払うのか、あのオッサン? 見た感じ、そんな金持ってないように見えるけど」


 ウイークは呆れた顔をして、ギドランドを見ていた。カイトはギドランドを見て、どんな人物か見て確認した。ギドランドの服は見ただけで高級な毛皮を使っているのが分かり、頭にかぶっている帽子のようなものには宝石が埋め込まれていた。それと、ギドランドの両手の指には色とりどりの宝石が埋め込まれた指輪を付けていた。見ただけで、成金町長であると確認できた。


「金はありそうだな。もしかしたら、本当に一千万は出すかもしれないな」


「でも、人柄は悪いわ。カイト、セアン、ウイーク。翡翠を手にしても、あのオッサンには渡しちゃダメよ」


 と、ケアノスがこう言った。それからギドランドの話が続いた。その話の中で、翡翠がある場所がこの町の離れた所にある砂漠の洞窟の中であることが判明した。


「あのオッサンからいいことを聞いたね」


「ええ」


 笑顔を見せながらコスタとラージュがこう言った。そんな状況でもギドランドの話は続いた。だが、その話はどうでもいい話だったため、カイトたちは聞き流した。


 話が終わった後、一千万と言う金額を聞いた海賊や冒険家は代金を支払った後、急いで酒場から出て行った。


「うんうん。元気があってよいことだ!」


 走り出した海賊と冒険家を見送った後、頷きながらこう言った。


「これなら翡翠は楽に手に入る。これを元手にまた稼ぐぞー」


 そう言った後、連れの部下と共に去って行った。セアンはカイトたちを見回し、声を出した。


「出遅れちゃったし、私たちも急ごう!」


「そうだな。早く行こう!」


「あいつらに翡翠が取られちまう! おっとその前に、船の皆に連絡を」


 ウイークは携帯端末を手にし、船にいるサディたちに連絡を始めた。そんな中、近くの物陰からこちらを見ている少年を見つけた。それに気付いたラージュが少年に近付いた。


「どうしたの、坊や? 私たちに何か用?」


 話しかけられた少年は驚き、おどおどし始めた。すると、酒場のマスターが少年に気付いた。


「お。アディじゃないか。どうかしたか?」


 酒場のマスターがこう言うと、アディと言われた少年はマスターに話を始めた。


「あの翡翠を探す人たちが来るって聞いて……」


 アディの話を聞き、マスターは声を出した。


「ああ。まだトッポのことを気にしているのか……」


「トッポ? 誰ですか?」


「アディの父親だよ。数年前、翡翠を探すって出て行ってそれから行方不明に……」


 マスターの話を聞き、セアンたちはアディがここに来た理由を把握した。その時、連絡を終えたウイークが近付いた。


「おーい皆。今からサディたちが連絡用の端末を貸すからここに来るって……あれ? 誰このガキ?」


「アディって子。行方不明のお父さんを探しているって。強い人を探して、見つけてほしいみたい」


 ライアの話を聞き、ウイークはこの状況を察した。そんな中、マスターがため息を吐いてこう言った。


「そうか。どこかに行った親父さんを探してくれる人を見つけようとしたのか。確か、あの翡翠を探していたが……中には死んだって言う奴もいるな」


「そう。お父さんは死んだって言う人がいるけど、お父さんは死んでいない! 僕は……そう思っている」


 アディの言葉を聞き、カイトはこう言った。


「そうだな。君のお父さんは生きている。翡翠を探すと同時に君のお父さんを探すよ」


「カイトの案に賛成。どんな形でもいいから、お父さんを見つけたい」


 カイトとセアンの言葉を聞き、コスタたちに反対の気持ちはなかった。アディは少し考えた後、カイトたちにこう言った。


「もう一つお願いがあるの。僕も、洞窟に連れて行ってほしい。お父さんがいるとしたら、この目で確かめたい!」


 アディの言葉を聞いたマスターは驚き、アディにこう言った。


「洞窟に行くって……あの洞窟は一体何があるか分からないぞ。いくらピラータ姉妹がいたとしても……」


「大丈夫! 私たち強いから! それと、この人もそれなりに強いから!」


 と、セアンは笑顔でマスターにこう言った。マスターはピラータ姉妹の活躍ぶりを察している。それでも未知の洞窟探検には不安だったが、セアンの言うことを信じることにした。


「分かった。お前さんたちを信じる。アディを頼む。それと、トッポを見つけてくれ。あいつはいい奴だからな」


「分かりました!」


 セアンはそう言って、カイトたちと共に準備へ向かった。




 洞窟に行くまでには広大な砂漠を通る必要があるが、まだどこに洞窟があるのか誰も分からない。洞窟を見つけるためには、何日も砂漠をさまよう可能性がある。その上、砂漠には危険なモンスターが生息している。


 カイトたちが砂漠へ向かう途中、モンスターの攻撃を受けて引き返す海賊や冒険家を見た。中には、酷い重傷を負った人もいた。ラージュはその人に声をかけ、治療を始めた。


「あ……ありがとう……噂通りいい人だな、ピラータ姉妹は」


「喋ると傷が開きます。もう少しで終わるので、口を閉じてください……はい。終わった」


 ラージュの手当てを終え、傷を受けた人とその仲間はカイトたちに礼を言った。その時、その人はこう言った。


「砂漠に向かうならモンスターに気を付けてくれ。あの砂漠のモンスターは、とても凶暴だ」


 この話を聞いたアディは動揺し始めた。だが、カイトとライアがアディに近付いた。


「遭遇したら俺たちが相手するから」


「誰かが守るから安心して」


「うん……」


 ウイークは少し呆れたような素振りでため息を吐き、アディにこう言った。


「引き返すなら今のうちだぜ。ここからは子供には少しきつい。覚悟があるなら、俺は止めないが」


「覚悟を決めた。お父さんをこの目で見る!」


「腹をくくったようだな。最後まで踏ん張れよ」


 ウイークはアディにそう言うと、砂漠の方を見た。


「さて、ここからどうする?」


 ウイークにこう言われたセアンは、周囲を見回した。


「ラクダはいない。危険なモンスターがいる砂漠を歩いて向かうのは危険だね」


 セアンがこう言うと、アディが何かを見つけた。


「あれって何の店ですかね?」


「店?」


 ウイークはアディが指を指す方向を見ると、そこにはレンタルカーと看板があった。


「おおお! レンタルカーの店か! 砂漠を渡るために車を貸すのか、この店の人は!」


「値段は?」


 ケアノスの言葉を聞き、ウイークの動きが止まった。だが、セアンとライアがその店に向かっていた。


「俺、様子を見てくる」


 カイトは急いでセアンとライアの元へ向かった。店の店員はセアンとライアの顔を見て驚いていて、すぐに店長を呼んでいた。この光景を見て、カイトは何か変なことがなければいいなと思った。


 今回の長編タイトルの少年の願いってのは、アディがトッポを探してほしいって意味があります。トッポの父親は生きているのか死んでいるのか、それは後々の話で判明します。トッポって言ってあのお菓子を思い浮かぶ人がいると思うけど、あのお菓子とは関係ありません。


 今回のあとがきはここまで。ブクマ、評価、いいね、感想質問、レビューをお待ちしています。どんどん送ってねー!

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