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セアンVSマゾルオ


 こんなに嫌悪感を抱く男がこの世にいるとは思わなかった。セアンはそう思いながらマゾルオから逃げていた。マゾな性格のマゾルオに強い攻撃を仕掛けても、奴は興奮するだけであるとセアンは理解していた。


「待ってよー! もっとオイラを興奮させておくれー!」


「チッ、この変態野郎!」


 追いかけて来るマゾルオを見て、セアンはハンドガンを放った。半殺しにするつもりでマゾルオの腹に目がけて銃を撃ったが、銃で撃たれてもマゾルオはぴんぴんしていた。


「ふぅ。いい痛みだ」


「嘘ぉ! 銃で撃たれたのに!」


 マゾルオにダメージがないことを知り、セアンは驚いた。銃で撃たれた跡はあるのだが、腹からは血は流れていなかった。セアンの驚く顔を見たマゾルオは、にやりと笑って腹に力を入れた。その瞬間、ぶよぶよのマゾルオの腹が勢いよく膨れ、腹にめり込んでいた弾丸が勢いよく発射された。


「ふふふ。オイラの腹は鎧より頑丈だ! だから、いくら殴っても斬っても撃っても意味がない!」


 マゾルオの言葉を聞き、セアンは魔力を開放した。


「それじゃあこれならどうだ!」


 と言って、無数の風の刃をマゾルオに向けて放った。飛んでくる風の刃を見て、マゾルオは嬉しそうな顔になった。


「おお! こいつはすごい! 素晴らしい痛みが期待できる!」


 嬉しそうな声を上げ、マゾルオは風の刃に向かって走って行った。風の刃はマゾルオを切り裂いたが、大きなダメージを与えることはできなかった。


「何だ。あまりいい痛みじゃないな。これじゃあ紙で指を切ったと同じ痛みだよ」


 残念そうにマゾルオはそう言うと、魔力を開放してすぐに体の治療を行った。その際、マゾルオの治癒の速度はとんでもなく早かった。


「マジで……すぐに傷が治っちゃった……」


「グフフ。オイラの体は傷が治りやすい体質だ。だから、小さい切り傷なら秒で治る。さて、本当はもっと楽しみたいけど、敵を倒さないと叱られるから……オイラの方も仕掛けるぜ」


 マゾルオは腰にある鞭を手にし、セアンに向けて放った。セアンとマゾルオの距離はかなり離れている。そのため、鞭は届かないだろうとセアンは思った。しかし、マゾルオは魔力を発して鞭に注いだ。


「喰らえ! ダンシングウイップ!」


 マゾルオの叫び声と共に、急に鞭の先端が伸び、セアンに命中した。


「ウウッ!」


 セアンは攻撃を受け、後ろに吹き飛んだ。床を転がりつつもセアンは態勢を整えたが、再び鞭がセアンの前に迫っていた。


「チッ! 変な鞭だ!」


 セアンはカトラスを使って鞭の先端を切り落とした。しかし、斬り落とされた個所から魔力のオーラが発し、斬り落とした先端にくっついてしまった。


「そんなのあり!」


「オイラの鞭、ダンシングウイップは特殊な素材でできている。たとえ斬り落とされても、魔力を発すればくっついて元に戻る! そして、こんなこともできる!」


 マゾルオは叫んだ後、火の刃を発してダンシングウイップを斬り刻んだ。バラバラになったダンシングウイップは地面に落ちたが、マゾルオの魔力に反応して浮き上がり、セアンに向かって飛んで行った。


「行けぇ! オイラのダンシングウイップよ!」


 ダンシングウイップの破片が一斉にセアンに襲い掛かった。セアンはカトラスやハンドガンを使ってダンシングウイップを切り落とし、撃ち落としていったが、魔力を使えば元に戻るダンシングウイップは、攻撃を受けても元に戻ってしまった。


「あのマゾ野郎、なかなかやる!」


 これ以上攻撃をしていたら、時間の無駄だ。そう思ったセアンは攻撃の手を止め、再び逃げ出した。


 何かをするつもりだが、少し様子を見よう。


 そう考えたマゾルオはダンシングウイップを元に戻し、セアンの動向を探った。セアンは遠回りしてマゾルオの背後に回り、カトラスでマゾルオの背中に攻撃した。カトラスの刃はマゾルオの背中に深く命中したが、攻撃を受けたマゾルオは気味の悪い笑みでセアンの方を振り返った。


「見つけた」


 ダメージが通っていないことを察したセアンは後ろに下がろうとしたのだが、それより先にマゾルオがダンシングウイップを使い、後ろに下がったセアンを捕らえていた。


「ああっ! しまった!」


「グフフ。これでこの勝負はオイラの勝ちだ。これから君はオイラのおもちゃとして一生過ごすことになるからね。オイラ、おもちゃは大事に扱うから心配しないでね。グフフ」


 この言葉を聞いたセアンは苛立ち、魔力を開放して無理矢理ダンシングウイップから脱出した。


「私はお前のおもちゃじゃない! このデブマゾクソ野郎! 気持ち悪いし臭いし見た目も酷いから本当にムカつく!」


 セアンは魔力を開放し、巨大な風の玉を作り上げた。それを見たマゾルオは嬉しそうな声を上げた。


「おお! こいつでオイラをどうするつもりだ?」


「答える必要はないね!」


 セアンはそう言って、マゾルオの頭上に移動した。そして、作り上げた巨大な風の玉を破裂させた。破裂した風の玉は勢いよくマゾルオを下に向かってぶっ飛ばした。その勢いは床を貫通し、勢いを落とさぬまま一階部分までマゾルオをぶっ飛ばした。一階までぶっ飛んだマゾルオは周囲の瓦礫や木の破片を払いのけながら、上を見た。


「いい痛みだったよ。瓦礫が当たって、気が体に刺さってとてもいい気分だ。でも、これじゃあ満足できないよ!」


 と、セアンに向かって叫んだ。その直後、風で作られた巨大な拳が上から降ってきて、マゾルオを床にめり込ませた。この攻撃を受け、マゾルオの一部の骨が折れ、一部の骨に大きなひびが入った。


「お……おごぉ……」


 マゾルオは激痛を感じていたが、歓喜の声を上げることはできなかった。風の拳は消えることはなく、ただひたすらマゾルオを上から押していた。しばらくして風の拳は消滅したが、大きなダメージを受け、全身の骨が折れ、ひびが入ったマゾルオは動くことができなかった。


「ぐ……グフフ……これはオイラも……痛いよ」


 そう言って、マゾルオは気を失った。マゾルオの魔力が弱くなったことを察したセアンは大きなため息を吐いて呟いた。


「本当に気持ち悪い奴だった」




 一方、ジッダーリスと戦っているカイトは、セアンの戦いが終わったと安堵していたが、同時にこう思った。これじゃあ潜んでいる意味がないと。そう覆っていると、ジッダーリスの足が飛んで来た。


「何かを考えているか分からないが、そんな暇は与えないぞ」


「悪いな。彼女のことを考えていた」


「彼女? セアンのことか。む? マゾルオ……」


 ジッダーリスはマゾルオの魔力を感じ、倒されたことを把握した。


「マゾだから打たれ強いと言っていたのに……あいつ、だから防御面ばかり強くなってもダメだと言ったのに」


「仲間のことを考える暇は与えないぞ」


 と言って、カイトは刀を振るった。速い速度で飛んでくるカイトの斬撃を見て、ジッダーリスは回避した。


「ふぅ。なかなかやる。ディスターソースのミヤギを倒した腕前は本当らしいな」


「ああ。あの黒い霧を使う卑怯者のことか。苦戦はしたけど」


 カイトはそう言って刀を振るったが、刀の刃はジッダーリスの拳に命中した。


「苦戦はしたのか。まぁいい、腕のある奴と戦えて俺は嬉しいぜ」


「俺はそうでもない。お前らみたいな下種野郎はすぐにぶっ倒したい。王女を助けないと」


「つれないことを言うなよ。少しくらい戦いを楽しむ気持ちを持てよ」


 ジッダーリスは魔力を込めてこう言った。その時、カイトは刃に触れているジッダーリスの拳に雷が走っていることに気付いた。すぐに刃から離そうとしたが、ジッダーリスの拳は磁石になっているかのように刀から離れなかった。


「静電気を使って刀にくっつけている。このままお前を感電させてやるぜ!」


 と言って、ジッダーリスは刀を通じてカイトに電撃を放った。電撃を受けたカイトは感電し、悲鳴を上げた。


 ここから強敵たちとの激しい戦いが始まります。カイトたちは個性が強い強敵を相手にどうやって戦うか、その目で見届けてください。評価、いいね、ブクマ、レビュー、感想質問などの応援お願いします!

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