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立ち寄った町でのイベント


 カイトたちは食料確保と水の補給のため、航海の途中である島に立ち寄った。ケアノスは地図を手にし、この島のことを調べていた。


「えーっと、ここはオーシムボって島で、色んな食材があることで有名ね」


「色んな食材か。ワクワクするなー、料理人の端くれとしてか、魂がうずいて来たよー」


 と、ライアは子供のような目でこう言った。その言葉を聞き、カイトは料理人としての血が騒いでいるのだなと思った。船着き場で船を停泊した後、休息を兼ねてカイトたちはオーシムボの町へ寄った。


「うわー、結構人がいるねー。祭りでもやってるのかな?」


「そうかもしれないな。なんかあるのかな?」


 セアンとカイトは周りを見てこう言った。町の店や外壁には綺麗な飾り物が飾られており、至る所にポスターが張られていた。カイトたちが周りを見る中、町の見張り兵が近付いてこう言った。


「おや。あなたたちはピラータ姉妹ではありませんか。高名な義賊海賊と会えて光栄です」


「いやいや、義賊って言われても私たちは海賊ですよ。有名とはいえ、そんな高名じゃあありませんよ」


 セアンは少し照れながら言葉を返した。そんな中、セアンが兵隊にこう聞いた。


「そう言えば、町が賑わっていますが、何か祭りがあるのですか?」


「その通りです。今週は年に一度の祭り、クッキングバーサスってイベントが開かれています。至る所の料理人が腕を競うってイベントです」


「ほー。料理人が腕を競うイベントか」


「はい。優勝賞品がかなり豪華なため、世界各地から有名な料理人が来るのです。これを見てください。これが優勝賞品です」


 見張り兵がこう言いながら、手にしたポスターをセアンに見せた。カイトも優勝賞品が気になったため、セアンの横でポスターを見た。


「えーっと、ゴクラクバードの卵……ゴクラクバードって? 鳥みたいな名前だけど」


「その通り、鳥の一種よ。モンスターみたいだけど、人に害を与えるモンスターじゃないわ。ゴクラクバードは、まれに大きくて栄養たっぷりな高級レベルの卵を産むって話よ。」


 ラージュの話を聞き、カイトは話に納得した。


「今回は一個約百万ネカするほどの値打ちがあるらしいぜ。俺も一度見たけど、あんな大きい卵は見たことなかったな」


「今もその卵はあるのですか?」


「もちろん。優勝賞品だから、大事に保管されてるよ。だけど、観光客が見られるように向こうの広場で見られるようにしてあるよ。ここからでも見える、あの金色の卵がそうだよ」


 と、見張り兵が教えてくれた。最初、カイトは町のオブジェだと思っていたが、あれが卵だと思わなかった。その後、カイトたちは間近で卵を見ることにした。周りには人だかりができていたが、離れて見ても、ゴクラクバードの高級卵の大きさを再確認できた。


「で……デカすぎる。本当に卵なのか? ゴクラクバードってかなり大きいのかよ」


「ありゃま。まるで大木。かなり大きいゴクラクバードが産んだのかな」


 卵を近くで見たカイトとセアンはこう呟いた。コスタは目を丸くして驚きながら、こう呟いた。


「これ、どうやって料理するのかな……というか、殻を割ることができるのか?」


「ドリルやハンマーで叩くんじゃない? でもその前に、どうやって卵の頂点に行くかどうかだよね」


「まず、登ることは不可能だね。つるつるして登れないだろうに」


 カイトたちが会話をする中、ライアが目を輝かせてこう言っていた。


「すごい卵だ。これなら美味しい卵料理が作れるよ~」


 ライアがそう言っている中、周りの料理人が笑いながらこう言った。


「いーや、この卵を貰うのはこの俺だ!」


「違う、この俺だ! 優勝してあの卵を貰うのはこの俺だ!」


「俺だって。勘違いするんじゃねーよ、三流さん」


「違う。この俺様だ! 訂正しな、三流共!」


「何だと、ふざけんな三流共が!」


「誰が三流だ! 俺は一流、お前が三流だ!」


「俺を見下すな! ここでチャーハンを炒めるようにお前らを痛めてやる!」


「やれるもんならやってみろ三流が!」


 料理人たちはそう言うと、喧嘩を始めた。セアンがバッカじゃないと呟いた後、一行は宿屋へ向かった。




 宿の風呂、カイトは湯船に入ってゴクラクバードの巨大卵のことを思い出していた。


「あれがあれば、しばらく料理に困らないだろうなー。ただ、ずっと卵料理になりそうな気がするけど」


 そう呟くと、隣にいたライアがこう言った。


「そうだねー。何とか保存がきくように料理したら、一ヶ月は持つよ。あれだけの量だし」


「そうだなーってライア! 何でここに? つーかいつの間に!」


 突如現れたライアを見て、カイトは股間を隠しながら後ろに下がった。ライアは慌てるカイトを見て、笑いながらこう言った。


「たまにはいいよね。一緒にお風呂に入るのも」


「いやいやいやいや、異性同士で風呂に入るのはいろいろと問題があるだろうが! ケアノスにばれたら俺たち叱られるぞ!」


「海賊はそんなこと気にしないよ」


 ライアはそう言いながら、後ろに下がったカイトを抱きしめた。ライアの体の感触が背中に伝わる中、カイトは照れながらこう言った。


「あの……ちょっと……そんなことしたら本当に……」


「私は構わないよー。カイトはいい子だし、大人の関係になっても私は大丈夫だと思うけどねー」


「何が大丈夫だと思うけどねーよ。私より先にお風呂に入っちゃって」


 と、バスタオルを巻かずにスッポンポンでセアンが外に立っていた。それを見たカイトは驚いたが、ライアは驚きもせずこう言った。


「何? セアンも入りたいの?」


「当たり前でしょ。最初にカイトに目を付けたの、私だし」


 そう言いながらセアンも体を洗って湯船に入った。二人の少女と共に入る湯船はとても小さく、体中が密着しあっていた。


「俺……先出るよ。恥ずかしいし……苦しい」


「ええ? 一緒にお風呂に入ろうよー」


 セアンはそう言って、出ようとするカイトを無理矢理湯船に戻した。セアンがカイトと無理矢理イチャイチャしようとする中、ライアは頃合いだろうと思い、二人にこう言った。


「あのさー、お願いがあるの。聞いてくれる?」


「お願い? 何なの?」


「それより助けて……苦しい……」


 二人が話を聞くだろうと思ったライアは、猫撫で声でこう言った。


「私も今やっている大会に参加しようかなーって思っているの。だけど、優勝するためには色んな食材が欲しいの。コスタやケアノス、ラージュはそれぞれの買い物で忙しいから二人に助けてほしいなーって思っていてさー」


 セアンはその話を聞き、苦笑いでこう答えた。


「ごめん。明日はカイトとデートするの。一人で頑張って」


「待って、その話聞いてないけど」


 セアンの答えを聞き、ライアは奇妙な笑みでこう言った。


「いいのかな~? あのこと言っていいのかな~? セアンがカイトと一緒に寝ようとして、寝室を無理矢理改造して失敗して、ケアノスにばれないようにごまかしてるって話~」


 ライアの話を聞き、セアンの顔はとても引きつっていた。ここでいいえと答えたら、確実にケアノスに叱られる運命が待ち受けている。だが、ここで無暗にはいと言ったら後々同じことをだしにされることを察したセアンは、ライアにこう言った。


「分かったわ。手伝ってあげる。だけど条件として、ケアノスにばれないように私と一緒に寝室を元に戻すのを手伝うこと? オッケー?」


「うーむ……そのことをだしにしていろいろと無茶ぶりしようと思ったのに……考えたね……仕方ない。その条件を飲もう!」


 二人はそう言った後、拳をぶつけた。カイトは二人の姿を見て、大変なことになりそうだと思い、ため息を吐いた。


 ライアと名前を聞いて、なんだかライザのアトリエの主人公、ライザと一文字違いじゃないかって思う人がいると思います。ですが、ライアの名前の元ネタはライザではありません。ライア、もといピラータ姉妹の名前の元ネタは海に関する単語です。日本語ではなく、別の世界の単語をいじったりそのまま使ったりしています。


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