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一歩の重さ  作者: burazu
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開幕!女流皇位リーグ

 新年が明けてから世の中が通常の動きに戻っていくと同時に将棋界も対局が続々と始まっていっ。


 本日は世間では成人の日で、祝日に当たるのだが、そんな日に対局に向かう者がいた。


「それじゃあ、お母さん行ってきます」


 母親に声をかけたのは牧野小夜女流初段であり、どうやら今日は対局日のようだ。


「行ってらっしゃい。でも新年早々将棋だなんて、勉強の方はいいの?今は3学期よ」

「将棋は仕事だから仕方ないし、私が学校の成績だって良いのはお母さんも分かっているでしょう」

「でも約束忘れたわけじゃないでしょ?」

「覚えてるわよ、高校生の間に女流タイトルを獲れなかったら女流棋士を辞めるって約束でしょ」


 なんと小夜は両親に高校在学中にタイトル獲得が成らなかったら女流棋士を引退するという約束をしていたのだ。


 それについての詳しい話を母親がする。


「お父さんもお母さんもその条件であなたの女流棋士を許しているんだし、あんまり不安定な仕事を続けて欲しいとは思わないわ」

「だから私は自分に女流タイトルを獲るって力があることを証明できればって思いでやってきたの。もしダメなら潔く大学に進学して就職するわ」

「分かっているならもう何も言わないわ。精一杯やりなさい」


 母も複雑な思いながら娘には勝って欲しいという思いもないわけではないが、女流棋士という収入が不安定な仕事を高校卒業後も続けさせるのは不安なようだ。


 母の言葉を聞いて、小夜は対局の為に将棋会館へと向かっていく。


 電車に乗り、千駄ヶ谷駅で降りて将棋会館へと徒歩で向かっていく。


 将棋会館に着くと、ロッカーにスマートフォンを預け、対局室へと入室する。


 対局室に入室すると記録係がすでに座っており、小夜に対し挨拶をする。


「おはようございます」

「おはようございます」


 小夜も挨拶を終えると防寒着を脱ぎ、ふすまロッカーに入れて、最低限必要な物だけ座布団の近くに置く。


 水の入ったペットボトル等を用意してしばらく座って待っていると、対局相手が入室し、記録係が挨拶をする。


「おはようございます」

「おはようございます」


 挨拶を返したのは伊原聡子女流三段であり、小夜同様女流棋士である。


 本日この2人は女流皇位リーグ戦という棋戦での対局をするのだ。


 女流皇位戦とは女流棋戦の一種であり、予選を勝ち抜いたものとシード権を持った者合計12名が紅組・白組それぞれのリーグに6名づつ割り振られ、それぞれの組を勝ち抜いたもの同士で挑戦者決定戦を行い、勝利すると女流皇位への挑戦権を得るのだ。


 小夜にとっては今期は初のリーグ入りで、気合が入っている。


 対局相手の伊原聡子に対し小夜はどういった将棋をするのか?

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