1-5 鉄鋼と硝子細工-2
連投失礼します。
***
正直、自分で思っていたよりも知り合いが少なかった。
一応は爵位、婚約者や恋人の有無、あとは指さして笑わないかどうかを考えた結果、ほぼ誰もいない。
いよいよ指さして笑われる決心をせねばなるまいか、とシルヴィアが思っていた矢先、彼女から手紙が届いた。
手紙の内容はこうだ。
『シルヴィアから教えてもらった方に、お茶会のことは伏せてお手紙を書いた。
なんだかんだで仲良くなったのでお茶会とは別の日に一緒に出掛けることにした。
そういう訳だから、当日はシルヴィアを応援させてちょうだい。』
思わず二度見した。
婿探しの会が始まる前にお前が抜けてどうする。
恋と戦争ではあらゆる手段を用いても許される、なんていう話を聞いたことがあるが、これはちょっと頭が痛い。
色々な気力が失せてしまって、どうしたものかとちょっと放置していたら、イメルダから追撃のように手紙が来た。
『ごめんなさい、誤解しないで。
シルヴィアのことを良いように使ったつもりはないのよ。
怒っている?嫌ならお茶会はやめるわ。』
その後もごめんなさい、が色々な書き方で便箋にびっしり書いてあった。
はっきり言ってこわい。
同じ無機物でも鋼鉄製らしいシルヴィアと違って、彼女は硝子細工なので取扱いには注意が必要なのである。
シルヴィアは、
『既に皆様にご都合をうかがっているのに失礼だからやらないわけにはいかない。
何の勘違いなのか、言っていることがよくわからないが、家柄や条件としてもイメルダに合っていると思う。』
と、書いていない部分もあるが本当のことだけ書いて送った。
結局、参加の意を示していたご令嬢、ご令息も各々別の用事が入って都合が悪くなったらしく、どうしよう、とシルヴィアの判断を仰いできたので、
『自分も卒業試験に向けて集中したいから今回は見送ってくれ』と返したのを最後に、イメルダとは距離を置いている。
シルヴィアはちょっと、疲れてしまっていた。
次で時間軸が現在に戻ります。
・話の繋がりをスムーズにする関係で一部加筆しました。大きな変更はありません。(5/1)