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ロベリーが出した答え


 カイトが放った氷の刃による一撃は、ミヤギに命中した。ミヤギは悲鳴を上げながら吐血し、その場に倒れた。


「そ……そんな……バカな……」


 ミヤギは苦しそうにこう言うと、気を失った。セアンは倒れたミヤギを背負い、カイトの方を見た。


「お疲れ。私は今からこいつをシーポリスの方に連行するよ。カイト、動ける?」


「ああ……何とか動けるけど、腹が減ってふらふらするぜ」


「それは大変。怪我もしているし、急いでライアとラージュの元に向かって」


「セアンも気を付けろよ。こいつの仲間が近くにいるかもしれない」


「うん。分かった」


 セアンは返事をすると、現地のシーポリスの元へ向かって行った。カイトは屋上から地面に着地し、ふらつきながら宿屋へ向かった。


 宿に到着したと同時に、様子を見に来たケアノスがカイトを見て驚きの声を上げた。


「カイト! かなりボロボロじゃないの! 散歩をするために外に出たはずじゃあ!」


「悪いケアノス、ちょっといろいろあって」


「話はあとで聞くわ。今はとにかく急いでラージュの元に向かって!」


 ケアノスは慌てながらもカイトをラージュの元へ連れて行った。怪我をしたカイトを見たラージュは驚きの声を上げたが、すぐに冷静になってカイトの治療を始めた。


「散歩しに外に出たのは嘘ね。何か察したようね」


「ああ。変な奴がいたと思って様子を見に行った。案の定、ズライリー海賊団の仲間だった。確か、ディスターソースって言っていたな」


 カイトの言葉を聞き、コスタが目を丸くして驚いた。


「カイト、そいつらはズライリー海賊団じゃない。奴らはブラッディークローに所属する暗殺チーム。噂だと、捕まった仲間を殺すために暗躍しているって聞いたけど……まさか、私たちが戦った奴らもそいつらに……」


「その可能性が大きいですね。情報が漏れるのを危惧したため、今回の殺人事件を起こした可能性があります」


 と、ズミタはそう言いながら立ち上がってカイトに近付いた。


「危険な奴を倒していただき、本当にありがとうございます」


「いえいえ、やって当然のことをしただけですよ」


 カイトは返事をしたのだが、体中に激痛が走ったため、その場で転げまわった。


「ちょっと待ってね。治療するから、服を脱いで」


「分かった」


 カイトは上の服を脱ぎ、ラージュに怪我の様子を見せた。その時、ロベリーは悲鳴を上げ、カイトから目を背けた。


「どうかしましたか?」


「殿方が無暗に裸を見せるな! 失礼だ!」


「失礼って……上を脱がないと怪我が治せないぞ」


 困ったカイトを見たズミタは、カイトに近付いてこう言った。


「すみません。王女はまだ異性の裸体をしっかりと見ていません。なので、男の裸を見るだけで照れてしまいます」


「結構ウブなのですね」


「ええ。ですが、いずれ男の裸を見ることは経験されると思います。王女が悲鳴を上げていますが、気にせず治療してください」


「分かりました」


 ラージュは笑顔で返事を返したが、カイトはそっぽを向いて悲鳴を上げるロベリーを見てどうしようかと考えていた。そんな中、セアンが部屋に戻って来た。


「戻って来たよー。カイト、やっぱり酷い傷を受けていたね。私も治療を手伝うよ」


 と、言いながらセアンは服を脱いで背後からカイトを抱きしめた。刺激的な光景を見たロベリーは、大きな悲鳴を上げた。


「お前は羞恥心と言うのを知らないのか! レディーが男に自分の乳を当てるのはアホがやることだ!」


「治療だよ、治療。こうやって魔力に治癒の力を体に込めて、相手に抱き着くと結構治りが早くなるの。王女様もやってみる?」


「誰がやるか!」


 カイトを抱きしめているセアンは、顔を真っ赤にするロベリーを見て笑っていた。そんな中、ズミタはセアンに近付いた。


「お楽しみ中申し訳ございません」


「俺は楽しんでいないけど……」


 カイトがこう言ったが、ズミタはカイトの言葉を無視して話を続けた。


「王女は男女の営みをまだ学んでいません。なので、あんな反応をするのです。気にしないでください」


「分かった。じゃあ今度するときは気を付けるよ」


 セアンは笑いながら答えた。




 カイトの治療が終わり、ピラータ姉妹はロベリーの方を注目していた。ずっと黙っているロベリーを見て、ズミタは近付いた。


「そろそろ決心しては? 彼らなら私たちに協力してくれます。それに、カイトと言う少年はブラッディークローのディスターソースを何とか倒すほどの力を持っています。未熟ながらも、成長の幅は素晴らしいものです」


「じゃが! 海賊を倒すために海賊の力を借りるのは嫌だ! シーポリスの偉い奴に強者を呼ぶように頼め!」


「無理みたいだよ」


 と、ライアはロベリーに見えるように新聞を広げた。そこでは別の海域で大きな海賊が暴れていることが大きく取り扱っていた。


「多分、今皆こっちの方に行っていると思う。写真に、私たちの知り合いのサマリオが写っているから、呼んでも当分来ることはないよ」


 ライアの言葉を聞き、ロベリーはため息を吐いた。うつむいているロベリーに対し、ズミタは再び口を開いた。


「私は彼らの力を借りることに賛成します。彼らなら、ズライリー海賊団を倒すことができると思います」


「私たちもあいつらに用があるから、ちゃんと協力するよ!」


 話を聞いていたセアンは胸を叩いてこう言った。コスタたちも頷くように返事をし、ロベリーの返事を促した。しばらくして、ロベリーは覚悟を決めた表情をし、こう言った。


「分かった! 今から共に行動しろ! ズライリー海賊団を倒すために、協力してくれ!」


「もちろん!」


 と、ロベリーの言葉を聞いたセアンが、一番に返事をした。




 ゴイチ王国の中央となるゴイチ城にて。戦いで荒れ果てた玉座がある広場では、ズライリー海賊団の一員が騒いでいた。


「ハーハッハ! いい酒だ! 王家の連中はいつもこんなものを飲んでいるのか!」


「今は俺たちの物だ! この肉も、この宝石も、周りにいる女たちも!」


 団員の一人が、下種な笑い声を上げながら半裸のメイドたちを見回した。メイドたちは逃げようとしたのだが、手かせ足かせされているため、逃げることはできなかった。


「さーてと、今日はどの娘にしようかなー」


 団員は笑いながらメイドたちに近付いた。そんな中、大声が周囲に響き渡った。団員は急いで玉座に集まった。


「どうかしましたか? ヴロミコ船長」


「ディスターソースのミヤギが捕まった!」


 ズライリー海賊団の船長、ヴロミコの言葉を聞き、団員は驚きの声を上げた。


「あのミヤギが捕まったのか?」


「ペイリーやリビを殺したから、逆にやられていい気味だ!」


「そんなことを言うなよ。奴は上の人間だ。そんな奴が捕まるなんて……」


 団員たちのどよめきが広がる中、ヴロミコは立ち上がった。


「仕事だ! 今すぐミヤギを倒した奴を始末して来い! それと、どんな奴があいつを倒したのかは分からないが、そいつの情報も集めること!」


「はっ!」


 団員が敬礼し、命令通りに外に向かって行った。団員たちが動き出した後、ヴロミコはため息を吐いて玉座に座った。


「参ったな。ディスターソースの一人がやられたとなると、ブラッディークローからあれこれ言われるのは俺だ。誰が面倒なことを起こしやがった。クソッたれが」


 そう呟きながら、ヴロミコは近くにあった酒瓶のふたを開け、飲み始めた。しばらくすると、一陣の風が部屋を通り過ぎた。窓が開いているのかと思ったヴロミコだったが、突如酒瓶の底が地面に落ち、中身がこぼれた。


「飲酒中すみませんねぇ」


 と、言いながら黒い服の人物がヴロミコの前に現れた。


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