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秋愁とニルヴァーナ

今日の更新分です;w;w;w; 体育祭編と言う名の皮を被った話はまだまだ続きますですよ!

「木立くんって飲み込みが早いのかな?」

「そうなのか? 初めてだから上手く出来ているのか分からないんだ」


 笠木と校庭の隅で天使の温もりを感じながら、俺にしては珍しく真髄に体育に取り組んでいる、逆に言えば笠木は悪魔の温もりを感じてる事になるのだが、そこはどうにか俺を浄化してくれる事を祈ろう。


「私も小学校の頃に一回だけ二人三脚やったんだけど転んでたりモタついたりしてたんだけど、まだ一回も転んでないし木立くんが上手く合わせてるんじゃないかなと思って」

「俺は空気だから空気を読むのも必然的に上手いんじゃないか? それか笠木が、小学校の事を比べて運動能力が格段に向上したか、その時の相手が藤木田みたいに運動音痴だった可能性も否めないな」


 そう言いながら、足元に最低限の注意を払い騎馬戦の土台として頑張っているである藤木田の方へ視線を向けると、案の定頼りない土台として機能していた。


「騎馬はまだ安定してないみたいだね、藤木田くんも細いからちょっと心配……」


 まともに運動していなかったからか足腰が平均より弱そうだ、それにしても笠木に心配されるなんて、ここ一週間分の運を使い果たしたな藤木田。一週間はソシャゲのガチャでレアしか当たらないと思っていいだろう。


「しかし中学校と違って義務教育じゃないからなのか、わりとサボってる奴いるな」


 藤木田に目を配らせた途中で最初の俺と同じように地べたに座る生徒や自分の出場する種目とは違う種目に横やりを入れるかの如く猿のように燥ぐ生徒の姿が目に付いた。


「そうだね、自主性を求められるのが義務教育との違いかも」


 俺も人の事を言えた人間ではないが、サボるとの他の生徒へ茶々を入れる行為は雲泥の差があり、半分動物園かな? と内心悪態を吐いていると一人の生徒が他の種目へ横やりを入れる生徒の方へ行き胸倉を掴み持ち上げて何かを怒鳴り散らかしていた。


「誰も止めに入らないんだな、俺も行かないけど」


 誰も止めないのも正直納得できる。怒鳴られてる方の生徒の体格は普通だ、しかし怒鳴り散らかす生徒の体格は日本の成人男性の体格を凌駕している。アメリカンサイズの恵体である。

 そんな人間且つ陽キャグループの一人である池田を止めに入るのは同じ陽キャグループじゃなきゃ避けたいところだろ。

 笠木の方を見ると、笠木も止めたいとは思っているのだろうが相手が池田なだけに少し戸惑った様子だった。

 流石に女子に暴力は振るわないだろうが、あれだけ周りに配慮せず激怒している池田を笠木が止めに入るなら俺も着き添おうかと思う。

 少し怖いが……いや、滅茶苦茶怖いわ。笠木が止めに入るのを俺は止める、そうしよう。


 そんな事を考えていると、池田の方へ向かう生徒が一人、指定ジャージすらもカスタマイズを施しているのかオシャレに着こなす姿は流石としか言いようがない。

 ケバ子は、場を取り持つように中間に立って池田を宥めつつ、遊んでいた猿にも注意を促しているようだった。

 あれだけの度胸とコミュニケーション能力があるなら将来は保育士とか向いてると思う、今度進言してみよう。

 その光景を見てかサボっていた他の生徒も釘を刺されたくないのか自主練に取り組む様子が見受けられた。


「田中が収めたみたいだな、アイツ勉強以外なら何でも出来るんじゃないか?」


 俺より全然主人公してるとか悔しいッ! それにしても池田は普段から寝てるイメージしか無かったから大人しそうに見えたが俺の想像とは随分違う性格みたいだ。


「……綾香は本当に凄いよね、ねぇ木立くん」

「ん?」

「木立くんは別に好きな人がいるって言ってたけど綾香に惹かれたりはしないのかな?」


 もちろん惹かれる部分はあるが、笠木が言っているのは憧れでは無く、恋愛の部分の話だろう。

 正直に言うと恋愛的な意味についても、惹かれないという事は無いが、それでも俺は……。


「恋愛的な意味では惹かれない、何でそんな事聞くんだ?」


 笠木が言い淀んでいるところを見ると、嘘を含ませる為の間か、言いづらい内容なのだろう。


「……その、木立くんが綾香の事を本気で好きになったのなら、私たちの問題は直ぐにでも解決するからかな?」

「そうだな、ただ不誠実は新たな亀裂を生む事になるだろうし俺は身を持って体験しているからな、今のところ笠木の言う結果にはならないと思うぞ」

「そっか……ありがとう」


 笠木も人間だ。

 エンジェルなんて俺は形容しているが、それは偶像である。俺がそうしたように笠木も楽な道を考えてしまうのだ。もしかしたら夏祭りで俺を止めた事を後悔している可能性だってある。

 笠木が俺を止めたように、俺も笠木の不誠実な考えを切り捨てる。

 俺達は罪を共有する、後悔は日に日に増えていくばかりだ。解決するのが先か、罪の重さに耐えきれなくなって潰されてしまうのが先か。

 今は未だ見ぬ理想郷があると信じるしか無い。

最後までみていただきありがとうございましたのです!!

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