ピラータ海賊団VSラダムキトー海賊団
ラダムキトー海賊団は、ヴィーナスハンドを見て獲物を見つけたと考えていた。
「ヒャッハー! 獲物を見つけたぜー!」
「ヒャッハー! 楽しい血祭の時間が来るぞ!」
「ヒャッハー! お前ら、武器を持て!」
血気盛んな船員たちは剣や銃を持って奇声を上げていた。そんな中、槍を持った男が欠伸をしながらこう言った。
「お前ら、やる気があるのはいいが、敵をよく見てから叫べよ」
「分かりました、ズッポウさん」
ズッポウと呼ばれた男は、目をこすって望遠鏡をのぞいた。そこに映っていたのは、ヴィーナスハンドだった。
「ゲェッ! ヴィーナスハンドだ! あれはピラータ姉妹の海賊船だ! イヤアアア! 俺たちじゃあ勝てない、皆逃げろ!」
ズッポウの悲鳴を聞き、船員たちは悲鳴を上げた。
「まずい! このままじゃあ俺たちは捕まっちまう!」
「嫌だよー。俺、コテンパンにされるのは嫌だよー!」
「このままじゃあ全滅だ! ズッポウさん、ジナ船長に逃げようって言ってくれ!」
「分かった!」
ズッポウは急いで船長室へ向かい、船を操っているジナの元へ向かった。
「船長! このまままっすぐ行くのはマジで勘弁してください! この先にピラータ姉妹がいます!」
「あぁ? ピラータ姉妹がいるだぁ?」
ズッポウの言葉を聞き、ジナは不機嫌そうにこう言った。
「そうですよ。あのピラータ姉妹ですよ! この前、ゴイチ王国を救ったってニュースがあったじゃないですか! ズライリー海賊団を倒したって言うし、俺たちじゃああいつらを倒すのは不可能ですよ~!」
ジナはズッポウの言葉を聞き、口に咥えていた煙草を取ってこう言った。
「戦ってもいないのに負けた気になるな。やってみなければ分からないよ。そうだろ、テーナ?」
と言って、ジナは横にいるテーナと呼んだ男の方を見た。テーナは壁によりかさり、腕組をして立っていた。動じないテーナを見て、ズッポウは凄みを感じた。
「凄い。強敵が目の前にいるのに、この人は少しも動じない」
動揺したズッポウは思わず呟いた。だが、変な音を耳にし、どこから音が聞こえるか調べた。その音は、テーナから聞こえていた。
「テーナさん、失礼します」
テーナに近付いたズッポウは、テーナが動じない理由を把握した。
「船長、この人寝てます」
「さっきから動かない、返事をしないと思ったら寝てたのかよ! 今すぐに叩き起こせ!」
ジナに言われ、ズッポウは失礼しますと言ってテーナの頭を叩いた。
「アイダァッ! 何があった? 敵か? 敵が来たのかこの野郎!」
テーナは武器であるヨーヨーを振り回しながらズッポウに聞いた。呆れたズッポウは前を指差して答えた。
「目の前にピラータ姉妹がいます。船長はやる気満々」
「げえええええ! ピラータ姉妹がいるの? 船長、俺たちじゃあ勝てないから逃げましょうよ」
情けないテーナの声を聞き、ズッポウはさらに呆れた。ジナは新しい煙草を口にし、情けない二人の男にこう言った。
「情けないねぇ、そんな態度じゃあ股に付いているナニが泣いちまうぞ! それと、進路を変えようとしても急に変えられない。このまま突っ込む!」
ジナの言葉を聞き、テーナとズッポウは仕方ないと思いつつ、無事であるようにと祈り始めた。
近付いてくるラダムキトー海賊団を見て、セアンとライアは武器を構えていた。
「奴ら、恐れずに向かってくるね。どうする?」
「どうするも何も、迎え撃つ!」
「おーい、俺も行くよ」
と言って、刀を持ったカイトが姿を現した。
「カイトも奴らと戦うのね。一緒に暴れよう」
「ああ。で、相手は今どんな状況だ?」
「こっちに向かってきているだけ。大砲とかは使わないのかな?」
ライアは不思議そうにこう言った。その時、上からコスタの声が聞こえた。
「とりあえずこっちから先手打つ?」
「お願い。一発やっちゃって!」
セアンがこう言うと、コスタはスナイパーライフルを構えてラダムキトー海賊船の大砲に目がけて発砲した。放たれた弾丸は大砲の中に入り、中の弾薬に命中し、大きな音を発して破裂した。
「うわあああ! 大砲が爆発した!」
「破片が飛んでくる! いて!」
「狙撃される! 嫌だ、もう!」
先手を打たれたため、更に船員は混乱し始めた。そんな中、観念した表情のズッポウとテーナが外に出てこう言った。
「皆、覚悟を決めてくれ! 船長がやる気だ、説得に失敗した!」
「何やってるんですかズッポウさん! テーナさん!」
「俺たちがピラータ姉妹を倒せるはずがないでしょうが!」
「仕方ないだろ、俺たちはやる気がなくても、船長がやる気満々何だよ! ああなった以上、俺たちの言うことは聞かないよ!」
「結局こうなるのね。ウワーン!」
船員の一人が、大きな声で泣き始めた。それから、コスタの狙撃がラダムキトーの大砲に襲い掛かった。そのせいで船は中破し、大砲は全て使い物にならなくなった。
「あっという間に半壊したー!」
「船長、逃げましょう! 勝てません!」
慌てる船員を見て、ジナはにやりと笑ってこう言った。
「ピンチな状況の時にこそ、活路はある! このまま突っ込む!」
ジナの言葉を聞き、船員とズッポウとテーナは祈るポーズをして助けてくださいと呟いた。
ヴィーナスハンドの上にいるコスタは、半壊したラダムキトーの船が突っ込んで来る様子を見て、下に向かって叫んだ。
「奴ら、あの半壊した状態で突っ込んで来る!」
「了解! 私とカイトとライアで食い止める! 皆、魔力を開放するよ!」
カイトとライアはセアンの声に合わせ、魔力を開放した。その後、セアンとライアは風を発し、カイトは大きな氷を発してラダムキトーの船を食い止めた。
「よし、反撃だ!」
セアンはそう言って、武器を持ってラダムキトーの船に乗り込んだ。その後に続いて、カイトとライアもラダムキトーの船へ向かった。
カイトが作った氷に激突したラダムキトーの船は、動きを止めていた。テーナの周りには、氷に激突した際、転倒した船員が転がっていた。
「おい、お前たち大丈夫か?」
テーナの声を聞いた船員は反応し、立ち上がった。だが、中には気を失って反応しない船員もいま。
「まずいな、気を失っている奴がいるのか。おーい! 動ける奴は倒れた奴を助けてくれ! 敵も来るだろう、早く動いてくれ!」
「そうはさせないよ!」
テーナの声を遮るかのように、セアンの声が響いた。その直後、立ち上がった船員の体が注意に浮かんでいた。
「うわあああ!」
「テーナさぁぁぁん!」
セアンの攻撃を受けた船員たちは、悲鳴を上げながら海へ落ちて行った。倒される船員を見て、テーナは怒りがわいた。
「お前……よくも俺たちの仲間を! 勝てないと思っていたが、仲間がやられた以上、どんな手を使ってでもお前を倒す!」
「やる気だね」
セアンは笑いながら、カトラスをテーナに向けた。そんな中、ズッポウは周囲を見回し、他に敵がいないか確認した。すると、船員に攻撃を仕掛けるカイトとライアの姿を確認した。
「乗り込んで来たのは三人か。テーナ、セアンの相手を任せる! 俺は二人の相手をする! 勝てるかどうか分からないが」
「頼んだズッポウ。お互い無事でいよう」
テーナはそう言うと、飛んで来たセアンの衝撃波に対し、魔力を込めたヨーヨーを操ってかき消した。ジナはカイトたちが乗り込んで来たことを察し、操舵室から出て、愛用のショートソードを手にした。
「さーて、噂のピラータ姉妹とその彼氏君がどれだけ強いか、お手並み拝見と行こうか!」
そう言って、カイトとライアの元へ向かって行った。船員を相手に戦っている二人は、自分たちに向かって歩いてくるジナを見て、動きを止めた。
「こんにちはピラータ姉妹とその彼氏。私はこの船の船長、ジナだ」
「あんたが船長か。丁度いい、ここであんたを倒させてもらうよ!」
「女だからって、俺は容赦しないぞ」
と、言葉を返しながらカイトとライアは武器を構えた。
冒険の前に、ラダムキトー海賊団とのバトルが始まります。今回のように他の海賊との戦いの話も書く予定です。海賊の話だからね、これ。というわけで、ブクマ、評価、いいね、感想質問お待ちしています。応援よろしくぅ!




