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混沌タッグバトル


 ライアが放った衝撃波はベルフェルに命中し、大きなダメージを与えた。吹き飛んだベルフェルは地面に叩きつけられ、それから地面を転がった。


「グウッ……イテェ……」


 激痛が走る体を無理矢理起こし、ふらつきながらベルフェルは受けた傷の容態を見た。衝撃波を受けたせいで服が破れ、腹は裂傷ができ、そこから大量に血が流れていた。


「こ……こいつはやばい……」


 この傷を治さず、放置していたら危険だと察したベルフェルはすぐに治療をしようとしたが、ライアが追撃のために接近した。


「もらったぁ!」


「なっ!」


 ナイフを構えたライアを見て、やられたとベルフェルは考えた。しかし、発砲音と共に飛んで来た弾丸がライアの左足を撃ち抜いた。


「なっ! エイツがやってくれたのか?」


 ベルフェルは後ろを見て、小さな光が発したり消えたりするのを目にした。それはエイツが援護するという合図であった。


「ヘヘッ、ありがとう」


 ベルフェルは右手を上げてありがとうの意志を伝えた。それからすぐに治療を行い、撃ち抜かれた左足の治療を行っているライアに近付いた。


「さーて。状況が変わったな」


「グッ……」


 とどめを刺される前に治療をしようと焦ったライアだったが、焦るせいで治療がうまくできなかった。そんなライアに対し、ベルフェルはマジキルクローを振り上げた。


「俺をここまで傷つけやがって。俺が受けた痛み、倍以上にして返してやる!」


 そう言って攻撃を仕掛けたが、その直前に発砲音が響き、ベルフェルの右腕を撃ち抜いた。


「チッ! コスタか!」


 この攻撃がコスタの狙撃によるものと判断したベルフェルは、後ろに下がった。治療を終えたライアはベルフェルに接近した。


「何が倍返しだよ! 今度は確実にあんたを倒してやる!」


 ライアはナイフを握り、ベルフェルを斬ろうとした。だが、何かを察したライアは後ろに下がった。それからすぐにエイツが発砲した弾丸が地面にめり込んだ。


「相手の狙撃手もいい腕をしているみたいだね……厄介だ」


 ライアは額の汗をぬぐい、マジキルクローを構えたベルフェルを睨んだ。




 この戦いは長引く。そう思いながらコスタは木の上から降り、別の木の上に移動した。相手の狙撃手、エイツも自分と同様の銃の腕を持つ。そこまでは把握したが、一体どんな魔力を使い、どんな性能の銃を持っているか分からなかった。ライアは治療したとはいえ、傷を負っている状態。エイツが弱ったライアを狙って撃つ可能性もある。それらを考え、コスタは敵の狙撃手を狙い、倒すことを考えた。


 倒すために、コスタはエイツの居場所の探知を始めた。しばらく探していると、コスタはすぐにエイツの姿を見つけることに成功した。しかし、目の前には枝が多数あり、エイツに向けて発砲しても弾丸が枝に命中し、弾道がずれる可能性があるのだ。


「枝が邪魔……」


 そう呟いた直後、スコープに映っているエイツが自分に向けて銃口を向けていることを察し、コスタはすぐにその場から離れた。それからすぐに発砲音が聞こえ、コスタがいた木に弾丸が命中した。飛んで来た弾丸を見て、コスタはこう思った。


 やはりそうだ。この状況は敵も同じだ。


 エイツも枝が邪魔で攻撃がうまくできないことを知り、この勝負はどちらが早く有利な状況に立てるかがカギになるとコスタは考えた。しかし、再び発砲音が響いた。


「あいつは枝のことも考えていないの?」


 エイツが何も考えずにライフルを撃っていると考えたコスタは、呆れてため息を吐いた。木の枝のような邪魔があれば自分が思った通りに弾は飛んで行かないのにと思いながら、コスタはエイツの攻撃を避けていた。


 一方、エイツは舌打ちをしながらスナイパーライフルのリロードを行っていた。


「チッ、枝が多い」


 エイツはそう呟きながらリロードを終えていた。エイツもコスタに狙いを定め、速く倒そうと考えていた。早く倒せば、それだけ早くベルフェルの援護に入れるのだ。今のベルフェルはライアの衝撃波を受け、大きなダメージを負っている。治療は行ったが、それでもベルフェルが負ったダメージが大きかったのだ。そのため、エイツは冷静であるコスタとは対照的に焦っていた。


「グッ、ベルフェルはどうなっている?」


 相方のベルフェルが気になったエイツは、スコープでエイツの様子を確認した。援護がない隙にライアはベルフェルに猛攻を仕掛けていた。ベルフェルはマジキルクローを盾にし、ライアの猛攻を防御していた。しかし、治した傷が開き、少量の血が流れだしている。この状況が続くとまずいと思ったエイツは、ライアに銃口を向けた。その時だった。発砲音が響き渡り、飛んで来た弾丸がエイツの左肩を撃ち抜いた。


「ガアアッ!」


 エイツは悲鳴を上げながら、バランスを崩して木の上から落ちた。地面に激突した後、エイツはその場で小さな声を上げていた。


「ま……まずい……」


 撃ち抜かれた左肩は動かず、地面に激突した際に骨の一部が折れた。そう察したエイツは早く治療しないといけないと考えたが、行動に移す前にコスタの弾丸がエイツの右足を撃ち抜いた。


「ガハァッ!」


 強烈な痛みがエイツを襲った。魔力を使って傷を治そうと考えたが、さらに激しくなった激痛のせいで体を動かすことができなかった。


「グッ……クソ……」


 もう戦えないと察したエイツは、その場で気を失った。




 エイツの魔力が弱くなったことを察したベルフェルは、驚いて後ろを見えた。


「エイツ!」


「仲間のことを気にしている場合じゃないよ!」


 ライアはエイツに接近し、あごを蹴った。あごを蹴られたエイツは後ろに下がり、転倒しないように左足を軸にしてバランスを保った。


「痛いことをするじゃねぇか」


「だったら、もっと痛い目に合わせてあげるよ!」


 ライアはナイフを構え、エイツに接近した。エイツはライアが衝撃波でできた傷に攻撃するつもりだと考え、マジキルクローを盾にした。


「傷を狙ったようだが、そんな考えは見抜いているぞ!」


「そりゃ残念」


 ライアの右手のナイフがマジキルクローの爪部分に命中し、攻撃は防がれた。しかし、ライアはにやりと笑っていた。何を考えているのかと不審に思ったベルフェルだったが、ライアは爪の隙間に左手のナイフを突き刺した。攻撃を受けると思ったベルフェルだったが、ナイフの刃は短く、ベルフェルの体には届かなかった。


「はっ……ははは! 残念だったな! ナイフじゃあ俺まで届かないぞ!」


「分かっているよ。そんなこと」


 と、ライアはこう言った。その直後、ライアは魔力を発し、左手のナイフの刃にオーラが発した。それを見たベルフェルはオーラの刃を伸ばして攻撃するつもりだと理解し、ライアを蹴り飛ばそうとした。しかし、その前にオーラの刃はベルフェルを貫いた。


「ガアッ……」


 ベルフェルは小さな悲鳴を上げ、体勢を崩して倒れた。ベルフェルが気を失ったことを確認したライアは、安堵の息を吐いた。


「敵の狙撃もなし。よかった、コスタが先に倒してくれたみたいだ」


「お疲れ、ライア」


 後ろの茂みからコスタが姿を現した。ライアはコスタに近付き、話を始めた。


「そっちも敵は倒したみたいだね」


「ダメージを結構与えたから、もう動けないみたい。これで安心だといいけど」


「そうだね。さて、早く敵の動きを止めて皆と合流しないと」


 その後、二人は倒したエイツとベルフェルの体を縛り、カイトたちが待っている場所へ戻って行った。その様子を、遠くから見ている二つの影があった。


「エイツとベルフェルがやられたようだな」


「ああ。だが、俺たちは奴らみたいなへまはしない」


「そうだ。さて、作戦通りに動くぞ」


「おう」


 二つの影は話をした後、コスタとライアに気付かれないように後を追いかけた。


 戦闘チーム、スラノスが出てきました。奴らはまだいます。どんな敵なのかは次以降の話で分かります。評価、ブクマ、質問感想、レビューなどお待ちしています。応援よろしく!

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