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一歩の重さ  作者: burazu
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奮起する梢子

竹田九段の提案で宮里女流三冠と研修生の指導対局が開始され、いの一番に名乗り出たのは試験初日で梢子を負かし、研修会から奨励会編入が有望視されている小学生であった。


 ウイナビの取材を終えた小夜も梢子の様子が気になり、例会の様子を見に行くと、宮里と少年の指導対局が行われている様子に驚愕する。


 そして竹田はその様子をみて誤算が生じたともらす。


「参りましたね、これでは梢子さん、宮里さんに挑戦しないかもしれませんね」

「竹田さん、一見いい勝負には見えますが……」

「ええ、一手違いですが宮里さんの勝ちですね」


 竹田達の隣にいた小夜、そして他の研修生達にはどちらが詰むか分かりづらい際どい勝負であったが、竹田達は既に宮里の勝利を読んでおり、そしてそれは現実のものとなった。


「負けました」


 この言葉を発したのは少年であり、その言葉と共に宮里も深々と頭を下げる。


 すごく悔しそうな表情を少年はしており、その場から微動だにしないが、その少年に宮里から声がかけられる。


「感想戦は?」

「……します……」


 表情は悔しそうだが感想戦を行い、宮里に対し局面の分岐がある度に質問をぶつける。


「それじゃあこの局面でこれは?」

「それなら」


 負けてすごく悔しそうな表情をしながらも感想戦を意気揚々と行う少年を見て益々宮里に対しての挑戦に梢子は消極的になっていた。


 感想戦を竹田が途中で打ち切るよう声をかけ、他の研修生や受験生に尋ねる。


「じゃあそろそろ感想戦はこのあたりまででお願いします、さあ宮里さんの指導対局を受けたいという方はいませんか?」


 奨励会への編入が有望視されている少年でも敗北した事実に中々我こそはと手を挙げる研修会員はいなく、梢子も挑戦に手をあげれないでいた。


「いないですか、仕方ありません、宮里さんもうお帰り頂いて大丈夫です」

「はい」


 宮里が帰ろうとしている時に梢子の目には小夜の姿が目に入り、小夜が研修会の例会を見に来てくれたと考え、自分を高く評価してくれた小夜の前でしり込みできないと思い梢子は声をあげる。


「待ってもらっていいですか?」


 梢子の声を聞き、宮里が振り返ると、梢子は言葉を発する。


「宮里先生、私にも指導対局をお願いします」

「分かりました」


 梢子のチャレンジ精神を目の当たりにした小夜は応援の言葉を呟く。


「佐藤さん、頑張って」


 駒落ちの枚数を竹田が両者に尋ねていた。


「それじゃあ2枚落ちでいいですか?」

「はい」

「私もそれで問題ありません」


 2枚落ちで対局する両者!果たして対局の行方は?

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