表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/430

ケアノスVSソビアーク


 ケアノスは深く呼吸をしてレイピアを構えた。ソビアークはその場でステップを踏むかのように軽くジャンプし、ケアノスを見ていた。


「さーて、サクッとやりますか!」


 と言って、ソビアークはナイフを取り出し、右手で握った。


「行くぜ!」


 ソビアークが叫んだ直後、ソビアークは猛スピードでケアノスに迫った。この行動をとるだろうと考えていたケアノスはレイピアを振り回し、小さな風の刃を振り回した。


「風の刃か。そんなものが俺に効くかよ!」


 飛んでくる風の刃を見て、ソビアークは避けることもせず走り続けた。風の刃はソビアークの体に傷を付けたが、それでもソビアークは止まらなかった。


「これ以上私に近付くと傷が増えるわよ。止まった方がいいわよ」


「そんなことはしない! 戦いをすれば傷はできる!」


 ケアノスの言葉にこう返すと、ソビアークはナイフをケアノスに向けて投げた。何故ナイフを投げたと思ったケアノスは飛んでくるナイフを見た。ナイフの握り手には鎖が付いており、先を見るとソビアークの右手の人差し指にフックのようなものがあり、鎖はそこから繋がっていた。


「変わったナイフね。その鎖はおしゃれのためじゃなさそうね」


「俺はおしゃれな武器は使わない。見た目だけ派手で性能はゴミだからな。こいつはチェーンナイフ。鎖が付いたナイフだ! 俺が自分で作った最高の武器だぜ!」


 と言って、ソビアークは魔力を開放した。その瞬間にチェーンナイフは炎で包まれ、ケアノスに襲い掛かった。


「そんなこともできるのね」


 ケアノスはこの行為を見て、ソビアークの攻撃方法をある程度理解することができた。


 ソビアークはナイフを投げて攻撃し、外したりしても鎖を使えば手元に戻せる。


 魔力を使って炎でナイフを包み、威力を上げる。


 よくある攻撃のパターンだと思いながら、ケアノスはナイフをかわした。


「かわしたか。だが! まだまだぁ!」


 ソビアークは鎖を引っ張り、チェーンナイフをケアノスに向けて移動させた。鎖を操って移動することもケアノスは考えていた。呆れたように息を吐いたケアノスは、飛んでくるチェーンナイフに向けてレイピアを突いた。


「誰でもできる攻撃をドヤ顔でやらないの。そんな攻撃、楽に見切れるし、対策も考えることができる」


「ほう、そうか。こんなことが起きてもその余裕の顔でいられるか?」


 ソビアークは魔力を使い、チェーンナイフの周りの炎を破裂させた。ケアノスの周囲に炎が飛んできたが、ケアノスは風のバリアを使って飛んでくる炎を弾き飛ばした。


「面白い奴だ。何をやっても俺の攻撃を対処してしまう」


「単細胞のやることなんてすぐに分かるわ」


 ケアノスは周囲を見回し、後ろを向いて逃げ始めた。いきなり逃げ始めたケアノスを見て、ソビアークは目を開いて驚いた。


「うおっ! いきなり逃げるなよ! 何で逃げる!」


 逃げ出したケアノスを見て、ソビアークは慌てて走り出した。ケアノスを追ってソビアークは廊下に到着した。いくつか分かれ道はあるが、ケアノスは魔力を使っているため、魔力を探知してソビアークはすぐにケアノスの居場所を把握した。


「魔力を使っていたらどこにいるか分かるのによぉ!」


 ソビアークは廊下を走り、ケアノスがいるかもしれない部屋に向かった。だがその途中で、天井から風の刃がソビアークを襲った。


「グアアアアア!」


 天井から風の刃が来るとは考えていなかったソビアークは、風の刃を受けてしまった。すぐに後ろに下がったが、扉の向こうから現れたケアノスがソビアークに斬りかかった。


「グッ! 卑怯だぞ、お前!」


「言っていたよね? 海賊の戦いに卑怯も何もないって!」


 ケアノスは攻撃をした後、後ろに下がって再び逃げ出した。攻撃を受けたソビアークは立ち上がり、走り出したケアノスを睨んで走り出した。


「待てよ、この女!」


 叫んでも、ケアノスは止まらなかった。腹が立ったソビアークはチェーンナイフを投げ、ケアノスに攻撃を仕掛けた。


「またその攻撃? 効かないって言ったでしょ!」


 ケアノスは振り返ってチェーンナイフを弾き返そうとしたが、途中でチェーンナイフの鎖は切れた。


「なっ!」


「引っかかったな!」


 鎖が切れたチェーンナイフは自我を持ったかのように動き出し、ケアノスの背後に回った。そして、ケアノスの背中を突き刺した。


「グッ!」


「命中したな? さぁ、燃えちまえ!」


 刺さったチェーンナイフは燃え始め、あっという間にケアノスの全身を包み込んだ。


「うあああああ!」


「フハハハハ! やっと大きなダメージを与えられた。さて、このまま激しく燃えて灰になるがいい!」


 勝利を確信したソビアークだったが、ケアノスは魔力を開放し、その勢いで炎を消した。それを見たソビアークは、残念そうにため息を吐いた。


「服だけでも灰になってくれればよかったけど」


「見た目通りスケベ野郎ね。悪いけど、私には好きな人がいるから。その人以外に私の全てを見せたくない」


 ケアノスはそう言うと、指を鳴らした。その瞬間、ソビアークの周囲から無数の風の刃が現れた。


「グアッ……まだ……こんなに風が……」


「まだまだあるわよ。でも……あんたみたいなバカ相手に本気を出すのがバカらしくなってきた」


 と言って、ケアノスは周囲の風をレイピアに纏わせた。その直後、レイピアの周りには大きな風が発生した。


「覚悟しなさい。すぐに終わらせるわよ」


「ヒッ……ヒェッ!」


 ケアノスは悲鳴を上げるソビアークに接近し、レイピアを突き刺した。その瞬間、レイピアに纏っていた風がソビアークを振り回し、壁や床、天井にぶつけて行った。


「これでぶっ飛びなさい、スケベ野郎!」


 ケアノスは窓を見つけ、そこからソビアークを外に向かって吹き飛ばした。落ちて行くソビアークを見た後、ケアノスは小さな声で呟いた。


「後でロベリー王女に叱られないかな。ちょっと……やりすぎた」




 下の階に向かっているサマオとホタイは、マゾルオたちの魔力が弱まったことを感じ、彼らが倒されたことを把握した。


「あいつら、すぐにやられちまったな」


「ピラータ姉妹の魔力はまだ強く感じる。足止めにもならなかったか……」


「後は俺とお前でどうにかするしかないか。早く船長が消しゴムを手にすれば、奴らを消せるが」


 二人は会話をして、階段を下りていた。その時、風の刃が飛んで来た。


「おっと、ピラータ姉妹の誰かがいるようだ」


「クッ、厄介だな」


「厄介で悪かったね!」


 叫び声と共に、ライアが飛び蹴りをしながら現れた。二人はライアの飛び蹴りをかわし、着地したライアを睨んだ。


「ここから通さないつもりか。面倒だな、まだ下にも敵はいるのに!」


 ホタイは歯を食いしばりながらこう言ったが、サマオは槍を持ってホタイにこう言った。


「俺が奴を倒す。お前は床をぶち抜いて下の階に向かえ。下りの階段は遠くにあるから、そこまで行くのに時間はかかるし、敵と遭遇する確率が高い」


「お前を置いて向かえって言うのか!」


 ホタイの言葉を聞き、サマオはため息を吐いてこう言った。


「俺があんな奴を相手に戦って、負けると思っているのか? そう思っているなら、少しショックだ」


「悪かった。じゃあ、俺は先に向かう。必ずあいつを殺して、俺と合流しろよ」


「分かった。お前も無事でいろ」


 サマオはそう言って、飛んでくるライアの攻撃に合わせて槍を振るった。サマオとライアが戦っている中、ホタイは火の魔力を使って床を破壊して大きな穴を作り、そこから下の階へ飛び降りた。床に着地したホタイは上を見上げ、小さな声で呟いた。


「必ず勝てよ、サマオ」


 スラノスとの戦いもいよいよ大詰め。奴らとの戦いが終わったら、ついにヴロミコとの戦いになります。前のロガンのジジイと同じように少し長めに話を作りました。各話のラストバトルは、少し長めに話を作っています。というわけで、評価、ブクマ、いいね、感想質問お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ