ウイークファミリーとの遭遇
カイトたちと戦い、負けて捕らえられたジナたちは、牢屋の窓から崩壊して海に沈む自分たちの船を見て、涙を流していた。
「ああ、俺たちの船が~」
「こんな形で別れるなんて嫌だ~」
「運命のクソッたれー!」
縄で縛られたジナたちは涙を流しながら叫んだ。下から聞こえる叫び声を聞き、カイトはどうしようかと考えたが、近くにいるウイークの海賊船を見てすぐにジナたちのことを考えるのを止めた。
「なぁ、あの船にいるのって知り合いか?」
セアンに聞くと、セアンはため息を吐いて答えた。
「そう。遭遇した時から私たちに惚れて、会うたびに俺の船に来いって言ってるの。変な奴だけど、悪い奴じゃないよ」
「へー。変な海賊もいるのか」
「誰が変な海賊だ!」
叫び声と共に、ウイークがカイトの目の前に着地した。落下音を聞いて、コスタがウイークに近付いた。
「あまり大きな音を立てて着地しないでよ。それで床が外れたら弁償してもらうよ」
「あーゴメン。少し派手にしすぎた。それよりも!」
ウイークはカイトの方を向き、腰にある二振りの剣を手にしてこう言った。
「カイトって言っていたな! セアンちゃんたちをかけて俺と勝負しろ!」
カイトはウイークの言葉を聞き、茫然とした。その後、ウイークの船から鉄アレイが飛んで来て、ウイークの頭に命中した。
「よーし。命中」
と、ウイークの船から声が聞こえた。気を失ったウイークを見て、カイトはどうするのかと聞こうとしたが、その前にケアノスとライアがウイークの体を縛り、マストの柱に張り付けた。
「え? あのちょっと……」
「いいのよ、カイト。あの人はあれくらいされても大丈夫だから」
カイトに近付いたラージュが、ウインクをしてこう言った。
その後、ウイークの船にいた女性たちがヴィーナスハンドにやって来た。彼女らは初めて会うカイトに対し、自己紹介を始めた。
服船長のサディ。
航海士のマデ。
船大工のチューズ。
料理人のウェンデイ。
医者のサーズ。
情報収集担当のライ。
狙撃手のサテューン。
以上七人の女性が自己紹介と、自身の役割をカイトに伝えた。そして、マストの柱に張り付けられたのが船長のウイークであると察した。
「あれが船長なのか」
「そう。あれでも結構強いのよ。戦闘関連は、全部あの人に任せているの。サテューンの狙撃はたまーにしか出番がないの」
サディからこの言葉を聞き、ウイークにはそれなりに実力があると察した。その時、気を失っていたウイークが目を覚ました。
「うわー! 何でこんな所に? 誰かー! 助けてくれー! 落ちたら死んじまうよー!」
「やかましいわね」
サテューンがこう呟くと、ハンドガンを手にしてウイークを縛っている紐を撃った。その結果、ウイークは真っ逆さまに落ちた。
「オイオイ……これ、大丈夫なのか?」
大きな音を立てて床に落ちたウイークを心配するカイトだったが、ウイークは声を上げながら立ち上がった。
「イッテェ! もう少し優しいやり方があっただろうが……」
そう言って立ち上がると、カイトを睨んだ。
「よーし! セアンちゃんたちをかけて俺と勝負だ! さぁ、かかって来い!」
「止めなさい、バカたれ」
と言って、チューズがウイークに向かって飛び蹴りを放った。飛び蹴りを受けたウイークはすぐに立ち上がり、チューズに近付いた。
「落ちた後だからダメージが残っているのに、これ以上俺を攻撃するな!」
「うるさいバカ船長! 今、変な海賊団と戦った後で、向こうも疲れているでしょう? そんな状態で戦って勝っても嬉しい?」
「嬉しいに決まっているだろ! 俺が勝ったら、セアンちゃんたちは俺たちの仲間だ!」
「バカなことを言わない! 一生黙っていろ!」
と言って、チューズはウイークを海に突き落とそうとした。ウイークが悲鳴を上げる中、カイトが止めるように説得した。
その後、ウイークたちはセアンたちと共にロビーにいた。
「で、セアンちゃんたちもデザートディッシュの宝を狙っているの?」
「そうだよ。その話をしたってことは、ウイークたちも狙っているのね」
お茶を飲みながらセアンはこう言った。ウイークは返事をした後、窓を見た。
「デザートディッシュの話は結構広がっているぜ。周りを見ているか? 他の海賊や冒険者たちがデザートディッシュへ向かっている」
「うん。さっき私たちが戦っていた連中もデザートディッシュに向かっていたと思う」
セアンはお茶を飲み干すと、クッキーを食べ始めた。そんな中、カイトたちは魔力の衝突を感じた。
「どこかで海賊同士が戦っているのかな?」
「そうかもしれないな」
ライアとカイトは窓を見て、他の海賊団が戦っている光景を見た。大砲を使っているのか、波が上がっていた。
「こりゃーリティーヒの宝の時よりもライバルが多いかもね」
「ああ。あの時も苦戦したが、今回はそれ以上に苦戦しそうだ。強い奴もいるかもしれない」
ライアとカイトが会話をする中、ラージュはサーズと話をしていた。
「ねぇラージュ。この薬の配合はどう思う?」
「とてもいい配合だと思うわ。これさえあれば……」
「そう。いろんなことが……ウフフ」
二人の危ない話を聞き、ケアノスは少し呆れていた。
「はぁ、二人が合うといつも危険な薬のことで話になる」
ウイークたちとの話で、場は盛り上がっていた。そんな中、地図を見ていたケアノスが声を出した。
「そろそろデザートディッシュに到着するわ。準備を始めて」
ケアノスの言葉を聞き、カイトたちは停泊の支度をしようとしたが、ウイークがあることを思い出した。
「そうだ! カイト、俺と戦え! とりあえず、着陸する前に一戦交えろ!」
「えー? 戦うのか?」
「軽く戦ってくれ! お前がセアンちゃんたちにふさわしいか俺が確かめてやる!」
ウイークの言葉を聞き、サディたちは呆れていた。
「仕方ないわね。カイト君、サクッとこのバカを始末して」
「始末って……」
「この人、多少のダメージじゃあ倒れないから殺すつもりで戦っていいよ」
「そんな物騒なことを言わなくても!」
カイトは恐ろしいことを言うサディたちに思わずツッコミを入れたが、セアンたちも続けてこう言った。
「サディたちの言う通り。本気でやっても問題ないよ」
「この人、体は頑丈だからどれだけ斬られても大丈夫だよー」
「早く着陸の支度がしたいから、秒で終わらせるつもりで戦って」
セアンたちの言葉を聞き、本当に本気で戦ってもいいのかと思ったが、ウイークもやる気で、サディたちもセアンたちも本気を出しても問題ないと言ったため、ウイークとの戦いに承諾した。
その後、二人はウイークの船に移動した。ウイークの船はヴィーナスハンドより少し広く、障害物もなかった。
「ここなら派手に戦っても大丈夫だ。多少船が痛んでも、チューズがすぐに修理するから」
「船長も手伝うこと」
「グッ……」
チューズの言葉を聞き、ウイークの動きは止まったが、すぐに立ち直ってカイトを見た。
「さーて、本気でかかって来い! さっきの疲れも休んだから、本気を出しても大丈夫だろう!」
「うーん……仕方ない。本気を出していいなら本気を出すぞ! ケアノスに早く終わらせてくれって言われているし」
カイトは魔力を開放し、刀を構えた。カイトの魔力を感じ、ウイークの肌に鳥肌が立った。
「おおぅ……こいつはすごい魔力だ。セアンちゃんたちが気に入るのも納得するぜ。だけど、剣の腕はどうだ? さぁ、かかって来い!」
「行くぞ!」
カイトは刀を構え、ウイークに向かって走って行った。ウイークは迫って来るカイトを見て、二つの剣を構えた。
今回の話の序盤は新キャラ、ウイークとその周りのキャラの説明だと思ってください。双剣なのは、適当に考えました。双剣っていいよねって思っていたころがありました。テ〇ルズオブシ〇フォニアのロ〇ドとか、デッ〇プールとかカッコイイし。でも、今は長剣一本か、剣と盾のセットの方がカッコイイと思ってる。考えが変わったのかな? 評価、感想質問、いいね、ブクマ、レビューをお願いします。いつでも待ってまーす!




