秋愁とロックバンドの悩み
皆さまGWにも関わらず見ていただきありがとうございます;w;
いかがお過ごしでしょうか?
私も実家の方に帰省しておりますが、同級生や知り合いに会いたくないので引き籠る生活をしておりますです('ω')
そんな半分自己軟禁状態にある私ですが気が滅入るでもなく、むしろ良好とも言える精神状態で執筆しております!
ではでは!
「それで、何部を見に行くんだ? 軽音部か?」
「木立氏! よくぞご存知で、エスパーですかな?」
エスパーも何も、あれだけ表紙が広めの本を広げていたらアピールしてるもんじゃねーか。それにしても軽音部か……確かに一般的な部活動のイメージはスポーツだが俺も軽音部という存在に憧れなかった青春を送ってきたわけではない。
それこそ文化祭というステージでのバンド演奏なんてテンプレ中のテンプレであり青春を体現していると言っても過言ではないだろう。
陰キャ陽キャ問わずに、憧れない学生の方が異端であるとまで言える。俺も例外に漏れず、学生にとっては武道館ライブよりも魅力的に映る光景に目を奪われたのは中学一年生の秋、文化祭であった。
軽音部ではなく、有志によるバンド演奏の時間が俺の中学校には設けられステージでは青春を煌めかせる生徒達に皆注目していた。
そして文化祭から数日間は放課後に存在した教室の掃除の時間、箒をギター代わりにエアバンドする陽キャ候補生の宮本とその一味の姿が注目を集めていた。
今思うと何が面白いのか分からないし逆に恥ずかしいまであるが、当時の俺はその姿ですら羨ましいと思った。
そしてある日、掃除の時間に何気なく俺は箒を握り、教室の隅っこの方で箒をギターに見立てて腕を動かし脳内では文化祭の光景が繰り広げながら一人楽しんでいると……
『おい、お前ちょっとこっちこいよ、俺がお前をプロデュースしてやる』
『ふぇ?』
背後から俺に声を掛けてきたのは宮本だった。察しの悪い俺は宮本が何をするのか分からなかったが、宮本に導かれるように、俺は本来教卓が置いてある位置まで連れていかれた。
何も分からず棒立ちの俺は、オロオロしているだけだったが、直ぐにその答えは宮本の口から発された。
『おい、お前らライブすんぞおおおぉぉぉ!』
宮本の発言によって、クラス中が思っていただろう。
バカの宮本が何かしようとしていると。そして続々と集まる掃除中のクラスメイトだけではなく、廊下で駄弁っていた他のクラスの生徒までが集まってきていた。
一年二組の教室は一分後にはキャパオーバーとなり、そこら辺のアマチュアバンドのライブハウスなんか比じゃないくらいの観客で溢れていた。
『え……?』
『これから……あーコイツのソロライブ開催すんぞおおぉぉ!』
宮本の鼓舞する姿にクラス中が雰囲気で盛り上がる中、クラス中がコイツ誰? となっている表情を俺は忘れない。
『み、宮本くん、その……』
『いいって、気にすんな! やりたかったんだろ?』
宮本は親指をグッと立て、青春アピールをしていたがそうじゃない。
あの時の宮本に悪意があったわけじゃないとは思う。一人で注目を集める俺、そして冷ややかな視線を送られる俺。
誰も幸せにならないライブが開催された結果、十数秒で俺は視線に耐え切れずゲロライブを開催する事となった。
あの時の悲鳴、いや……歓声を俺は忘れる事はない。思えば俺の中学生活の初ゲロはあの日だったと思う……。
「木立、どうした? 顔が真っ青だぞ、吐きそうなのか?」
「もしや軽音部に何かトラウマがあるのではないですかな?」
「も、問題ない……俺は強くなったからな」
「持病のドモりが出ているではありませんか……そもそも何と戦っているのですかな?」
俺も様々な過程を経て、強靭な精神を手に入れたんだ。それに夏祭りの笠木にボロクソ言われた時に比べるとマシだろ、もちろん帰った後に吐いた。
「俺の事はいい。それで軽音部、見に行きたいんだろ?」
「ですぞ! 某もお茶会してたまに演奏して文化祭にライブ出たいのですぞ!」
「そうか、んじゃ着いていくから案内してくれ」
まぁ……そんな部活動はファンタジーの世界でしか存在しないんだけどな。
廊下で駄弁る生徒達や放課後の部活動の筋トレに勤しむ生徒を避け、いくつか階段を昇っていると吹奏楽部の音に紛れて歪んだエレキギターの音が聞こえてきていた。
「おぉ、練習してるみたいじゃん、良かったな」
「演奏を聞かせてもらえそうですな! いやはや楽しみでございますぞ!」
「ロックとFPSは親和性がある、動画サイトに投稿されているFPSの動画のBGMは大体ロックが流れている事が多い、その理由を解明する鍵になるかもしれん」
本当にヤベーなコイツ、全ての事柄をFPSに関連付けするつもりかよ。
黒川の発言を他所に俺達は、第二音楽室の扉をノックするが、エレキギターの音は止まずに聞こえてないのだろうと判断し扉を開ける事にした。
「失礼しまーす」
中に入ると驚いたのかエレキギターを演奏していた部員が演奏を止め俺達の方に身体を向ける。
「あー、どちらさま?」
「僕、藤木田と申します! 軽音部の見学に伺わせてもらいました」
人見知りのせいなのか知らないが時折、標準語に戻る藤木田とか違和感しかない。
「この時期に珍しいな、俺は部長でリードギター担当の山内だ。よかったら座ってくれ」
部長の山内に言われるがまま俺達はパイプ椅子に腰かける。
「俺は付き添いの木立です」
「アビスアンドサンのマスター兼AR担当のダークリバーだ」
なんで対抗意識燃やしてんの? まったく畑違うんだけど。
「えっと……外バン組んでる感じ? ARってなんだろ?」
ほらみろ! 真面目に悩んでんじゃねーか。このままだと話が拗れる。
「あーすいません、コイツ気が狂ってるんで気にしないでください」
「狂っているか……ふっ」
嬉しそうな顔をする黒川を放置して話を進めさせてもらおう。
「それで、そこにいる藤木田が軽音部に興味あって活動内容とかそういうのあったら聞かせてもらえませんか?」
「よろしくお願いします!」
藤木田が頭を下げると部長の山内は切り替えたように話を始める。
「活動内容は、近場で言うと文化祭でのライブを目標としてるぞ 後は大会とかへの応募をする事もあるだろうし、学外のライブハウスで演奏したいとも思ってるね」
何やら言い方がおかしいが、基本は学際に出るって事でいいだろうか? 藤木田も察しが良いので何やら山内の言葉に首を傾げていた。
「質問いいでしょうか?」
「あぁ、いいよ。何でも聞いてくれ!」
藤木田は遠回しに濁すように山内へ質問を投げかける?
「現在部員は何名いらっしゃるのでしょうか?」
「俺を含めて四人いるぞ」
「それぞれのパートが気になるのですが教えていただいてもよろしいでしょうか?」
山内は二回目の藤木田の問いかけに目線を泳がせながらも部長としての責務を果たす。
「……ギターが、四人」
山内の言葉を皮切りに、俺達は当り障りの無い会話をして第二音楽室を後にするのだった。
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