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カイトを襲う黒い霧


 ミヤギが放った黒い霧を受け、カイトの視界は封じられてしまった。ミヤギはカイトの背後に移動し、剣を振るった。しかし、カイトが刀を振り回しながら振り返った。ミヤギが驚いた瞬間、金属音がぶつかり合う甲高い音が響いた。そして、ミヤギの剣の刃が近くの屋根に刺さった。


「何だと……俺の剣が……」


「魔力を感じた。それに、足を大きく動かしすぎだ。小さな音が聞こえたぜ」


 カイトはそう言って、ミヤギに向かって刀を振り下ろした。ミヤギは歯を食いしばりながら魔力を開放し、カイトを吹き飛ばした。


「グオッ! まだ魔力があるのかよ!」


「まだ戦いは始まったばかりだ。存分に魔力はある」


 ミヤギは深呼吸をし、周囲に黒い霧を放った。黒い霧を見たカイトは水を発し、黒い霧を散らそうと考えた。しかし、黒い霧は水を受けても消えることはなかった。


「水では消えないか……」


「悪いが、俺の霧はそんな水じゃあ消えないぜ」


 驚くカイトを見ながら、ミヤギは小さなナイフを取り出し、カイトに襲い掛かった。カイトは自分に向かって走って来るミヤギを見ながら刀を構えたが、背後にあった黒い霧がカイトを包み込んだ。


「うわっ! また霧が!」


「残念だったなぁ! 魔力がある限り、霧は自由自在に動かすことができるぞ!」


 また目の前が暗くなり、焦ったカイトに向かってミヤギは走り出した。攻撃が来ると考えたカイトは、先ほどと同じようにミヤギの足音を聞いて攻撃をかわそうと考えた。しかし、突如大きな鐘の音が鳴り始めた。


「やばい……」


 この鐘の音のせいで、ミヤギの足音を聞くことができなかった。その結果、ミヤギの小さなナイフはカイトの腹をかすった。ナイフが腹に触れた瞬間、カイトは後ろに下がった。下がった時、黒い霧から逃れることができた。目の前にいるミヤギは、足を滑らせてバランスを崩していた。


「グッ……クソが!」


「運がないな、お前は! 人を殺しまくるから罰が当たったみたいだな!」


 カイトは刀の刃をミヤギに向け、強烈な水鉄砲を放った。水鉄砲はミヤギに命中し、遠くに吹き飛ばした。壁に激突しても、カイトが放った水鉄砲の威力は変わらなかった。


「グオオオオオオオオ! クソが!」


 壁に押し付けられながら、ミヤギは叫び声を上げた。しばらくして水鉄砲は収まったが、強烈な水鉄砲はミヤギのあばら骨を何本か折っていた。


「グッ……まさかこんな目に……」


 ミヤギは苦しそうな声を上げながら立ち上がるが、目の前には刀を構えたカイトの姿があった。


「まだ俺の攻撃は終わってねぇぞ!」


 叫び声を発しながら、カイトは力強く刀を振り下ろした。強烈な一閃はミヤギの右肩から左の脇腹にかけて大きな一閃の傷を与えた。


「グハァッ!」


 大きな一閃を受けたミヤギは、悲鳴を上げながら片膝をついた。カイトは刀を下ろし、苦しそうに深呼吸をするミヤギを見た。


「これで終わりだ。大人しくしろ」


「大人しくしろ? どうした? とどめを刺さないのか?」


「俺はどんな悪人でも殺したくはない。素直に負けを認めてくれ」


「オイオイ……始末チームと言われているが、これでも俺は海賊だ! 海賊がこんな惨めな負け方をするわけにはいかない!」


 ミヤギは魔力を開放し、周囲一帯に黒い霧を発した。広範囲に広がる黒い霧はカイトどころか、周囲の建物やその近くにいる人たちも包み込んだ。


「うわっ、何だ!」


「この霧は一体どこから?」


「というか、霧が発生するとか言われてないぞ。誰の仕業だ!」


 下から人々の叫び声が聞こえた。この声のせいで、カイトはミヤギの足音を聞いて場所を探知することができなくなってしまった。


「うるさすぎてあいつの居場所が……」


 カイトが声を上げたその瞬間だった。突如腹付近で違和感を覚えたのだ。暗くて見えないが、腹を触ってみると血の感触がした。攻撃を受けたと察したが、そこから体中から激痛を感じた。


「グアアアアアアアアアアアアアアアア!」


「ハーッハッハ! 運がないのはお前の方だな! 天は俺に味方したぁ!」


 カイトの周りで、ミヤギの叫び声が聞こえた。このまま斬り刻まれるしかないのかと考えたが、発砲音が聞こえた。それと同時に、ミヤギの悲鳴が聞こえた。


「え?」


「だ……誰だ!」


 ミヤギの声が聞こえた後、カイトは体が宙に浮いたことを感じた。戸惑っていたカイトだが、耳元で声が聞こえた。


「大丈夫カイト? なかなか帰ってこないから心配したよ」


 声の主はセアンだった。セアンはカイトを担いだまま、黒い霧から脱出した。セアンは傷を受けたカイトを見て、声を上げた。


「酷い傷……あいつ、どんな奴なの?」


「魔力で黒い霧を作って、相手の視線を消して攻撃する卑怯者だ。多分、俺たちが戦ったズライリー海賊団を殺したのもあいつだ」


「そうか。あいつがあの事件の犯人だね」


 セアンは黒い霧の方を見て、カトラスとハンドガンを構えた。だが、カイトは立ち上がってセアンの前に立った。


「待ってくれ。あいつだけは俺が倒したい」


「でも、傷だらけだよ」


「それでも俺が倒す。俺も海賊だ。ピラータ海賊団の一員だ。少しでも強くならないと、皆について行けない」


 カイトの言葉を聞き、セアンはカトラスとハンドガンをしまってその場に座った。


「分かった。じゃあここで待っているね。でも、カイトが本当に危なくなったら助けに行くから」


「ありがとう。俺のワガママを聞いてくれて」


「気にしないで。わがままを言いたい時は言っていいから」


 そう言って、セアンは笑顔でカイトに向けて手を振った。カイトは手を振ってセアンに返事をし、刀を持ってミヤギの方へ歩いて行った。




 セアンから銃弾を受けたミヤギは、無理矢理腹の中にめり込んだ銃弾を取り出していた。


「イッデエエエエエエ!」


 ミヤギの悲鳴と共に、銃弾が地面に落ちる音が響いた。そして、腹から血が流れた。ミヤギは急いで魔力を使って傷を治し、深呼吸をした。


「まずいな……腹減った」


 減った魔力を補充するため、ミヤギは高カロリージュースを一気に飲み干した。飲み干したと同時に、ミヤギは自分に向かって歩いてくるカイトを見た。


「ケッ、また戦うつもりか。まぁ、海賊の喧嘩はどちらかがくたばるまでやるのがルールだからな!」


「どうでもいいよ、そんなこと」


 カイトはそう言って、素早く刀を振るってミヤギに攻撃を仕掛けた。ミヤギは攻撃が来るだろうと考えておらず、驚きながらカイトの攻撃をかわした。


「うおっ! 人が話をしている途中で攻撃するな!」


「うるさい口だな」


「ケッ、可愛くないガキだな。仕方ない……」


 こう言って、ミヤギは再び黒い霧を放った。今回はなった黒い霧はカイトだけを狙い、蛇のように動いていた。


「またこの霧か」


 カイトは舌打ちをしながら黒い霧から逃げ回った。その後を追うように、ミヤギは素早い動きでカイトに接近し、ナイフを突き刺そうとした。しかし、カイトはこの攻撃をかわし、ミヤギのあごに向かって蹴りを放った。


「グフッ!」


 蹴りを受けたミヤギは悲鳴を上げながら後ろに転倒し、倒れてしまった。カイトは刀の刃に水の魔力を注ぎ、大きな氷の刃を作った。


「切れ味抜群の氷の刃だ! こいつの切れ味、味わえよ!」


 と言って、カイトは刀を振り下ろした。ミヤギはナイフを使って氷の刃を受け止めようとしたが、氷の刃の方が切れ味は鋭く、ミヤギのナイフを斬り落としてしまった。


「何だと!」


「終わりだな!」


 カイトは勝利を確信した。氷の刃はミヤギの体に命中し、大きな傷を作っていた。傷を受けたミヤギは激痛を感じ、大きな声で悲鳴を上げた。


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