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一歩の重さ  作者: burazu
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終局後に

 鎌田女流皇座と伊原女流三段の女流皇座戦第三局は鎌田女流皇座が制し、番勝負の対戦成績を2勝1敗とし防衛に王手をかけた。


 鎌田達が感想戦を始めようとすると映像は途切れるが一輝達は連盟のアプリを見ながら検討をしていた。


「やはりあそこで……」

「いや待てよ……」

「僕だったら……」


 一輝達も互いに局面に対する意見を言い合っている中、鎌田達の感想戦は終わりを迎え、駒を片付けていた。


 駒を片付け終えると鎌田は自室に戻り、対局用の着物から私服に着替えなおし、気が抜けたように座り込む。


「ふう……とりあえずは勝てたけど、やっぱり結構危ない局面はあったわね」


 そうつぶやくとふすまの向こうより声が聞こえてくる。


「あ、すいません牧野です、鎌田さん今大丈夫ですか?」

「牧野さん?どうぞ」


 鎌田が小夜が自室を訪ねに来たことに一瞬驚くがすぐに部屋に入れて小夜は鎌田に声をかける。


「対局お疲れさまでした、なんというかすごい熱戦でしたね」

「ありがとう、もしかしてそれを言う為に来たの?」

「それもあるんですけど、これから打ち上げですよね、そこまでいると今日中に帰れないので。明日は学校がありますから」

「そうか、そういう事なら気を付けてね、もう他の皆さんに挨拶した?」


 翌日学校に通う為に小夜は対局後の夜にある関係者との打ち上げには参加せずにこのまま帰宅するというのだ。その際に鎌田より他の人には挨拶を済ませたのか聞かれて返答をする。


「はい、諸見里先生には先にお話ししていたので終局後にタクシーを呼んでくれています。ただ伊原さんは挨拶をする前に帰られたようですね」

「ま、まあそれは仕方ないわね、牧野さんと一緒のタクシーも気まずいだろうしお互いに」


 タイトル戦の終局後は宿泊している旅館やホテルで打ち上げがあるのだが、大抵の場合敗者は関係者に気を遣わせないために打ち上げの最中ないし、打ち上げが始まる前に旅館やホテルを1人であとにする事が多々あるのだ。


 今回も伊原はその慣例にのっとり、自ら旅館をあとにしたのだ。

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