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変夏と動き出す青春さん

 夏休みまで残り一日……終業式の日。

 教室では毎日飽きもせず夏休みの予定について話す生徒の姿が見受けられる。

 かく言う俺も夏休みの話こそ頻繁にはしないが、夏休みの到来を待ち望んでいる……とは言い難い状況であった。

 ケバ子への誤解を解かなければ色々と前に進めない状況で八方塞がりという言葉が似合う。

 ここ数日は尾を引かない解決方法を考えているが、良いアイディアが浮かばず正直に勘違いであると言うしかなかったのだ。

 俺は休み時間もそんな事を考えていたが藤木田と黒川以外に相談出来る相手がいない事と青春に慣れていない俺の頭脳では解決策が全く思い浮かばない。

 しかし、自分で蒔いたような問題なので誰かの手を借りるわけにもいかないと思っていた。


 そして俺は今日も後頭部を軽くペシンと叩かれ話しかけられる。


「アンタ絶対にプールぶっちすんなよ」


 ケバ子は恒例の如く俺に挨拶とも取れる暴力を振るい夏休みの予定の念押しをしてくる。まったく俺がそんな不誠実な人間に見えるのだろうか? いや、実際風邪を引いた事にする案も出なかった事はない。


「も、もちろんだ」

「ドモってんじゃん、ハァ……」


 ケバ子は俺に呆れたような仕草をしつつ答える。


「まぁ、急病とかなら仕方ないとは思うけどアタシだってプール結構楽しみにしてんだから体調管理気を付けなよ」


 その一言を残しケバ子は定位置である教卓前へ引き返していく。ケバ子は純粋に楽しみなのもあるが俺が普段より暗い雰囲気を纏っていたのが理由で様子を伺いにきたのだろう。本当に悪い奴じゃないんだよな……などと考えていると、ふいに声を掛けられる。


「木立くん、何か悩み事?」


 珍しく教卓へは行かず笠木は自席で呼んでいたであろう文庫本にしおりを挟み俺の方を向いて話しかけてくる。


「いや、悩みでもないけど……いや悩みだな」


 笠木に心配をかけまいと俺は素直に答える。ケバ子にもこのくらい素直に勘違いと言えたらいいのだが、俺の中では別物の話なのであった。


「私でよかったら聞くよ! 宿泊研修でお世話になったしね!」


 笠木は恩を返したいのか張り切った様子と声色で俺に悩み事を言うのだ! と言わんばかりに求めてくる。

 しかしだ……その悩みの種である本人に話せるわけがない。


「悩みではあるが夏バテに近いんだ……こう覇気がでないというか、な」

「確かに夏バテ? に近いのかも最近よく難しそうな顔してるもんね」


 最近よく難しそうな顔してる……という事は、俺が笠木ウォッチングをするように笠木も木立ウォッチングをしているという事ではないだろうか?

 もしかしてワンチャンあり? いや待て、こんな青春ジェットコースターに俺はもう引っかからない、俺だって成長しているのだ。


「あー大丈夫、自分でなんとか出来ると思う、うん」


 俺は笠木の手を借りないと意思表示をするが笠木には伝わってなかったようで、笠木はズイズイと距離を詰めてくる。


「ここで話しづらかったら放課後に待ち合わせしよっか? やっぱり私じゃ頼りないかな?」


 こんなん乗るしかないだろ、笠木と放課後デートと同義だろ。クッソかわいい! という感情と共に

陽キャやリア充は普段こんなやり取りしてるのかよと誰も得しない敵意すら湧いてくる。


「いや助かる。えっと、じゃあ放課後で……」

「かしこまり! エヘヘ……ちょっと恥ずかしいね」


 正直話す内容なんて物はないが、無理やりにでも話題を作ろう。一番いいのが笠木本人に誤解を伝える事ではあるが、それを言ってしまうと俺が笠木を好きだと言う事が笠木本人にバレてしまう。

 あの時は宿泊研修マジックで行動出来ていたが、今はそんなアビリティはない。

 

 一先ずは通知表や返却物が返ってくるのを待ちながら笠木と過ごす放課後を待つとしよう。

ブクマや評価が増えて嬉しいのです;w; さんきゅサンキュなのですよ!

また明日をお楽しみになのです!

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