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一歩の重さ  作者: burazu
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貴公子との対局

 ある日の月曜日、一輝は関西将棋会館に対局の為に訪れていた。本日の対局相手は綾小路七段であり。棋戦は皇位戦だ。


 皇位戦は他の棋戦にある一次予選、二次予選というものが無く、リーグ入りを目指す為に長い予選を勝ち抜く必要がある。


 紅白のリーグにそれぞれ6人づつ、計12人のリーグで争われるのだ。前年残留者4人を除く8枠をかけた予選が現在進行中なのである。


 A級やタイトルホルダーは二次予選スタートするケースも他棋戦ではあるが、この皇位戦は例え、A級、タイトルホルダーでもリーグ残留ができなければ、長い予選を勝ち抜かなければならないのだ。


 今年からこの皇位予選に参加する一輝も当然予選スタートなのだが、今の所勝ち残っているのだ。


 本日は苦手な綾小路が相手なうえ、関西に遠征というアウェイ中のアウェイな気持ちだ。


 今回は綾小路七段が格上である為、一輝が関西に赴くという形になっているのだ。


 東西それぞれの所属の棋士が対局する場合、トーナメント等は基本的に格上の所属する将棋会館に格下の棋士が赴くのである。


 順位戦やその他のリーグ形式の対局の場合、平等性を確保する為になるべく半々にする場合がある。


 つまり関東所属の棋士が格上の場合でも関西将棋会館で対局するケースがあるのだ。


 今回はトーナメントだから格通りの形式であり、一輝は関西将棋会館に入館する。


 対局室に入室すると記録係が既にスタンバイしており、一輝も挨拶をしてからふすまロッカーに荷物をしまう。


 しばらくすると対局相手である、綾小路七段が入室する。


 長身で整った顔立ちをしているため、同じ男性の一輝でも思わず目を見開いてしまう程だ。


 無論棋士は将棋で勝たねばならない。一輝は気を引き締め直し盤に向かう。


 綾小路が駒箱を開いて駒を出すと交互に駒を並べていく。


 駒を並べ終えると記録係が綾小路の歩を5枚取り振り駒を行う。


「振り駒です。綾小路七段の振り歩先です」


 記録係がそう言うと、駒を手の中でシェイクし、駒を畳に落とす。そして歩の状態を告げる。


「と金が3枚です」


 これにより本局は一輝の先手が確定した。


 そして、対局開始時刻を今か今かと待ち、記録係より告げられる。


「それでは時間になりましたので、長谷四段の先手番でお願いします」

「よろしくお願いします」


 いよいよ綾小路七段との対局が開始される。一輝にとって三度目の正直となるか?

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