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変夏のエピローグ

二章はこれで完結です;w;

 夏祭りから日々は流れて新学期が始まった。

 あの夏祭りで何か変わったかと聞かれたら、変わっていない事の方が少なく俺は回答に困る事だろう。

 藤木田と黒川との友情は変わらずに存在する、俺のブラフが下手くそなせいか藤木田は何か察したように妙に余所余所しい時があるが、失敗をわざわざ人に語るような真似はしたくない。


 また、ケバ子は新学期によるイメチェンと称して、俺とプールへ行った時の化粧を思わせるかのように派手さは鳴りを潜めながらもクラス内での評判は上々のようだ。

 そして宿泊研修後よりも俺の様子を気にする頻度が高くなっている。


 陽キャグループは進歩をしないのか、到達点なのか知らないが、教卓を愛でるように集う姿はもう様式美と言っても過言ではない、むしろその姿を見ないと一日の始まりが物足りないまである。


「でさ~木立のヤツがさ、夏祭りでよぉ――」

「ちょ! 高橋! 声デカイからぁ」

「あっれ~綾香照れてんじゃん、木立呼んで尋問すんべ!」


 止めろ、陰キャは目立つ事を極端に嫌うんだ。まぁフェイクスリーピングの精度を上げた俺が呼びかけに応じる事はないけどな。

 しかし流石、陽キャだ。《KIZUNA》は相変わらず健在で、今はそのスタンダードな姿が俺の心を落ち着かせる。

 ケバ子はあれ以来、何通かメッセージを飛ばして俺の予定を確認してきたが一切返信は出来ていない。


 そして俺と笠木はと言うと……。


 普段通り、夏休み前と変わらない様子である。と他者は判断するだろう。

 しかし、笠木は夏祭り以降、俺を軽蔑する目で見ているし一切話しかけてくる様子は無かった。


 予鈴が鳴り、夏休みの話題が話足りないのか陽キャ問わず、クラスメイトは席に着く様子は無かったが、一人だけ規則正しく予鈴の意味を理解しているのか自席へ座るために、机の間を縫うように歩く生徒がいる。

 彼女は俺の隣の席へ座り数秒後に話しかけてくる。

 

「寝たふりしてるでしょ? 木立くん」


 え? 精度の向上したフェイクスリーピングがバレてる!? そんなわけないし。

 今は笠木と会話するのが怖いので俺は聞いていない振りを継続する。


「そのままでいいから聞いてて。全部押し付けちゃってごめんね」


 俺は無言のまま顔を伏せ続ける。


「ただ、私も一緒に考えたいの、だからちゃんと私を必要として」


 笠木は俺の返答が無い事を確認すると続けて言葉を放つ。


「悔しかったし、悲しかったかな、やっぱり私はまだ外見しか変われてないんだって」


 『そんな事は無い!』なんて言える訳が無かった。結果的に俺は一人で全てを片づけるヒーローになろうとしていたのだから。


「私達で考えなくちゃダメだと思うの、もしどうにもならなかったら二人で謝ろ? そうすれば私も木立くんも一人ぼっちにはならないでしょ?」


 顔は見えていないけども、笠木はあの時の目や表情と違い微笑んでいるのだろうと思う。

 そして、俺の行動や考えが如何に配慮が足りず、情けなかったのかを思わされてしまう。


 笠木の過去は未だに笠木の中でトラウマとして残っている。

 そして一度肯定した笠木の変化を否定する行動をした俺。

 最後には自分自身を否定してしまった。


 言葉にしなくても分かる。笠木が求めているのは、トゥルーエンドだ。

 俺が諦めた創作の世界でしか見る事の出来ない、最高のエンディング。


 それを現実に求めるなんて無謀過ぎる。

 しかしだ……憧れた主人公にはなれない俺でも足掻く権利くらいはある。

 何度だって間違えるし、失敗する、俺みたいなのが手に入れようとする事すら本当は烏滸がましいくらいだってのも十分に分かっている。


 それでも俺は……青春ラブコメを諦めたくないし、君の物語の主人公で在りたい。



  【第二章 青春ラブコメの主人公には程遠い 了】

一章のように明るく終わるラストにはなりませんでしたが、読んでいただきありがとうございます;w;

全てに置いて目的を達成出来ていない木立の成長をこれからも見守っていただけると幸いです;w;

三章ありまぁす!

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