秋愁のプロローグ
三章プロローグです;w;
俺は考えるのだ。
今期のアニメや、ラノベの新刊という話ではなく、夏における俺の行動について。
陰キャのテンプレなんて自称出来ないくらいに行動的でまるでギャルゲの主人公に取りつかれたかのように太陽を目指すかの如く、勇往邁進。
まだ一月も経過していないのに懐かしむように、そして早くも俺の中では黒歴史と化している事も。
あれだけ、自己暗示して結果的に失敗とか……ああああぁぁ! 恥ずかしい!
そして珍しく休み時間に自席で女性用ファッション雑誌を読む笠木を横目で見ると、トラウマが芽生えたかのように『木立君は、ヒーローにでもなったつもりだったのかな?』という俺の一番痛いところを突く台詞を思い出して身震いする。
他の人に言われただけなら、マシだったろう。 俺のヒロインである笠木に言われた事で大ダメージ且つ特殊効果で火傷を負わされたようにズキズキと継続ダメージを与えてきている。
「木立くん、何か用かな?」
笠木は机に置かれた雑誌から目を離さないまま俺の視線に対する疑問をぶつけてくる。
そう、笠木に俺のフェイクスリーピング改が通用しなくなっているのだ。
フェイクスリーピングは最早笠木の前には意味を持たない、ただの気持ち悪い陰キャが寝てる振りをしているだけに過ぎなかった。
「いや……悪い、特に用事は無いんだが、たまたま目線が、な」
「……そっか」
あのトラウマの夏祭り以降、笠木に嘘を吐いてもバレるという強迫観念じみた感覚が脳に植え付けられていて出来る限りだが、正直に答えるようにしている。
笠木は美人でスタイルも申し分なく二次元に存在していたら正統派ヒロイン枠を満場一致で獲得するだろう。 マジで可愛い!
しかしだ……そう思っているのに俺は笠木に恐怖を抱いているのだ、ヒロインに恐怖の感情を抱くとか俺に青春ラブコメをする資格があるのだろうか? と最近思う様になってきていた。
俺が中身の無い思考を張り巡らせていると笠木は気にする素振りもせずに、机に置かれた雑誌のページを捲っていく。
結果的にケバ子の件も後回しにしてしまったと同義、そして笠木が宿泊研修以降、俺に抱いていたであろう僅かな好感度は大暴落して入学当初よりも状況が悪い。
トゥルーエンドを迎えるように努めたい気持ちではあるが、俺はヒーローではないし主人公ですらない。
しかし、このまま平行線で日々を浪費するわけにもいかず頭を悩ませる事しか出来ていない。
「近いうちに時間空けておいてね」
「んあ?」
気が抜けていたのか、偏差値三十くらいの頭しか無さそうな返事をしてしまった。これは酷いと思ったがこの雰囲気を打開するにはいい方向へ作用したようで笠木は口元に手を宛がい笑いを堪えるような仕草を見せる、そこから雰囲気を元に戻す為か、わざとらしく背筋を伸ばして頬を抑えて矯正するかのようにしている。
「笑いたきゃ笑っていいと思うぞ、今のは俺が悪いし笑われても妥当な返答だったしな」
「私は怒ってるから笑ってないもん!」
その返答で、やはり笠木はあの時から俺に対して怒りの感情を抱いていた事が明確になる。
「俺が軽率なのは悪かったって……」
ここで笠木はようやく雑誌を見ていた顔を俺の方へ向けて対話をしてくる。
「木立くんは私が何に対して怒ってるか本当に理解してる?」
「色々あるんだろうけど一番大きいのは、俺が田中に、その……」
笠木は俺の言葉が煮え切らない事に怒りを示したかのように言葉を遮る。
「……次は?」
「えっと……共犯者である笠木を頼らなかった事」
「最後!」
え? 何これ? 羞恥処刑?
「俺が自分をないがしろにした事……ですかね?」
「そう! そこが一番大事だって私は思うの」
恐怖というトラウマは受け付けられているが、笠木は結局優しいのだ。
俺みたいなクソムシの気持ちですら気に掛ける。そういう部分が好きであり俺の嫌いな部分にもなっていた。
笠木は優しいから俺みたいな考えは出来ないし好かないのだろう。逆に言えば、俺にはそれが手に入らない物を意地でも強請る子供のような考えに映るのだ。
しかし、そんな彼女の俺とは相容れない性格の一面を見て、尚更笠木に惹かれる俺がいるのも事実だ。
好きになる思いが強くなれば俺が抱えている問題は解決しにくくなる、難易度が上がる事になるのも分かっている、だから俺はヤレヤレ系主人公に倣って一人心の中で呟くのだ。
俺の青春一巡目の秋は憂鬱である。
二章に引き続き三章が直ぐにスタートしました;w;w;w;
最後まで見ていただきありがとうございました!




