ラージュVSホタイ
ラージュの手刀によってホタイは大きな傷を受けた。だが、この傷を受けてもまだホタイは立ち上がるとラージュは考えていた。
「よくもやりやがったな! こうなったら奥の手だ!」
と言って、ホタイは巨大なハサミを前後に動かし、分離させた。この動きを見たラージュは感心した声を上げた。
「あらまぁ。そのハサミ、分離するのね」
「そうだ。俺のハサミは二つの剣にもなる! 二つの剣の動きが見えるか?」
ホタイは魔力を開放し、ラージュに斬りかかった。ラージュは防御するよりも回避した方がいいと選択し、ホタイの斬撃をかわした。攻撃の隙を見て大剣の一撃を放とうとラージュは考えていたが、ホタイの動きは予想よりも早く、反撃をする隙がなかった。
「二刀流は難しいと言われている。だが! 俺は長年の戦いで隙のない動きを見つけることができた! 残念だったなぁ、お前では俺を倒すことはできない!」
「勝手に決めつけないで」
ラージュは後ろに下がり、魔力に大剣を込めて大きく振るった。大剣の刃から波のような衝撃波がホタイに向かって行ったが、ホタイは武器を使って衝撃波をかき消した。
「無駄だ! こんな衝撃波、簡単に消すことが……」
得意げに叫んでいたホタイだったが、その横をラージュが物凄い速度ですり抜けた。その瞬間、ラージュが放った衝撃波は囮で、ラージュの本命の動きは背後に回っての一撃であることをホタイは理解した。
「クソ!」
ホタイは急いで振り向いてラージュに攻撃を仕掛けようとしたが、その前にラージュは大剣を振り下ろしてホタイに一閃を与えていた。
「グアアアアアアッ!」
一閃を受けたホタイは悲鳴を上げながら後ろに吹っ飛び、そのまま床に倒れた。背中から落ちてしまったため、受けた傷に激痛が走った。
「グアッ! イテェ……」
「これで私の怒りが収まったと思わないで。まだまだ、まだまだまだまだあなたを痛めつけないと私の怒りは収まらないわ」
ラージュは転げまわるホタイを睨み、魔力を開放した。ホタイはすぐに立ち上がり、武器を構えた。
「お前の怒りなんて知ったことか。俺が殺した奴の仇討ちか? 海賊がバカらしいことをするなよ」
「私たちを下種な海賊と一緒にしない方がいいわよ。まぁいいわ、下種な脳みそで私たちのことを理解しようとしても、時間の無駄だし」
「見下すなよ、女のくせに!」
ホタイはラージュに向かって走り出した。ラージュはホタイに向けて大剣を構えたが、ホタイはジグザグに走り出した。
「これでどこから攻撃が来るか分からないぜ!」
「あほらし」
ラージュはそう呟くと、大剣を振るってそのまま回りだした。それを見たホタイは下品な声で笑いだした。
「ゲハハハハハハハハ! でかい剣を振り回せば攻撃が当たるって思っているのか? バカだな! 上から攻撃すれば意味がないだろうが!」
ホタイは飛び上がって攻撃を仕掛けたが、それを見たラージュは魔力を開放した。その瞬間、ラージュの周囲に小規模の竜巻が発生した。竜巻に飲み込まれたホタイはそのまま回りだした。
「クソッ! これが目的か!」
ラージュは竜巻を作り、攻撃をするとホタイは察した。だが、竜巻に飲まれた以上、体を動かすことはできなかった。
「気付くのが遅いのよ。さ、ぶっ飛びなさい!」
悲鳴を上げているホタイに向かってラージュはそう言うと、大剣を振り回して竜巻を動かした。ホタイは竜巻と共に奥へ飛んで行き、壁に激突した。
「ガッハァッ!」
強く壁に激突したため、ホタイは吐血してしまった。竜巻は消滅したが、体中に痛みが走るため、ホタイは動くことができなかった。
「や……やばい。これ以上戦ったら身が持たない……」
このままでは負ける。確実に負ける。そう思ったホタイは一度この場から逃げ、傷の手当てをしようと考えた。しかし、遠くから飛んで来たホタイの武器が右肩と左足の太ももを突き刺した。
「ギャアアアアアアアアアアア!」
武器が突き刺さったホタイはその場に倒れ、悲鳴を上げていた。武器の刃は奥深くまで刺さっており、抜こうとしてもかなり時間がかかる。その上、体には激痛が走るため、腕を動かすことはできなかった。
「お……俺が……こんな奴らに……」
「残念。私を怒らせたらどうなるか、身を持って知った?」
大剣を構えたラージュが倒れているホタイに近付き、こう聞いた。ホタイはラージュを見て、恐ろしいほどの殺気を感じていた。
「や……止めろ……殺すのは止めてくれよ」
「ズミタさんを殺してよくもそんな言葉を言えるわね。呆れた」
ホタイの言葉を聞き、ラージュは呆れてため息を吐いていた。その隙を見て、ホタイは体中の魔力を開放し、ズミタを殺した時と同じように火の魔力をラージュの中に入れ、爆殺しようとした。しかし、ホタイの安易な行動をラージュは予測していた。
「そんな攻撃が通用すると思う? 隙を見せたら、あなたは絶対そうするって考えていたわ」
「そ……そんな……」
「私は人を殺さないから安心して。でも、痛い目を見てもらうわ」
ラージュはそう言うと、大剣を振り下ろし、すぐに横に払った。二撃の斬撃はホタイに大きな傷を与えたが、大剣を横に払った後、ラージュは体を回転させて大剣を操りやすい状況を作り、そのまま大剣を振り上げた。この攻撃を受けたホタイは天井に向かって吹き飛び、激突した。勢いがあったのか、ホタイの頭は天井を突き抜けてしまった。
「が……ガハァ……」
頭を強くぶつけたせいで、ホタイは完全に気を失ってしまった。ボロボロになったホタイを見て、ラージュは大剣をしまった。
「まだむしゃくしゃする」
そう言うと、ラージュは高く飛び上がってホタイの股間に蹴りを入れた。ホタイは気を失っていたが、この攻撃を受けた瞬間に体は反応した。
「ふぅ。少しは気が晴れた」
ラージュはそう言うと、後ろからコスタとケアノスが駆け付けた。
「ラージュ、無事みたいでよかった」
「心配してくれてありがとう、ケアノス。私は無事よ」
「この男って……ズミタさんを殺した……」
コスタは天井からぶら下がっているホタイを見て、コスタに答えた。
「ええそうよ。でも、私が徹底的にぶちのめしたし、急所を破壊したからもうこの先生きていけないかもね。殺すより、生き地獄を見せた方が私はいいから」
「え……ええ」
ラージュの物騒な言葉を聞いて、ケアノスは少し動揺しながらも言葉に反応した。それからすぐにケアノスは上を見てこう言った。
「上から魔力を感じたの。セアンたちが敵と戦ったかもしれない」
「早く行こう。変な奴らと戦って時間を使っちゃった」
「ええ。急ぎましょう!」
その後、合流した三人は急いで走り出した。
カイトとセアンは城を登り続け、最上階にたどり着いた。
「ここが一番上か」
「今使った階段とは別の階段はなさそうだから、多分そうだね」
セアンは周囲を見回し、カイトにこう言った。二人は最上階を探し回り、ロベリーとヴロミコの姿を探し始めた。しばらく探していると、二人は大きな広間に出た。
「何の部屋か分からないけど、散らかっているね」
「図書室か? 結構な数の本があるな」
カイトは床に落ちていた本を見ると、その本がゴイチ王国の歴史の本であることを知った。それから周囲の落ちている本を見て、その本の全てが歴史の本であることを察した。
「全部歴史の本だ。誰が読んでいたか分からないけど、ちゃんと片付けろよ」
「敵の親玉かな? 消しゴムのありかが歴史の本に書いてあるかもって考えて調べていたかも」
「ああ。その考えが正しいかも」
二人は話をしていると、セアンが天井付近に奥へ通じる通路を見つけた。
「見て、あんな変な所に通路がある」
「もしかして、あそこから……」
カイトはセアンの方を見て、ロベリーとヴロミコはこの奥にいるかもしれないと思い、高くジャンプして通路へ向かった。
バトルの話が多いこの話だけど、一回のバトルにどれだけ話数を使えばいいのか俺は分からない。一回につき一話、各章のラスボスはそれなりに話数を使うけど。いろんな意見を聞けたらいいな。と言うわけで、感想質問、評価、いいね、レビューをお願いしまーす!




