秋愁を担う後遺症
こんばんは! 今日でGW最終日ですが、皆様楽しんでいただけたでしょうか? 幕間含む投稿等で、普段よりも多く作品にて皆様との交流を行わせていただければと思った投稿頻度をしておりました。
今日も遅い投稿時間ですが、楽しんでいただけたら幸いウーマンです! ワッサーー>、<
また、皆様のおかげで長く日間ランキングに居させていただけたり、恐らく初の月間ランキングに作品を載せてもらえました。本当にありがとうございます!
一週間の中で最も気怠く中途半端な水曜日の六時限目、この日の六時限目はホームルームとなっており、実質五時限目までの授業と俺の頭は認識していたが、六時限目に担任の佐々木が出張らずクラス委員長兼陽キャの田辺が教卓に立つ姿が見受けられた。
担任を押し退けてまで教卓に居座る愛に感服する、と脳内で一人皮肉めいた冗談を呟いていると田辺は教卓に両手を付きクラス内に向けて話始めた。
「それじゃあササセンから、体育祭の種目決め任されちゃったから、よろしくぅ!」
ケバ子が登校中に体育祭の話題を出してきたのは、今日のホームルームで種目を決める事から話題を提供してきたのだろう。やはり陽キャはトレンドに敏感だ。
俺もアニメやラノベのトレンドには敏感だから勝負は引き分けって事でいいだろう。
それにしても、田辺のやりたい事は何となく察するが言葉に様々な要素が足りなく感じるのは俺だけなのだろうか?
すると、キョロ充兼副委員長の高橋が手元でプリントを確認しながら黒板に体育祭の種目を書き連ねていく。
徒競走やリレーは定番として、俺の中学校に存在しなかった種目で言うと二人三脚がこの高校には存在していた。
二人三脚……青春ラブコメ物のアニメで俺は見た事がある、いつもは主人公とそりが合わないツンツンしたヒロインが何故か主人公と二人三脚に選ばれてしまう。
お互いに野次を飛ばしながらも最終的に練習や主人公アンドヒロイン補正にて優勝をもぎ取ったり、途中まではいい展開なのにヒロインが足を挫いて優勝は逃すが、なんやかんやで主人公にデレてしまったりと。
現実では定番では無いかもしれないが、青春ラブコメ物では定番と言えるイベントの一つだ。
俺も例外に漏れず、もちろん憧れはするし妄想もする。
だが……他人とまともに会話すら出来ない俺が、二人三脚? 笑わせてくれる。この体育祭にて、俺の役目は最低限文句を言われないくらいに自分の種目を遂行する事である。
その為、複数人を必要とする種目では無く一人で行える種目が望ましい、だとしたら徒競走だろうか?
疲れるというデメリットはあるが、俺は足が遅いわけでもないからある程度の順位は取れるだろう。何より徒競走は人気が無い事から挙手したら参加できるようなものだ。
しかし、徒競走という足の速さを求められ注目される種目に先陣を切って乗り込むと期待される可能性がある。
そのため、あえて俺は挙手をしない選択を取らせてもらう。どうせ後から余った生徒の受け皿として機能するのだから、俺はこのホームルームの時間黙っていればいいのだ。
俺の考え通り、黒板に書かれている種目が人気順に赤いチョークで消されるのを眺めるだけとなっていた。
俺は怠そうに頬杖を付きながら眺めていると、教卓で喋り続ける田辺とは裏腹に暇そうな高橋と目線が合う。
他の陽キャや生徒相手だと目を逸らしてしまう俺なのだが、キョロ充の高橋が相手だと負けた気がするので俺は瞬きをせずに高橋と目を合わせ続けた。
俺は高橋の顔が、悪い笑顔で歪むのを見逃さなかったが時すでに遅し。
「おい、木立ぇ! 二人三脚とかどうよぉ? 一枠空いてっけど!」
「ん……え?」
クソッ! やりやがったなキョロ充!
このままでは俺が最も警戒している方へと話が進んでしまう、高橋の策略通り進むと厄介な事になる。苦肉の策だが、徒競走に自ら席を置かなければならない。
「いや、俺は徒競走へ――」
「綾香もまだ決まってねぇし丁度いいんじゃね? なぁ?」
俺の言葉を遮り、高橋は田辺に同意を求めるように話しかける。
「圭太マジで孔明じゃね? めっちゃアリじゃん、採用すんべ!」
いや、採用か不採用か決めるのは俺の権利である、そして結果は不採用だ。
しかし本当に不味い展開だ。宿泊研修以降ではあるがケバ子と俺を茶化すのが風物詩となっていた陽キャ界隈では俺の夏祭りの失策によって、茶化すどころか全面的に応援するムードになっている。
そして青春の中心の方にいる陽キャが、その空気を作るとどうなるか?
田辺の賛同という風を受けた高橋は田辺に代わって教卓の前に立ちクラスへ向けて発信する。
「なぁ! みんなどうよ? よくね?」
よくねえええぇぇぇよ! 俺の気持ち考えた事あんのか、人の皮を被った悪魔が!
……いや、俺の気持ちを考えた上での発言であり悪意では無く善意と言っていい程だ。
そもそも俺がこの状況を作り出してしまったようなものだからな。
……しかしだ、俺の方を見てチャンスだぜ! みたいにウィンクをしている高橋と田辺を見ていると殺意しか湧いてこないのは何故だろうか?
高橋の拡散された言葉によって、クラス中が賛同とも取れる声を空気に混ぜていく。
第二の当事者であるケバ子の方を確認すると拒否する素振りは一切せずに、アタシは構わないけどと言いたげな態度で俺の方をチラ見している。
さて、ここまでくるとどうしようもない。
二人三脚へ出るとしてもケバ子からの告白や、あの日の追及だけは避けないといけないが、非常に難しいと思う。
自分が蒔いた種ながら効果抜群だ、一時的に不登校でも決め込もうかと実用性の無いアイディアを頭に浮かべていると。
「わ、私! 二人三脚出たいかな……」
弱々しいながらも、隣の席の彼女は教室の空気に亀裂を入れた。
他人の顔色を伺い誰にでも優しい八方美人で、敵を作らないように空気を読み続ける彼女。
そんな彼女はクラスの空気と対立するように、俺の共犯者として俺の横に並び立つのであった。
最後まで見ていただきありがとうございました!
そういえば、最近のなろう界隈では後書き土下座なるものが流行ってるそうでしたので、私も調べて実物を確認してきました。
土下座という言葉の意味は分かりませんでしたが、そういう風に読者の皆様からのアクションを貰っているのですね。と勉強になりました。
では明日の更新もありますが、連休明けなのもあり、疲れていたら更新日とか無視しちゃって、お暇な時間に見ていただけると幸いです!
でははではは!




