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一歩の重さ  作者: burazu
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それぞれの門下事情

諸見里門下の新年会を終え、帰宅しようとした一輝に対し突如小夜から連絡が入り、棋士にとって欠かせない神社に行くという誘いを受け、一輝は最寄りの駅に向かっていた。


 駅に着く途中で小夜とばったり会い、お互いに声を漏らす。


「あ」


 一瞬驚く2人だったが直接対面したので一輝から新年の挨拶をする。


「小夜ちゃん、明けましておめでとう、今年もよろしく」

「こちらこそよろしく。さ、行きましょ」


 そう言って一輝と小夜は電車に乗り、目的の神社を目指す。


 電車の中で一輝が新年会の話をしている。


「新年会で師匠も西田さんも俺に対してさ、なんかこう、闘志メラメラって感じで来るんだよな」

「諸見里先生も西田先生ももう一輝君をただの弟子、弟弟子じゃなく競争相手として意識してるってことじゃない」

「そういうもんなのかなあ」


 一輝の話を聞いて、小夜が自分の門下についても話をする。


「私なんて未だに師匠からは可愛い娘扱い、兄弟子の宮田さんからは可愛い妹扱いよ」

「宮田先生の話は分かるけど、師匠の種田先生から見たら小夜ちゃんはどっちかというと孫じゃないか、年齢的に」

「まあ、それは否定しないけどさ」


 小夜の師匠である、種田権蔵は齢60を超えるが未だ現役のプロ棋士である。そして小夜からもう1つの事実も語られる。


「最近は師匠も負けがこんで強制引退も近いから色々不安そうなの」

「確かC2で降級点をとりそうなんだよな。今年ついてもまだ引退ではないけど……」

「ええ、時間の問題じゃないかって」


 順位戦においてB2~C2クラスはそれぞれのクラスに応じて下位数名に対し降級点がつく制度がある。それが溜まると下のクラスに降級するという制度である。


 C2クラスで降級が確定するとフリークラスといって、順位戦に参加できないクラスへの編入があるのだが、60歳を超えている種田にはこの制度は適用されず強制引退となるのだ。


 例外として他棋戦に勝ち残っていれば負けるまで現役続行はその棋戦限定で許可されるのである。


「まあ、師匠には少しでも長く現役を続けて欲しい気持ちは私もあるけど、こればかりはどうしようもないわ」

「俺は、というより俺もせめて順位戦で師匠とは対局したいと思っている」

「一輝君と諸見里先生ならまだ可能性はあるし、それは一輝君次第でもあるわ」

「そうだな、っと千駄ヶ谷に着いたようだ」


 千駄ヶ谷駅に到着し、2人は電車を降りて神社に向かって歩いていく。


 そして遂に目的の神社に到着する。そして2人の声が揃う。


「やっと……着いた……鳩森神社!」


 鳩森神社に着いた2人は何を願うのか?

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