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秋愁とOSO団

定例の21時更新になります!

日々閲覧からブクマやポイント評価や感想等までありがとうございます;w;すごく励みになっております!楽しんでいただけたら幸いマンです!

 体育館で行われていた部活を背に向け、再び校内を闊歩して二階への階段を昇っていた。

 俺が藤木田が次にどの部活動を見に行くのかを知らないので聞いてみることにした。


「運動部はもういいのか?」

「そもそも体育館の使用権の事情で男子バレー部と女子バスケ部しか活動しておりませんでしたからな」

「柔道部とか空手部には興味ないのか?」

「創作物としてなら好きなのですが、格闘とは理解しながらも暴力的に見えましてなあまり好きではないのですぞ、それに球技系のスポーツと比べるといささか青春偏差値が低い気がしましてな」


 藤木田は俺らの中では最も辛い中学生活を送っているだけに、格闘という分野が持つ暴力的な要素が苦手なのは納得できる。

 正直、俺も苦手だ。体格が小さかった事もあり、名も知らん奴にプロレスのような技を掛けられたりした経験くらいはある。あの手の人間は、格闘に興味があるくせに階級差を意識しないところに苦手意識を持っている。


「そんじゃ次は何部に行くんだ?」


 俺の問いかけに藤木田はニヤリと笑みを浮かべるが、そういうキャラではないので似合っていないので止めてほしい。


「ふっ……言わなくてもいい、俺にはもう分かっている」


 黒川は藤木田の表情だけで何部を見学しに行くのか断定出来たらしい。

 君ら夏休みの間に絆深めすぎじゃない? 疎外感が半端ないんだけど……。行かないけど声だけ頼むから掛けてくれ。陰キャは寂しいと死んじゃうんだぞ。


「んじゃ、俺も着くまでに予想してみるから言わんでいい」

「もちろん木立氏も興味がある分野になりますぞ! 楽しみにしててくだされ!」


 藤木田の満ち溢れる自信を信頼し俺は脳で、これから行く部活を想像してみる事にした。

 第一条件としては、藤木田と俺が興味を持っている、そして黒川の反応から察するに黒川自身も満更ではない分野という事になる。

 第二条件としては、校庭や体育館といった施設から離れて校内に存在する部活、文化系の部活である。

 だとしたら……アニメやライトノベルを扱う二次元系統の部活である事が分かる。しかし、この学校にそんな部活があると聞いた事はない。

 大穴……前提条件の大半を無視するが、俺が興味のある事はもう一つ存在する。


 笠木部という笠木コンテンツに囲まれた部活でも存在するのだろうか? いや流石にないわ、うん。


 俺が考え込んでいると目的地は案外近くにあったようで、藤木田はとある場所で足を止めた。


「ここですぞ!」


 教室名を表すプレートには【図書室】と記載されている。それ以外の何物でもない。


「図書室で活動する部活なんてあるのか? 聞いた事ないぞ」

「厳密には部活ではないですな! 同好会という言葉をご存知ですかな?」


 同好会、確か部活動と認められる条件をクリア出来ない部活動もどきに与えられる名称だったと記憶しているが、図書室を使う同好会? 確かにこの学校には、同好会では無いにしろ文芸部が存在する。

 だが、図書室とは別の活動場所を設けていたはずだ。


「言葉だけなら知っているが、何の同好会なんだ?」

「OSO団……という言葉を耳にした事はございませんかな?」


 藤木田は何やら意味深に話し雰囲気を作っているが、普通にパクリでしかない。

 SFまたはセカイ系と呼称されるジャンルに属する某有名ライトノベルに登場する活動団体の名称をイジっただけである。


「これ半分くらいパクリだろ」


 考えようによっては、この情報を知っている生徒が作った同好会であるのだから俺の興味を引くという話で嘘は無いな。


「やはり、木立氏も気付いておられましたか! いやはや苦労して活動場所を調べた甲斐がありましたな!」

「ちなみにOSO団の意味については調べているのか?」

「もちろんですぞ! Oはオタクが、Sは生産性の無い活動をする為の、最後のOは大橋による。という意味になっておりますぞ」


 オタクによる生産性の無い活動をする為の大橋による団……ただの消費豚でしかない、間違ってないんだけども響きが汚いから、もう少しだけ取り繕うべきだと俺は思う。


「まぁ……見学するだけな、黒川行くぞって……顔凄い事になってんぞ」


 先ほどから存在が消えている黒川の方へ振り向くと黒川はこの世に絶望したような表情をしていた。

 そんな黒川は口をプルプルと痙攣したように動かしていた。


「俺は……俺はこんなの求めちゃいない、狂っている……」

「この場に置いて狂ってるのはお前しかいないはずだが」

「俺と木立と藤木田が興味がある部活なんて……FPS部だと思うに決まっているだろ! ふざけるな! クソッ! クソッ!」


 ここまで取り乱す黒川なんて初めて見た、非常に新鮮である。

 むしろ、何故FPSだと思ったのか俺には不思議だ、FPSは人をここまで狂わせてしまうゲームだったのか。


「まぁまぁ黒川氏、別に二次元コンテンツに興味が無いわけでもないですし中には黒川氏と同様にウドンプレイヤーもいるかも知れませぬぞ」


 黒川は藤木田の言葉に身体を一瞬反応させると、息を整えていつも通りの表情に戻っていた。


「すまない、取り乱した。」

「いつもの事で気にしてないから安心しろよ」

「俺が間違っていた……」


 黒川は何やら悟ったように俯き言葉を放つのだった。


「OSO団にFPSプレイヤーがいなかったら作ればいいだけの話だ」


 生産性のない消費豚同好会とFPSプレイヤーを生産しようとする黒川の戦いが始まるのだろうか?

 黒川という狂人の思考を読み理解しようとする事がそもそも間違いなのだと俺はこの日気付くのであった。

最後まで見ていただきありがとうございました。!!!!!に!!!!

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