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カイトVSズッポウ


 テーナの魔力が急激に弱くなり、カイトと戦っていたズッポウは驚いた。


「嘘ぉ! テーナが負けたの? しかも数分で!」


「今度はお前がやられる番だ!」


 そう言って、カイトがズッポウに飛び蹴りをはなった。蹴りを受けたズッポウは後ろに吹き飛び、床を転がった。


「イッテェ! いきなり飛び蹴りとかするなよ! 危ないだろうが!」


「うるせー。やる気がないならさっさとやられろ」


 呆れたようにカイトがこう言った。カイトとズッポウが戦い始めて数分が経過したが、カイトはズッポウの実力が自分よりも差がある格下だと考えていた。


「手加減して戦うのも精神的に疲れるな……」


 と、カイトは呟きつつため息を吐いた。ズッポウはすぐに立ち上がり、カイトを睨んだ。視線に気付いたカイトもズッポウを睨み、魔力を開放した。


「やっとやる気になったか?」


 カイトがこう聞くと、ズッポウの背筋に悪寒が走った。カイトの魔力を感じたズッポウは、カイトが自分より強いと確信した。


「ひぇぇ~、この坊主俺より強いよ。勝てるかな?」


「勝てるかな? じゃない、勝つしかない!」


 ライアと戦っているジナはズッポウに近付いてこう言った。そのすぐにライアの攻撃が迫ったため、すぐに離れた。ジナの言葉を聞いたズッポウはため息を吐き、魔力を開放した。


「こうなったらぶっ倒れるまでやってやる! 行くぞ!」


 ズッポウは槍を持ち、カイトに向かって走って行った。


「やる気みたいだけど……まだ差があるな」


 魔力を開放したズッポウを見て、カイトは呟いた。カイトは刀を持ち、接近してきたズッポウに向けて刀を振るった。


「うおォッ!」


 刀が接近してくることを察したズッポウは上半身を反らし、攻撃をかわした。すぐに後ろに下がってカイトの様子を見たが、カイトは刀を構えて二撃目の行動を始めようとしていた。


「うーわ、まだ攻撃するの?」


「当たり前だろうが!」


 カイトはこう言いながら刀を振るった。二撃目の斬撃も運よくズッポウはかわすことができ、カイトの隙を見て槍で攻撃した。


「今だ! シェァァッ!」


 ズッポウが放った槍の矛先はカイトの脇腹に命中した。だが、命中したと同時にカイトは体を動かしたため、矛先はカイトの体の奥深くに刺さることはなかった。


「危なかった……」


 カイトは脇腹を治療し、魔力を少しだけ解放して氷の刃を作り、ズッポウに向けて放った。


「ヒャァァッ!」


 飛んでくる氷の刃を見たズッポウは、悲鳴を上げながら槍を盾代わりにした。その結果、氷の刃を受けたズッポウの槍は斬れてしまった。


「あああああ! この前買ったばかりなのに!」


「そんな安物を使うからだよ。戦う気がないなら、さっさと降参しろ」


 と言って、カイトは刀の先をズッポウに向けた。このままだとやられると察したズッポウは、魔力を開放して炎を両腕に発した。


「このままやられてたまるか! どうせ倒れるなら、悪あがきしてからぶっ倒れてやる!」


「やけっぱちになったか。なら、倒れるまで戦ってやる!」


 炎を発したズッポウは、右腕でカイトに殴りかかった。カイトは彼方を振るってズッポウの攻撃を防御したが、ズッポウは左腕をカイトに向けた。


「当たってくれ、俺の炎!」


 ズッポウの左腕から放たれた炎はカイトに命中した。命中したと同時にカイトは水の魔力を使い、自分に付着した炎を消した。


「結構厄介だな」


「厄介か。なら、勝てるかもしれない!」


 勝機を見出したズッポウは、にやりと笑った。その後、ズッポウは連続して拳を放ったが、カイトは分厚い氷を作ってズッポウの攻撃を防御した。


「炎の拳ながら、分厚い氷の壁なんて壊せる……はず!」


「壊せるはずじゃない。お前じゃあこの壁は壊せない!」


 ズッポウの言葉を聞いたカイトはそう言うと、氷の壁を蹴った。氷の壁はぐらりと動き、ズッポウの方に向かって倒れた。


「え? 嘘! 止めて!」


 壁につぶされると思ったズッポウは、両腕の炎を発して氷の壁を破壊しようとした。しばらく炎を発していると、カイトが作った分厚い氷の壁は消滅した。


「やった……やったぁ! 俺の力で氷を消したぞ! はぁ……はぁ……腹減った」


 ズッポウは荒く呼吸しながらその場に座った。だが、氷の壁の奥にいたはずのカイトの姿はなかった。


「え? マジで? 氷の壁の相手をしている隙にどこかに消えたの? 嫌だな、もう。襲ってこないでよ」


 消えたカイトを探すため、ズッポウは震えながら周囲を見回した。しばらく探していると、ズッポウの足元からカイトが現れた。


「ヒッギャァァァァ! そんな所から出てこないでよ!」


「お前があたふたしている隙に、床を壊して下に移動した。お前が氷を消した後で現れようと考えた!」


「そんな卑怯なことを考えちゃいや!」


「海賊の戦いに、ルールは存在しない!」


 カイトは刀を構え、魔力を開放した。刀の刃は光輝き、見ただけでこの状態で一閃を受けたら大きな傷になるとズッポウは察した。


「終わりにしてやるぜ!」


「これで斬られたら俺死んじゃう! 止めて、もう攻撃しないで! 降参するから!」


 ズッポウは泣きながらこう言ったが、カイトは動きを止めることはしなかった。カイトが刀を振り下ろしたと同時に、床の破片が上空に待った。カイトの刀の刃は船の床に命中していた。


「負けを認めた奴を斬ることはしないが、力を見せつけるにはこういうことをしないといけない。勘弁してくれよ」


 と言って、カイトは気を失って泡を吹いているズッポウを見た。気を失ったズッポウの体は大きく動き、横に倒れた。戦いが終わったと察したカイトは刀を鞘に納めた。そんな中、ヴィーナスハンドに近付く船を見つけた。


「おいおい、別の奴が襲ってくるのか?」


 この光景を見たカイトは、ゴイチ王国前に戦ったズライリー海賊団の一味の動きを思い出した。ヴィーナスハンドにいるコスタたちが危ない。そう思ったカイトは急いでヴィーナスハンドへ向かった。




 ウイークは望遠鏡でヴィーナスハンドとの距離を確認していた。


「さーて、そろそろ近付くな。最初に何て言おうかなー」


 と、ウイークは呟いていたが、仲間の女性たちは呆れてため息を吐いた。


「もうカイト君って子がいるからなんて言っても無駄だって」


「寝取ろうって考えたら、海の底で眠ってもらうから」


 この声を聞き、ウイークはため息を吐いた。


「するかよ、そんなこと。でも、久しぶりに会うから一言言わないと」


 そう言って望遠鏡を見直したが、そこにはヴィーナスハンドに戻るカイトの姿が映った。その後、ラージュがカイトを抱きしめた。この光景を見たウイークの額には、いくつもの青筋が浮かんだ。


「予定変更。あのガキをぶっ殺す。ラージュちゃんに抱き着かれて羨ましい」


 この言葉を聞いた女性たちは、ため息を吐いた後、近くに置いてある銃を持ってウイークに向かって発砲した。


「いやあああ! 撃たないで!」


「バカなことを言わないの。また似たようなことを言うと、弾を股間の玉にぶつけるよ」


「それだけは勘弁。マジで勘弁してください!」


 ウイークは股間を抑えながらそう言った。それからしばらくして、ウイークはラダムキトーの船から強い魔力を感じた。


「まだ戦いは終わっていないか。もう少しゆっくり動いて、合流する時間を調整した方がいいかも」


「そうね。帆を少し畳むわよ。船長、帆を畳んできて」


「へーい」


 ウイークはマストに登り、広げてある帆を畳み始めた。その時、高い位置にいるためラダムキトーの船で行われている戦いを見ることができた。


「敵の船は半壊。魔力はまだ強い。セアンちゃんたち、また強くなったな」


 と言って、ウイークは笑った。


 ラダムキトー海賊団との海賊団は次回でまとまります。他の海賊との海戦も書くけど、その度に敵の設定を考えなければならない。でもまぁ、一発キャラだから敵の名前はかなり適当に考えています。ラダムキトー海賊団の連中も、頭の中で浮かんだ単語やその関連する単語をいじっているだけです。次回更新をお楽しみに。評価、いいね、レビュー、ブクマ、感想質問お待ちしています。応援よろしく!

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