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一歩の重さ  作者: burazu
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両者が望んだ戦型

 いよいよ関西将棋会館で一輝と綾小路七段の対局が始まろうとしていた。


 まず一輝は2六歩と飛車先の歩を伸ばす。早々に居飛車宣言だ。


 そして綾小路も8四歩と飛車先の歩を伸ばす。相居飛車の将棋になる事が確定した。


 一輝も綾小路も互いに居飛車党である為、この形は互いにとって想定の範囲内である。


 さらに一輝は2五歩とどんどん歩を伸ばす。負けじと綾小路も8五歩と歩を伸ばす。


 ここが作戦の分岐点だが、一輝は7六歩と角道を開く。これに対し綾小路は3二金とする。


 更に一輝は7七角と角を上がる。綾小路は3四歩と角道を開ける。


 これに対し一輝は6八銀と受ける。そして綾小路は7七角成と角を取り、一輝も同銀とし、角交換が成立する。


 これは角換わりという戦型で相居飛車で指される戦型であり、近年はAIの研究が進みプロ間での採用率の高い作戦だ。


 一輝も綾小路も得意戦形であり、互いにこの形を望んだのだ。


 角交換成立後は定跡に沿って駒組を進め、ほぼ先後同型となる。後手の8一飛車と、先手の2九飛車が共に下段を守り角の打ち込みを防いでいる。


 そんな中、一輝も綾小路も時間を使いつつ、手を進め、いよいよ昼食休憩へと入る。


 一輝にとっては苦手意識の強い相手であり、今日は昼食をまともに味わえないでいた。


 昼食後、互いに玉に手を入れ、守りを固めようとする中、先に動いたのは綾小路であった。


 6五桂と桂馬を跳ね、一輝の玉へと襲い掛かろうとした。


 このまま銀を取られるわけにはいかない一輝は6六銀と上がる。


 そこからも綾小路は攻め続け、一輝は凌ぎ続ける。


 その一輝の対局を東京の将棋会館のモニターで見ていた3人の人物がいて、その事について話していた。


「さすがに綾小路先生の攻めは鋭いですね、これでは長谷先生でも大変なんじゃ」

「綾小路先生は一輝にとっては天敵ですし、どうも読みが合ってなさげだ」

「詰む詰まないになったら綾小路先生が有利ですし、どうするんでしょうね?」


 話していた3人は一輝の研究仲間である天馬、鎌田、村田であった。


 3人共一輝が不利という見解だが、念の為、天馬は現局面を検討室にあるパソコンのAIに読み込ませると意外な数値を目の当たりにする。


「この評価値は、互角だがやや先手寄りだ!」

「え⁉」

「そんな!どういうことですか?」


 AIを見た上ではあるが天馬は一輝に有利になりそうな材料を現局面から探してある事実に気付いた。


「まさか!……」


 天馬が気付いた一輝の勝利への道とは?

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