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強敵との遭遇


 ヴロミコは城の最上段の一室にいた。そこでメイドや女兵士を相手にいやらしいことを行っていたのだが、こんなことをずっとやっているとブラッディクローの上役に文句を言われ、殺されるかもしれないと考え、ゴイチ城の歴史に関する本を読んでいた。そこに、何でも消してしまう消しゴムのありかがあるのではないかと考えたのだ。


「ぐぅ……どの本も似たような歴史しか書いていない。これも違う。消しゴムのことなんて一言も書いていない!」


 と言って、ヴロミコは本を投げ捨てた。文句を言いながら別の本を手に取り、椅子に座って読み始める中、ロベリーを捕らえた二人の男がヴロミコの部屋に入ってきた。


「船長、失礼します」


「ん? おお、ホタイとサマオか。む? おお! お前たちがぶら下げているのはロベリー王女! 捕まえてくれたのか」


「はい。そのついでに護衛を一匹始末しました」


 ホタイはそう言って、ロベリーを床に投げ捨てた。ロベリーが悲鳴を上げる中、ヴロミコはロベリーの腹を強く踏み、こう言った。


「王女! 消しゴムのありかを教えろ!」


「貴様らみたいな外道に消しゴムのありかを教えるものか! 知っていても、口には出さん!」


 ロベリーの言葉を聞き、ヴロミコはロベリーの腹を蹴った。蹴り飛ばされたロベリーは床を転がり、壁に激突した。腹に蹴りを入れられたロベリーは嗚咽しながら立ち上がろうとしたが、ヴロミコはロベリーの首を掴んで持ち上げた。


「今の状況を考えろ、クソガキ! 舐めた態度をとるとぶっ殺すぞ!」


「ぐ……が……」


 呼吸ができないため、ロベリーの顔が徐々に青く染まって行った。このままじゃあまずいと思ったサマオは、ヴロミコの腕を掴んだ。


「船長、このままだと大事な駒が死んでしまいます。こいつはシーポリスとのやり取りで重要なカギとなります。こいつがいる限り、シーポリスはこっちに攻撃はできませんから」


「おっと、そうだった。すまん。少し熱くなりすぎた」


 と言って、ヴロミコはロベリーの首を放した。解放されたロベリーは床に崩れるように倒れ、激しく咳き込んだ。そんなロベリーを見ながら、ヴロミコは周囲の部下にこう命じた。


「このガキを動けないように縛れ。少ししたら、もう一度消しゴムのありかを聞きだす。俺様は本を読むから静かにするように!」


 部下は返事をした後、ロベリーを無理矢理立ち上がらせ、動けないように縄を縛った。その後、ロベリーは蹴り飛ばされて再び床の上に倒れた。酷い扱いを受ける中、ロベリーは心の中でこう思った。セアンたち、早く助けてくれと。




 手下を相手に暴れているコスタたちは、難なく二階の手下たちを全滅させた。あっという間に散って行った仲間を見て、攻撃から逃れた一部の手下は悲鳴を上げながら逃げて行った。


「ふぅ。雑魚しかいないのかしら、この海賊って」


 ラージュは軽くストレッチをしながらこう言ったが、ため息を吐きながらケアノスがこう言った。


「油断しないで。ズミタさんを殺した奴がいるわ。それと、同じように強い奴がいる可能性もある。気を抜かないで」


「分かっているわ。さて、早く先に行きましょう」


 ラージュはそう言ったが、コスタがその場から動かないことを察し、敵が近くにいると理解した。少しして、威勢のいい声と共に炎を纏った男が現れた。


「おっと、俺の存在に気が付いたようだねぇ」


「強い魔力を発していたから、誰でも分かるわ」


 コスタがそう言うと、炎の男は魔力を抑えてコスタたちを睨んだ。それと同時に、何かを察したコスタがケアノスとラージュの方を向いて叫んだ。


「すぐにしゃがんで!」


 敵の攻撃が来ると察した二人は、すぐにしゃがんだ。その直後、弾丸のような物が二人の上を通り過ぎた。炎の男はそれを見て、大声で叫んだ。


「おーい! 狙いがずれたぞ、ナイパー! ピラータ姉妹はお前の弾丸をかわした!」


 炎の男の言葉を聞き、もう一人敵がいるとケアノスは察した。すぐにナイパーと呼ばれた男を倒そうとケアノスは動いたが、コスタがケアノスを止めた。


「狙撃手は私がやる。ケアノスかラージュはあのうるさい男をやって」


「お願いできる、コスタ?」


「うん。狙撃手が相手なら、私の出番だから」


 と言って、コスタはナイパーの元へ向かった。炎の男はコスタを睨み、叫んだ。


「オイ待て! お前のような陰湿女はこのソビアークがやってやるよ!」


 ソビアークはコスタに向けて火を放ったが、ケアノスが前に現れた。


「悪いけど、コスタの邪魔はさせないわ」


「チッ、まぁいいか。お前が相手か。やってやるぜ!」


 と言って、ソビアークは炎を発した。




 上に行く手段がないことを察したカイトたちは、なるべく敵と会わないように行動を始めた。だが、上の階には手下の姿がいなかった。


「下にいたような雑魚はいないみたいだね」


「皆、コスタたちを倒すために下に向かったかもしれないな」


「それで雑魚が全滅していたら、こっちが動きやすいけど」


 と、三人は小声で会話をしていた。しかし、魔力を察したセアンはため息を吐いた。


「どうやら、そう簡単に楽には行かせてくれないみたいだ」


「その通り。ここから通りたければ、俺たちを倒すがいい」


 と言って、二人の男が現れた。一人は上半身裸でいかにも格闘術が強そうな男。もう一人はにやけ顔で、右手には鞭を持っていた。


「二対三か。状況としてはこっちが有利だが……」


「こんな奴らを相手にしている暇はないし……」


 カイトとセアンがこう言う中、ライアは二人にこう言った。


「私が先に行こうか? 奴らがここにいる以上、私たちが上にいるってこと、奴らは知っていると思おうよ」


 ライアの話を聞いた後、少し考えたセアンは返事をした。


「そうだね。ライア、先に行って。私とカイトはこいつらを倒してから向かうから」


「オッケー。それじゃあまた後で」


 と言って、ライアは先に向かって行った。半裸の男はライアを捕まえようとしたのだが、カイトが男に向かって飛び蹴りを放っていた。


「ライアの邪魔をさせるかよ!」


「フッ。いい蹴りをしているが……このジッダーリスには通用しないぞ!」


 ジッダーリスと名乗った男は、魔力を開放して近くにいるカイトを吹き飛ばした。カイトは床に着地し、刀を手に取った。カイトとジッダーリスの戦いが始まる中、セアンは目の前にいる男を見て、嫌悪感を覚えた。


「うげぇ、こんなのが相手?」


 と、思わず嫌そうな声を上げてしまった。その声を聞き、男は下品な声で笑い始めた。


「グヒヒヒヒヒ。もっとオイラのことを罵倒してくれよ~」


 この言葉を聞き、セアンは嫌そうな表情をした。その顔を見た男は、更に笑い始めた。


「その顔可愛いね~。カメラがあれば、写真を撮りたかった」


「キモッ! これ以上私に近付くな、変態野郎!」


 セアンはハンドガンを構え、男の足に向けて発砲した。この時、セアンは男を遠ざけるために弾丸を放ったのだが、男は自分から前に出て、自ら弾丸に命中した。


「嘘! マゾ野郎かと思っていたけど……まさか自分から……」


 弾丸を受けた男は痛そうな顔をしていたが、すぐに嬉しそうな顔になった。


「痛い……気持ちいい。ふぅ、自己紹介がまだだったな。オイラはマゾルオ。君の予想通り、オイラはマゾだ。さぁ……もっとオイラを興奮させてくれ!」


 と言って、マゾルオは興奮しながらセアンに近付いた。あまりにも気持ち悪いため、セアンは思わず悲鳴を上げながら逃げ出した。


「あれ? どうして逃げるのさ? もっとオイラと楽しもうよ~」


「ギャアアア! こっちに来ないで変態!」


 と、セアンは涙声で叫び、マゾルオから猛スピードで逃げ出した。


 ゴイチ城での戦いが始まりました。カイトたちとスラノスの連中との激しい戦いがしばらく続きます。カイトたちは個性が強い敵を一体どんな手で倒すのでしょうか? 楽しみにしていてください。評価、ブクマ、いいね、感想質問、応援のコメント、お待ちしています。

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