第三の目
ある日、奴らは来た。
何処から来たのかは分からない。突然、この惑星に現れた。
見た目は我々と似ている。文明も似ているが、向こうの方が進んでいるようだった。
突然、奴らは攻撃を始めた。
何故なのかは分からない。ただ、奴らの優れた科学技術には、我々の文明は歯が立たなかった。
都市部はことごとく破壊され、生き残りも少なくなり、破滅は時間の問題だった。話し合おうにも言語やジェスチャーは通じないし、お構いなしに向こうは攻撃を続けてくる。
もう駄目だと思ったその時だった。
初めは、ある一人の兵士が相手の銃弾を受けた時から始まった。
その兵士は、死んでいなかった。それどころか、無傷だった。
変化は瞬く間に広がった。攻撃を受けても、全く効かなかったのだ。更には、武器の威力も格段に上がった。
どうなっているのかは分からない。だが、このチャンスを逃さない訳にはいかない。
謎の力によって戦力差を覆された今、前線を上げるのは容易い事だった。それどころか、向こうは追いやられ、確実に数を消していく。
最後の奴がとうとう死んだ。我々は勝ったのだ。
しかし疑問がある。奴らは結局何者だったのか。
あと気になる事もあった。死んでいった敵は、何故か誰もが理不尽な顔をしていた。まるで嫌々戦争に参加させられたような……
ある日、何処かに居た。
何処なのかは分からない。少なくとも、自分達の文明ではない事は確かだった。
まるで一斉に瞬間移動したかの如く、我々の種族はまるごとその文明に移動していた。
向こうの文明は科学技術こそこちらより劣るものの、種族の姿は我々と似ていた。
突然、変化は起きた。
体が自在に動かなかった。しかし、自分の意思に反して勝手に動いてしまっていた。
我々は突如、移動した先の文明を銃で撃った。砲撃で都市をことごとく破壊し、凄まじいスピードで虐殺していった。
どうして攻撃しているのかは分からない。身体が止まらない。
しかし変化が起きた。
突然、銃が効かなくなった。弾を受けた敵兵士には傷一つ無かった。
逆転が始まった。向こう側の兵器の威力まで底上げされていた。
我々の種族は次第に数を減らしていった。
何故こんな事に……
「ようし、テスト開始だ。妥当な文明を探そう」
そう呟いた人物の目の前には、複数のモニター。
画面をスライドさせ、球体――複雑に入り組んだ海岸線を持つ惑星だ。
数字の羅列が並ぶそれをタップし、別の惑星も探す。建造物が宇宙からも見え、幾らか高度な文明を持っているようだった。
「これが良いな。さて、転送開始」
スクリーンに触れる。すると、隣の画面に先に選んだ文明の俯瞰映像が複数出現した。
そして突然、都市に大量の人間が現れた。後に選んだ文明の人類だ。
「試合開始だ。楽しませてくれ」
モニターの置かれた机にずらりと並んだボタンの内の一つを押した。
ついに始まった。文明の進んだ送られた側がトリガーを引き、一瞬で街を殺伐に変えた。
それからというもの、優れた文明が遅れた文明を追いやるだけだった。先住民側は途轍もない勢いで滅んでいき、負けは時間の問題か。
「ちと可哀想だな。そろそろ使うか」
見かね、別のボタンを押す。変化はすぐに表れた。
劣勢だった側は攻撃を受け付けなくなった。攻撃も数倍に跳ね上がり、形勢逆転。
あっという間に高度な技術を持っていた筈の方は押し返され、とうとう全滅した。
「中々のもんだ。でも威力がイマイチだなあ。もう少しテストを重ねて改良するか。物質のポテンシャルを最大限発揮させるという研究だが、こりゃまだ時間が掛かりそうだ。更にテストを重ねなければ……」