第2話 解を待つ
お久しぶりです
今回は翼が謎に飲まれる話です
人影の手が翼に触れた瞬間、目の前が閃光に包まれた。
……一体誰なんだ? そして、この人影は?
翼はぼっとただその光を見つめた。
眩しい。でも目が閉じられない。
目が痛い。光に意識を奪われそうだ。
あまりの眩しさに耐えられなくなった翼は、意識が遠のいていくを感じた。
そして……。
完全に意識が飛ぶ直前、不安定な意識の中で誰かの声が響いた。
「後は託した…… すまない、救ってくれ……!」
その瞬間、さーっと後ろに引かれるように翼の意識は消えてしまった。
……
…………
………………
柔らかく、暖かな日差しが丁度差しが掛かった頃、翼は目を覚まし、ゆっくりと起き上がった。
日が差す窓の方に目をやると、あまりの眩しさで見ていられない。しばらくそんな感じだった。
違和感に気付いたのは、そこからしばらくした時だった。
あたりを見渡すと見慣れない天井、壁、窓、そして病院にあるようなベッドに寝ている。
よく見ると白い服を着せられていた。
入院させられているのかもしれない。
それに気づくと同時に、気づきもしなかった見慣れない光景が、視界を支配した。
翼は飛ぶように起き上がった。
だが、すぐに足元が冷えてしまったので、布団を足元だけかけて冷えをしのいだ。
しばらくして寒さと光に慣れてたところで、ベッドの上から窓の方を見ることにした。
ここがどこなのか確かめるために。
翼は外の光景を見る前に、窓ガラスに映る自分の姿に気付いた。いくらなんでもこんなに寝癖がついていては医者が来たときに恥ずかしいから。
だから、翼はすぐに寝癖の部分を慌てて手で抑え、何事も無かったかのように外を平然と見つめる振りをしていたが……。
「おいおい…… ここはどこなんだよ……」
翼の口から混乱の言葉が漏れた。
ここは恐らく五階か六階か、多分そのくらいの階層にある病室だろう。その窓から見えた光景は非常に驚きだった。
この驚きは京都に修学旅行へ行ったとき以来だろうか。
江戸時代の町並みのような、それでいて現代風な建物も入り交じっている、不思議な光景。
感情はだんだんと驚きから感動に変わっていった。
気付いた時には自然とベッドから立ち上がり窓にへばりついていた。
顔をぺったり窓にくっつけて、ただただ外を見つめていた。
翼はずっと外を見つめていて、背後に人が立っているとは気づかなかった。
「やあ、目が覚めたみたいだね」
だからふいに後ろから声を掛けられたときは、声がでないくらい驚いたものだったが、それを面に出さずに後ろを視て
「ど、どうもです」
と軽く声を掛けた。
人物の正体は
目にかかるほど髪を伸ばして白衣に身を包んだ、温厚そうな医者だったから驚きだ。
それに加えて人に安心感を与える穏やかな表情だ。
「空から君が落ちてきたって聞いたから、僕驚いちゃったよ」
「え? 空から落ちた?」
「そう……らしいよ。 僕は詳しく知らないけどね。 」
「俺…… 良く助かりましたね……」
(空から落ちた? 一体何故? 俺は空から落ちるような事はしていないはずだ。 それに、あの外から見えた江戸風の景色はなんなんだ? もしかしてあの夜の人影が関係? )
翼は色々考えたが答が見当たらなかった。そりゃそうだ。
まだ起きてから、解明されていない謎は多い。ましてや、この短期間で起こった一つ一つの謎を解き明かすなど不可能に近い。
今の翼には、ただひたすら待つことしかできないのだ。
「あぁ…… えっと、だいぶ怖い顔してるけど大丈夫かい?」
「え? あ、全然大丈夫ですよ! それより、先生の名前まだしらないです…… 何と呼べばいいですか……?」
「おっと、ごめんね! 担当医なのに自己紹介もしていなかった…… 僕の名前は『水野』。 名前の通り『水の能力者』だよ。 そういえば君の名前も知らなかった。 なんていうんだい?」
(『水の能力者』? さらに謎が増えたぞこれは…… もしかしたら記憶が消えているせいで色々な物に違和感を感じるのか……? なら、もうそういうことにしよう、とりあえず今は気にしたらダメな気がする)
「俺の名前は翼です」
「翼……!? まさか『男虎翼』かい? ……いや、何でもない。 すまないね。」
「いや、名字は大陽です! 完全に名字を名乗るの忘れてましたね……」
「大陽翼、良い名前だ……。 翼君は『増殖系の能力者』だったりかな?」
「え? い、いやー、お、俺能力とかわからないです」
再びでてきた『能力者』のワードに動揺してしまった。どうやら、それを水野は感じ取ってしまったらしい。
「一応、君の中から『増殖系の能力』らしきオーラを感じ取れたはずなんだけど…… ね」
「あはは……」
翼はなんとか作り笑いをしてその場を乗り切った。
(『能力』について問いたいところだが、今聞くとなんか色々面倒な事になりそうだ。きっと、知らない間に常識になってるんだろ…… とりあえず『能力』は後で調べる必要がありそうだな)
「そういえば俺って、空から落ちたんですよね? どうやったら助かるんでしょうかね……?」
「ん? 『特警』の人が『能力』使って助けてくれたんだよ。 僕の知り合いが君を助けたんだけどね、ただ『空からこの子が落ちてきた』だけ言って帰っちゃったもんだから……」
「ほ、ほう…… それはー…… 助かりますね」
もう何がなんだかわからない、でもとにかく翼は話を合わせ続けた。
(きっと後でわかる…… 『あの夜の人影』も『能力』も『男虎翼』も『特警』も『空から落ちた原因』も…… 何もかも。)
今はわからずともいつか……
翼は水野との会話を続けた。ご飯の話、健康の話などをした。
先程までとは違い、肩に力を入れずに話せる。
(これは俺の知る常識だ……)
翼がおかしくなったのか? それとも世界がおかしくなったのか? その問いの解は、他の謎と共にまだ見つかりそうにはなかった。
大陽翼
年齢:16歳
性格:めんどくさがりや
特殊能力:なし?
水野
年齢:20代?
性格:温厚
特殊能力:水?
男虎翼
年齢:?
性格:?
特殊能力:?