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一歩の重さ  作者: burazu
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公園将棋の決着

 公園で現在将棋を指している一輝と小夜。


 小夜の三間飛車に対し一輝は居飛車で対抗するという形での将棋の進行となった。


 お互いに駒組が進み、互いの玉を囲おうとしていた。


 そんな中小夜から仕掛けていったのだ。


 6筋から自分の歩を一輝の歩にぶつけていった。一輝はその歩を取り、小夜は進めていた銀で歩を取り、互いの歩の交換が成立した。


 将棋は歩のぶつかり合いから戦いが始まり、そこから駒の交換や取り合い、攻めるか受けるかの駆け引きが始まっていく。


 小夜は自らが先手である利を生かし、早めの開戦を狙ったが、一輝もそれに対し正確に応じていく。


 序盤まで互角ではあったが、中盤戦で小夜に誤算が生まれ、5七桂と金の両取りがかかってしまう。


「あ!」


 公式戦でない為、小夜は思わず声をあげてしまうが、一輝はそこから怒涛の攻めを続け、小夜の玉を追い詰めていく。


 そして終盤が近づくと小夜にはもう受ける手がなくなっていき、言葉を放つ。


「負けました」


 小夜は一輝に対し投了の意思を示し、頭をさげる。一輝も頭をさげ、2人の将棋は終局を迎えた。


 そして小夜は思わず声をあげてしまう。


「あああ、負けたーーー、悔しい!」


 本気で悔しがる小夜にかける言葉が見つからない一輝であったが、小夜から感想戦を申し出る。


「やっぱり6一に飛車を打って勝負をあせったのが敗因かな」

「それ自体は悪い手じゃないと思うけど、その飛車で取った香車打ちが空振りだったと思うな」

「あれは私にとってはお願いみたいなものだったけど一輝君相手じゃだめか」


 その後も感想戦は続き、小夜が納得したところで一輝が駒を片付ける。


 終局後に駒を片付けるのも格上の作法であり、駒を片付け終えると互いに頭をさげ挨拶をする。


「ありがとうございました!」


 挨拶を終えると、一輝が小夜に尋ねる。


「ところで、なんで昇段祝いが将棋だったんだ?」

「うん、3段リーグじゃ、ずっと苦しみながら将棋を指してたし、久しぶりに将棋を楽しんでもらえたらと思って、それがいいかなって思ったのよ」

「俺の為にわざわざ……」

「でもこれは私の為でもあるの、宮里さんとやる前に練習になると思ったけど、負けたからなあーーー」


 口調こそおちゃらけているが、やはり悔しさは隠せないようだ。


「これから一輝君と気軽に将棋が指せなくなるっていうのもあったのよ。私達は門下も研究会も違うから」

「そうだな、小さい頃会って、将棋を指して仲良くなって、今は同じ世界にいるんだよな」

「昔は私の方が強かったのになあ」


 強くなった幼馴染のプロ入りを喜びつつ、小夜もまた自らの将棋び邁進していくことを決めたのである。

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