ライアVSサマオ
サマオは鋭い氷を発し、ライアを刺していた。そして追い打ちのため、ライアに刺さった氷を回していた。
「ガアッ!」
ライアは痛そうな声を発し、小さく吐血した。サマオはもう少しでライアは死ぬと思い、勝利を確信した。
「フハハハハ! 残念だった! お前はここでくたばるのだ!」
「くたばる? そうは……いかないよ!」
ライアは氷を掴み、強く握って氷を粉砕した。砕け散った氷を見たサマオは動揺したが、すぐに新しい氷を作り出した。
「深い傷を受けても、まだ動けるとは思わなかった。だが、氷は魔力がある限り、いくつでも作れる」
「だったら、何回でもその氷をぶっ壊すだけだよ」
そう言って、ライアはナイフを構えた。サマオは強がるなよと思い、床に触れた。
「なら! この氷を砕くことができるか?」
サマオの足元から、巨大な氷が次々と現れた。ライアは魔力を開放し、氷を粉砕した。
「壊したか。だが、これで終わったと思うなよ!」
小さな氷の粒を見て、サマオは魔力を使って小さな氷の粒をライアに向かって飛ばした。粒の大きさは米粒よりも小さい。この小ささなら、避けることもできないとサマオは思った。しかし、ライアはナイフを使って小さい氷の粒をサマオに向けて跳ね返した。サマオは氷の粒が跳ね返らないだろうと思っていたため、避ける構えを取っていなかった。そのせいで、飛んで来た氷の粒がサマオの腹を貫いた。
「グガッ! ま……まさか……」
傷を受けたサマオがうずくまっていると、放った氷の粒がサマオに向かって飛んで来ていた。
「何! あの大きさの粒を全て跳ね返したのか!」
動揺してしまったため、サマオは身構えることができなかった。そのせいで、跳ね返って来た氷の粒を全て受けてしまった。
「ガアアアアアアア!」
サマオは悲鳴を上げながら後ろに吹き飛び、しばらくその場で倒れていた。
「形勢逆転だね」
ライアは倒れたサマオに向かって、風の刃を放った。風の刃が迫って来ると察したサマオは体を回転させて攻撃をかわし、立ち上がった。
「まだだ。まだ俺の有利な状況であることには変わりはない……なっ!」
ライアの姿を見たサマオは、目を開けて驚いた。ライアの傷は治っており、乱れていた呼吸も元のリズムに戻っていた。
「お前、俺が倒れている数秒の間に傷を治したな」
「そうだよ。ラージュから素早く治癒する方法を教えてくれたの。話はもういいでしょ? あんたみたいな奴と話はしたくない」
ライアは魔力を開放し、サマオに接近した。サマオは槍を持って反撃しようとしたが、ライアは左手のナイフでサマオが持つ槍の矛を切り落とし、右手のナイフでサマオの左肩を貫いた。
「グハァッ!」
左肩に激痛が走ったため、サマオは後ろに下がった。だが、ライアは後ろに下がろうとするサマオの足を強く踏んで動きを止め、右足を蹴り上げた。ライアの右足はサマオのあごに命中し、攻撃を受けた衝撃でサマオの顔は後ろに反った。
「が……あ……」
後ろに倒れようとしたサマオだったが、ライアは右手のナイフでサマオの右肩を突き刺し、そのまま押し倒した。
「チッ! 邪魔だ、どけ!」
両肩の激痛を我慢し、サマオは両手を前に突き出して氷を発した。巨大な氷はライアに向かって伸び始め、天井を突き抜けた。
ライアが上の階に飛ばされたことを察し、サマオは急いで回復しようとした。しかし、上の階から風の刃が飛んで来た。
「グッ! 回復が早い!」
飛んで来た風の刃をかわしながらサマオは壁の後ろに隠れた。呼吸を整え、深い傷を負った両肩を治そうとしたが、その隙にライアはサマオがいる階に戻り、猛スピードでサマオに接近した。
「クソッたれ!」
サマオは治癒を止め、接近したライアに回し蹴りを放った。ライアは飛んで来たサマオの右足をナイフで刺し、もう片方のナイフを振り上げてサマオの右足の太ももを切り裂いた。サマオは悲鳴を上げながらバランスを崩し、転倒してしまった。
「もう終わりだね。この状態で傷を治せるものなら治してみな」
と、ライアはサマオを見下すような目でこう言った。その目を見たサマオは苛立ち、魔力を開放した。
「ふざけるなよ、クソガキ! そんなに死にたいなら、この攻撃で殺してやる!」
サマオの全身から霧が発し、周囲を包み込んだ。そして、その霧は小さな粒となり、ライアに向かって襲い掛かった。
「グッ!」
無数の小さな粒はライアに襲い掛かり、次々と傷を与えて行った。その隙にサマオは立ち上がり、治癒をしようとした。
「ハハハ……これが俺の本気だ。どうだ? さっきみたいに跳ね返してみろよ」
悲鳴を上げるライアを見て、サマオは今度こそライアを殺せると思った。しかし、攻撃を受けるライアの目はサマオを睨んだ。
「分かったよ。それじゃあこの粒を全部あんたに返してやるよ!」
そう叫んだ後、ライアはサマオより強い魔力を開放し、強風を作り出した。
「な……何だと!」
ライアが作り出した強風は大きな渦を作り、ライアの周囲に浮いていた小さな粒を飲み込んだ。
「俺の氷が!」
「それじゃあ、お望み通りこの粒をあんたに返してあげる。ちゃんと全部、受け取ってね!」
ライアは風を操り、サマオに向けて放った。風の中にある粒は猛スピードでサマオに飛んで行き、命中していった。
「そんな……俺の技を使うとは……グアアアアアア!」
風の中でサマオの悲鳴が轟いた。ライアは魔力を弱めて風を消すと、そこには血だらけのサマオが倒れていた。
「うーん……やりすぎたかな」
そう呟くと、ライアはその場で座った。サマオとの戦いで、大量の魔力を使って疲れてしまったのだ。しばらく座っていると、カイトとセアンがライアの元にやって来た。
「強い魔力があったと思ったら、誰かと戦っていたのか」
「で、こいつがライアに倒された奴……あ」
カイトとセアンは倒れているサマオを見て、ズミタを殺した一人だと把握した。セアンはサマオを睨んで右腕を回したが、ライアはセアンにこう言った。
「こいつはもう動けないよ。徹底的にやっつけたから。それより先に王女様を助けてよ。私は休んだら向かうから」
「うん。そうだね。それじゃあ私とカイトで先に行くよ」
「ライア、後は任せてくれ」
「お願い。後は頼んだ」
カイトとセアンはライアの言葉を受け、先へ向かった。
ラージュと戦うホタイは、サマオの魔力が弱くなったことを察した。
「サマオ!」
「仲間の一人がやられたみたいね。ライアの魔力が弱くなったのも気になるけど、後で治療しましょう」
「いや、貴様は仲間の元へは行かせん。ここで殺す!」
ホタイは巨大なハサミを振り回し、ラージュに襲い掛かった。ラージュは攻撃をかわしつつ、天井に張り付いた。
「天井に張り付いて何をするつもりだ? 虫のモノマネか?」
「魔力を使ってくっついているのよ」
ラージュはそう言って天井を蹴ってホタイに迫り、大剣を振り下ろした。ラージュの大剣はホタイを一閃し、後ろに吹き飛ばした。血を流しながら飛ばされたホタイは遠くの壁に激突し、更に傷を負った。
「グウッ! あの女……」
ホタイは立ち上がり、ラージュに襲い掛かろうとした。しかし、周囲にラージュの姿は見えなかった。
「どこだ? 逃げたか?」
「誰が逃げるものですか」
後ろからラージュの声が聞こえた。ホタイは振り返って後ろにいるラージュを見ようとしたが、その前にラージュの手刀がホタイの腹にめり込んだ。
「グガァ……その剣以外にも武器はあるのか?」
「まぁね。魔力を込めて手足を振るえば、強力な武器にもなるわ。魔力を使う以上、あなたも知っているはずよ」
と言って、ラージュはホタイの腹から手を抜いた。この攻撃でホタイは大きな傷を負った。だが、まだホタイは勝負を諦めていないとラージュは考えていた。
最近人対人の戦いが続いているというか、ゴイチ王国の話は主に人と人の戦いをメインに書きたいなと考えていました。次の話ではモンスターとの戦いの話もあります。というわけで、評価、ブクマ、いいね、感想質問お願いします!




