優勝のための食品を求めて
翌朝。カイトは出かける支度をしていた。ライアから話を聞かされたおすすめの道具をリュックに入れていると、その光景を見たコスタとケアノスは不思議そうにこう聞いた。
「あら、そんなに荷物を持ってどうしたの? もしかしたら、どこかに行くの?」
「うん。ライアがクッキングバーサスに参加するから、食材を調達にしに行くって。その手伝い」
「狩りか、大変だね、この辺りには危険なモンスターがいるって聞いたけど……」
コスタがこう言うと、準備を終えたセアンとライアが現れてこう言った。
「大丈夫! 私もいるし、カイトの不思議な剣もあるし!」
「たかがモンスターが何匹来ようとも、私たちの敵じゃないって! 返り討ちにして食材にしてやるよ!」
「この前、スケベイカに捕まったのに、よく大口を叩けるわね」
と、ケアノスがこう言ったが、ライアは小声で忘れて頂戴と言った。その後、支度を終えたカイトたちは町の外へ向かった。三人を見送った後、ケアノスは背伸びをしてこう言った。
「それじゃ、私は船のお掃除でもしてくるわ。コスタはどうするの? 今日の予定は?」
「ラージュと一緒に町に行く。ライフルの弾も欲しいし、調合用の弾薬も予備として買っておきたい」
「分かったわ、それじゃあ気を付けてね。防寒とか変態不審者に襲われても、勢い余って殺さないでね」
「加減するから大丈夫だよ。ケアノスも掃除をよろしくね。買い物が早く終わったら、手伝うから」
「そう言って、わざと遅く帰らないでねー」
「しないわよそんなこと、それじゃあ行ってくるわ」
買い物へ行くコスタとラージュを見送った後、ケアノスは掃除用具を持って、ヴィーナスハンドへ向かった。一方、買い物で町を歩いていたラージュはあることを思い出し、コスタに近付いた。
「そう言えば、セアンが寝室に何かやっていたけど……ケアノス知っているのかしら?」
「そうなの? 私も分からなかったから、多分知らないと思うけど」
「寝室の方でドタバタしていたから知っていたと思ったけど……まぁいいわ。さて、早く買い物を終わらせて、ヴィーナスハンドの掃除を手伝いましょう
「そうだね。ケアノスも待っているだろうし」
会話を終え、二人は買い物のため、町の大きな店の中へ入って行った。
しばらくして、二人は買い物を終えて店の外から出た。その時、傷だらけの戦士が担架に乗せて運ばれて行った光景を見た。
「酷い傷。どうしたんだろう」
コスタがこう言うと、近くにいた人がコスタにこう言った。
「あの人はクッキングバーサスの参加者なんだけど、食材の調達のために外に出て狩りをしてたが、逆にモンスターにやられて病院送りってわけだ」
「ついさっきもう一人病院に運ばれたけど……助かるかどうか分からないな」
この言葉を聞き、コスタは狩りへ向かったカイトたちが無事に戻って来ることを祈った。だが、そんなコスタを見てラージュはこう言った。
「心配しなくて大丈夫よ。セアンたちは戻って来る」
「そう……ね」
コスタはカイトたちが無事に戻ってくると信じ、ラージュと共にヴィーナスハンドへ戻って行った。
オーシムボの門番に話をし、カイトたちは外に出て行った。門番曰く、オーシムボ周辺のモンスターは肉料理にとても最適であり、他の料理人もカイトたちと同じようにモンスターの肉を使った料理を作るため、狩りを行っているという。
「うわー、もう魔力を感じるよー。他の参加者も、考えることは同じみたいだね」
セアンはそう言って、周囲を見回した。カイトは目をつぶって魔力を感じると、色んな所から激しいぶつかり合いを感じた。
「他の人の魔力を感じる……強かったり、弱かったり……」
「結構魔力が強くなったと思うよ。他の人の魔力を感じ取るまでは、それなりに時間と修行が必要なの。もっと強くなれば、細かく魔力を感じることができるよ」
と、後ろにいるライアがカイトにこう言った。そうなのかとカイトは言ったが、ライアは望遠鏡を両手に持って周囲を見ていた。
「もしかして、獲物を探しているのか?」
「そう。どこかいい奴いないかなー。とにかく上質で、目立った奴」
しばらく探していると、ライアは何かを見つけた。
「うっし、コブトリバード発見!」
「コブトリバード? 何それ?」
カイトがこう聞くと、セアンがすぐにコブトリバードのことを説明した。
「コブトリバードは鳥型のモンスター。見た目はただ太った大きな鳥だけど、作物は荒らすわ、人は襲うわ、かなり凶暴な鳥のモンスターなの。だけど、こいつの肉はニワトリなどの肉と比べて歯ごたえもよく、油も程よく乗っているからとてもおいしんだよね~。焼き鳥にしても、ステーキにしてもおいしいよ」
「でも、他の参加者もコブトリバードを狩っているよね。それじゃあ一緒になっちゃうし、他の参加者と違う食材を狙わないと……」
と、ライアはそう言っているが、足元の草木を見て、手当たり次第に食材を入れるためのバッグに入れていた。それを見たカイトは、驚きながらライアに近付いた。
「なぁ、その草とか食べられるのか? 普通にバッグの中に入れてるけど」
「うん。食べられる植物とかの区別もできるように、その辺の知識も頭に入っている。これ見てよ」
ライアはバックに入れたキャベツの葉のような形の草をカイトに見せ、説明を始めた。
「これはキャベ草。見た目通りキャベツの様な草。キャベツのようなシャキシャキとした歯ごたえはないけど、茹でたキャベツみたいに柔らかいから、肉などの食材を巻くのに使えるの。巻く以外にも、添える野菜としても最適」
「へー。そういう使い方もあるのか。ただの野草だと思ったけど、違うのか」
「そう。ちゃんと洗えば食べられる。これはボウノ草。触ってみてよ」
ライアに言われた通り、カイトはボウノ草を手に取った。その触感を感じ、カイトは驚いた。
「うわっ、草なのに硬い。ゴボウのようだな」
「ボウノ草はゴボウのように固い草。だけど、栄養素も歯ごたえもゴボウとは全然違う。どっちかと言ったら食物繊維がやたらと入って、綺麗な直線のアスパラガスと思えばいいよ」
「この世界にはいろんな植物があるな。日本と比べて全然違う。何も知らないと、間違えて踏みそうだな……」
「どう? 面白いでしょ? 植物のことを知っていると、後々で便利だよ。食用にもできるし、解毒剤の材料として使われてるのもあるし」
と、ライアは笑顔でカイトにこう返した。その笑顔を見て、カイトは少し照れた。そんな中、セアンが何かを見つけて叫んだ。
「うわー! 見てよ。あれ、でっかいオオツノウシがいる!」
「え! オオツノウシ? マジでマジで!」
ライアは喜びながら、セアンの方へ向かった。一方、オオツノウシと名前を聞き、カイトは角が大きい牛をイメージしていた。それからセアンが見つけた巨大なオオツノウシを見に行ったが、カイトの予想は大きく外れた。
「な……な……なんじゃありゃ!」
カイトが目にしたのは、二階建ての建物と同じくらいの大きさで、鋭く大きく曲がった角を生やした化け物の牛だった。あの角で体を貫かれたら、一発で死んでしまうとカイトは心の中で思った。カイトが不安そうに見る中、セアンとライアは目を子供の用に輝かせながら話を始めた。
「うっはー! あれだけ大きなオオツノウシなら、色んな部位を使った肉料理ができるよ!」
「ステーキも牛タンも食べ放題! 大会で使っても食材余るよね?」
「余裕で余る! ゴクラクバードの卵と合わせれば、何か月も食材が持つよ!」
「こりゃーやるしかないね! 肉料理、肉料理!」
と、やる気満々のセアンとライアを見て、カイトは不安になって逃げようと言ったが、その言葉はオオツノウシの雄叫びでかきけされてしまった。
高校の頃、モンハンをやっていたり、トリコを読んでいたからか、よくモンスターとの戦いのシーンを書きます。人と人の戦いも書くのが好きなんですが、野生でおっかないモンスターとの戦いも好きなんですよ。なので、頻繁にそのシーンがあります。
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