ライバルの宣戦布告
順位戦第1局から約1か月が経過し、一輝はC級2組の順位戦第2局を東京の将棋会館で行っていた。
20:00を越え、対局相手の手番ではあるが、一輝が勝勢であり、もはや対局相手は手が無しと判断した。
「負けました」
対局相手が投了の意思を一輝に告げ、一輝は順位戦を開幕2連勝と好調なスタートを切った。
感想戦を1時間程行い、帰宅の途に着こうとしたときに何者かに声をかけられる。
「順調そうだな、一輝」
声をかけられた相手に一輝が返事を返す。
「天馬か」
一輝に声をかけたのは研究会仲間である天馬であり、その天馬が言葉を続ける。
「順位戦を開幕2連勝とはまずまずじゃないのか、うまくいけば1期で昇級も夢じゃないんじゃないのか?」
「C1の真壁先生からすりゃ、高みの見物気分でしょうな。そっちこそ順位戦は開幕2連勝じゃないか」
「俺がわざわざこの話だけをしに来たと思っているのか?」
「そう言えばお前も今日対局だったな」
一輝より天馬も別で対局があったことを言われると天馬はその対局結果を告げた。
「皇位戦の予選勝ったぞ」
「お前が勝ったという事は……」
「そういうことだ、次の対局は俺とお前だ」
現在皇位戦の予選が進行中であり、勝ち進んだ結果、次の対局で一輝と天馬が当たることが決定したのだ。
「俺達が当たるという事は……」
「そうだ、しばらく研究会は休止だ」
「なるほど、それを言う為にわざわざ待っていたのか」
「それだけじゃない、さっき連盟の人から聞いたんだが、次の俺達の対局がademaテレビの将棋チャンネルで中継するそうだ」
自分達の対局がネット配信で中継されるという事実に一輝は驚きを隠せず思わず天馬に尋ねてしまう。
「え、ちょ、ちょっと待ってくれ、なんでタイトル戦でもない俺達の対局が中継されるんだ⁉」
「そんなの、俺が知るわけないだろ、とにかく俺達の研究会はしばらくなしだからな。あ、俺は村田君と引き続きVSをしているから」
天馬の言う村田とは研究会仲間であり、現在は奨励会に所属している棋士候補なのである、その事実を聞いて、一輝は抗議をする。
「ずるいぞ、天馬!先に村田君を確保するなんて」
「ふっ、一輝君、勝負というのは戦う前から始まっているのだよ。だからお前はお前で別の研究会かVSをせいぜいやっていろ。じゃあな」
「あ、くそ、絶対にお前だけには負けないからな!」
「それはこっちのセリフだ。年始の皇将戦の借りは返させてもらうぞ」
ライバル心を隠そうともしない2人。
だからこそ強くなってきたともいえる。




