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一歩の重さ  作者: burazu
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小夜の秘策

 将棋会館の対局室に入室した小夜の対局相手である伊原聡子女流三段が座布団に座って駒箱を開け、駒袋から駒を取り出し、王将を持ち、駒を並べていく。


 駒を並べ終えると僅か数分だが開始の時刻を待っている。


 本対局はリーグ戦である為、あらかじめ互いの先後が決まっており、振り駒は行われないのである。


 先後があらかじめ決まっていると事前研究が行いやすい為、研究の深さと本来の実力が反映されやすいという特色があると言われている。


 本局の先手は小夜であり、今か今かと対局開始を待ちわびている。一方の対局相手の伊原は場慣れしているのか落ち着いた様子に見える。


 開始時刻10:00となり記録係より開始が告げられる。


「それでは時間になりましたので、牧野女流初段の先手でお願いします」

「よろしくお願いします!」


 両対局者共に頭を下げて挨拶をかわすと対局が開始される。


 先手番である小夜は少し深呼吸をしてから駒に手をやる。


 7六歩と角道を開ける初手だ。


 それを見て伊原は8四歩と飛車先の歩を伸ばす。早くも居飛車で戦う意志を示す。


 少し考えるが3手目に7八飛車と飛車を振る。得意の三間飛車で戦う意志を示した。


 小夜はやはり自身の得意三間飛車で戦うのが指しやすいと判断し、伊原の居飛車への対応していくと決めたのである。


 伊原も8五歩と飛車先の歩を伸ばす。


 このままでは飛車に突破されるのですぐに7七角と角を上がる。


 そこからは穏やかな駒組が進んでいく。


 小夜の玉が2八まで移動して、伊原の手番になると、女性が入室してまず伊原に昼食の注文を聞く。


「伊原先生、昼食の注文は何になさいますか?」


 女性より手渡されたメニュー表を一通り見て注文を告げる。


「ここのハンバーグ弁当でお願いします」


 そう言ってバッグから財布を取り出し千円札を女性に渡し、お釣りをもらう。


 続けて女性は小夜にも注文を尋ねる。


「牧野先生は何になさいますか?」


 小夜もメニュー表を見て、注文を告げる。


「ここのしょうゆラーメンをお願いします」


 小夜は財布より小銭を取り出しピッタリになるよう渡す。


 注文の聞き取りを終えた女性は一礼してから対局室をあとにする。


 伊原が手を進めると、小夜も手を進める。それは1八香であった。


 小夜が目指す囲いそれは穴熊であった。小夜は公式戦で穴熊囲いをしたことはなく、伊原にとっても想定外だったのか少し驚きを隠せない様子であった。


 この穴熊囲いは小夜にとって秘策になりうるのか?それとも……。

解説:次回以降にしっかりと囲いますが本日は穴熊について解説したいと思います。

香車を1段あげてその下に玉を移動さて金や銀で守るのが穴熊と言われています。

特徴としては王手がかかりにくく、終盤に少々の無理攻めが通りやすくなることから、『穴熊の暴力』とも言われています。

短所としては組むまで時間がかかるうえ、手がつくと逃げ場がなくなってしまうことです。


今回は振り飛車穴熊ですが、居飛車穴熊もあります。

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