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一歩の重さ  作者: burazu
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対局開始

 竜帝戦6組ランキング戦にデビュー戦として臨む一輝は、対局相手の富田八段と共に、開始時刻10:00を今か今かと待っていた。


 このほんの5分程度の時間ではあるが、一輝にとってはデビュー戦であるためかなり待ち遠しく感じている。


 そして開始時刻をむかえ、記録係より告げられる。


「それでは時間になりましたので、長谷四段の先手でお願いします」

「よろしくお願いします!」


 両対局者共に頭を下げて、挨拶をかわし対局が始まる。


 初手を指す前に一輝は深呼吸をして精神を落ち着け、駒に手をやる。


 一輝の初手は7六歩と角道を最初に開く。


 それを受けて富田は8四歩と飛車先の歩を突いていく。早々に居飛車宣言だ。


 これを見て一輝は少し考えるが6八銀と銀を動かす。


 すぐさま富田は3四歩と角道を開く。


 ここで一輝は7七銀と銀をあげる。一輝は矢倉模様の展開を望んでいるようだ。


 矢倉は古くからある将棋の戦形であり囲いの一種であるが、最近は様々な形がありこの段階では急戦か持久戦かの判断はつきにくい。


 互いにけん制しながら駒組を進めていき、比較的穏やかな展開になりそうな雰囲気だ。


 一輝自身は先手矢倉を得意としており、富田も自分の経験がいきやすいと考え互いに矢倉の駒組みを進めていく。


 10:30を過ぎ、互いに手が止まっている頃に注文聞きの女性が何かパンフレットらしき物を持って対局室に入室し、富田に声をかける。


「富田先生、お昼の注文はどうなさいますか?」

「それじゃあ……」


 富田が女性に昼食の注文を告げている際に一輝は盤面を見ながら次の手を考えている。富田が注文を終えると女性は一輝にも話しかける。


「長谷先生はお昼の注文はどうなさいますか?」

「はい、そうですね……」


 そう言って一輝は女性よりメニュー表を受け取り、それを見て注文を決め、女性に告げる。


「それでは、ここのカレーライスでお願いします」


 そう言って一輝は自身の荷物より財布を出し、千円札を手渡してお釣りをもらう。


 お釣りを受け取ると女性は、一礼してから対局室をあとにする。


 その後も互いに時間を使いながら少しづつ局面を進めていく。


 時刻も12:00となり記録係より告げられる。


「時間になりましたので休憩に入って下さい」


 記録係の声を聞いて富田は早々に対局室を出て休憩室へと向かっていく。


 一輝はしばらく盤面を眺めるが、とりあえず一旦切り上げ、一輝も休憩室へと向かう。


 将棋はまだ序盤戦が始まったに過ぎない。一輝にとってのデビュー戦は長いものとなりそうだ。

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