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変夏と眼球

お待たせいたしました><

21時更新分となります! 皆様のおかげで現在まだランキングにいる状況となっており嬉しいです、語彙力の無さから嬉しい、楽しい、ありがとう以外の選択肢が使えないようになっているのが心苦しいですが、見ていただけたら幸いですのです!

ケバ子の後を追い、ウォータースライダーの階段を駆け上がる俺だったが、危機に直面している。


 例え話をしよう……中学校の頃、廊下ですれ違った小山君の身長が思ったより高かった事、教室でいつも知識豊富そうにバスケのウンチクを語っていたバスケ部所属の池田君のバスケが思っていたよりも下手くそだった事。

 自身が思っている事と事実は異なる事が多々あるのが人生である、再度言わせてもらおう、俺はその危機に直面している。

 俺は水が程よく流れるパイプを半分にしたような地獄へのロードから目を離せずにいた、思っていたよりも高いのだ……。


「アンタ、もしかして苦手だったりする?」


 ケバ子は俺の様子を察したように苦笑いをしながら俺の心情を伺ってくる。しかしだ、陰キャの俺にもプライドという物は存在するのだ。

 この状況で俺一人だったならば恥も外聞も気にせず無言で俺の後ろにある階段から何事も無かったかのように降りて行っただろう。

 しかし……今は違う。ケバ子と言えど俺は女性と共にいる状態なのだ。怖いからと言って逃げられる状況じゃない。


「……別に、平気だし」

「いやいや、それ言ってる奴で本当に平気な奴とか見た事ないかんね、アタシは滑るけどアンタ下で待ってなよ」


 ケバ子は俺を気遣っての発言なのだろうが、そう言われると癪に障り俺の中の天邪鬼が顔を出す。終わってみればどうって事はないはずだ、そうなのだ、そうだよな?


「お客様、どうなされますか?」


 あまりに時間をかけ過ぎたのか痺れを切らした係員が声を掛けてくる、陰訳しよう。


『後ろがつっかえてんだから早く逝け』


 あぁ、言う通り逝ってやる! 覚悟を決めた俺はウォータースライダーの方に移動すると、そのままズルッと足を滑らせてしまう。


「お、ちょっ!」

「あっ!」


 抵抗する暇も無く地獄行きのレールに乗っかってしまった。俺はこの日、産声を上げて以来、初めての絶叫を体験したのだと思う。


 あんな落ち方をしたので当たり前だが、心臓が跳ねた感触を最後に喜怒哀楽という感情を他所に俺は揺さぶられ気付いた時には水中に投げ出されていた。

 急いで顔を出すとウォータースライダーは既に滑り終わっていて、頂上からはケバ子が手を振っていた。

 俺は未だに心臓がバスドラムのように鼓動しながらも、俺は大丈夫だ。と言わんばかりにケバ子へ無事を知らせるように片手を力無く上げた。


 程なくしてケバ子もウォータースライダーを滑り切って、俺とは真逆にいい笑顔をしながら帰ってくる。


「やっぱプールの醍醐味ってこれっしょ! それにしてもアンタの落ち方はないわ~」

「ち、違う! あれは……そのだな……」


 ダメだ、どんな言葉を紡いでも、あの落ち方だけは擁護のしようがない。自分でも分かるくらいに無様でしか無かった。

 そして普通にプールを楽しんでいるならともかく、視線の元凶……何処かで俺を監視している藤木田と黒川に知られてしまったのがマズイ、あいつらにネタを提供する事になるとは思わなかった。


「はいはい、でも終わってみたら案外呆気ないもんしょ?」


 ケバ子の言う通り、終わってみると大した事では無かった。あれだけ変な落ち方をしたにも関わらず問題ないという事は安全面はそれなりに保証されている事の裏付けである。

 流石に二度目を滑る機会があるならば、さっきのような展開にはならないだろうと思う。


「そうだな、次は楽しめる……とは言い切れないけどな」


 俺の言葉を聞いたケバ子はニヤリと嫌な笑みを浮かべる。


「んじゃ、次はアレね!」


 そう言ってケバ子が指さすのは通常のウォータースライダーの隣にある、ゴムボートを滑らせるタイプのウォータースライダーだった。


「……マジ?」

「マジ、つかアレならウチも一緒だし平気っしょ?」

「ひ、ひとりでも平気だし……だし」

「じゃあ二人ならもっと平気って事でボート借りにいくよ」


 ケバ子は相変わらず先導し、プールという陽キャの王国を存分に楽しんでいるようだった。まぁツマラナイ顔をされるよりはよっぽどマシで来た甲斐はあると俺は思うのであった。


 その後にプールを堪能した俺とケバ子は館内で昼食を取る為に、それぞれ更衣室へ一度戻っていた。

 そしてタオルで軽く濡れた髪を乾かしながらスマホをチェックするとメッセージが届いていた。

 俺にメッセージを送る奴は二人しかいない、憎らしい眼鏡と長髪の姿が脳内でイメージされる。恐らく俺を嘲笑う内容に違いないとメッセージを開くが……。


「……は?」


【藤木田:黒川氏に付き合ってもらい、サマービュッフェを初体験ですぞ! 木立氏は田中女史とのデートいかがですかな?】


 藤木田からのメッセージは、この施設にいるとは思えない内容であった。何より藤木田と黒川が写っている写真が添付されていた事で、俺の頭には疑問符と得体の知れない恐怖が湧き上がっていた。

最後まで見ていただきありがとうございました!二章は四月中に完結いたしますので楽しんでみていただけたら幸いでございます!

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