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変夏とダンジョンマスター

「どうしましたか? 木立氏」

「その話、俺は聞いていない……」


 俺の言葉を聞き藤木田は目が泳ぐ。


「そ、そうでございましたか、そんな時もありますぞ! グループラインでも告知はまだされておりませんしな」

「忘れていた、俺は陰キャだ、これが当たり前だ。」


 口ではこう言ってもやはり気分的には落ちる、行く行かないとは別として俺は誘ってほしいのだ。

 陰キャは目立つのは嫌いだし主導権を握る事も無く、自発的に行動をしない。

 しかし誘ってほしいのだ、存在を認識してほしいし。なんなら高橋のイジリが恋しいまである。


「というか木立氏、本当に誰からも誘われていないのですか?」


 藤木田の言葉で俺は深くない浅い記憶を思い出す、あまり人と接点が無いため浅い記憶を掘り起こすくらいでサルベージは完了する。

 そこで数日前の会話を思い出す。


『だ か ら! 夏休みにアンタを……さ、誘うって言ってんの、感謝しなよ!』


「あっ……多分誘われてたわ、ケバ子に」

「そうでしたか、それは良かったですな! 田中女史も見た目からはイメージし辛いですが結構優しい方ではないかと某は踏んでおりましてな!」


 あれは俺だけを誘う為の言葉ではなくクラスイベントについての話だったか、陰キャだから勘違いしちゃったじゃねーか、それにしても長期間に渡る青春ジェットコースターを初めて味わったな、こういうパターンもあるのな。


「それではそろそろ四階に着きますぞ!」

「あぁ、後は先導してくれ」


 俺と藤木田は四階に到着した、藤木田も初めて訪れる場所なので各階に設置されている案内図を確認していると……。


「あれ?アンタ何してんの?」


 見知った女性の声がする、いつもなら背中か頭への衝撃が先にくるのだが、今日は声からの登場であった。


「ケ……田中こそ何でここにいるんだ? ここ男の為の階だろ」

「いやアタシそこのショップでバイトしてっから」


 ケバ子は、エスカレーターの近くのショップを指で案内する。


「本来休みの日に労働か、さすが陽キャ」

「陽キャとかカンケーねーよ、いつお金なんて必要になるか分からないっしょ? だからバイトくらい当たり前」


 え? 頭がパリピってるだけの存在かと思ってたが、俺より未来への見通しがちゃんとしてる。宿泊研修での高橋の言葉が脳でリピートされる。


「それでアンタ達は何してんの?」

「藤木田が、ファッションに興味を持ってな」

「某も年頃なもので、フヘ………」


 相手が女性だと恥ずかしがるなんて、どれだけ成長しても相変わらず陰キャでいてくれる藤木田を内心褒めたたえる。


「ふーん、それで狙ってるアイテムとかあんの?」

「アイテム……? ここマジでダンジョンなのか?」

「は?」

「木立氏、違いますぞ。某が狙っている服や小物とかを総称してアイテムと言ってるのでございますぞ」


 ヤダッ! 恥ずかしい……陰キャにあるまじき無知を晒すハメになってしまった、ここがまとめサイトのコメント欄ならブラウザバックして逃げてるまである。


「木立さー……アンタも少しは勉強しなよ」


 何故だろう、今日はグサグサ刺される回数が多いぞ、慣れてるからティウンティウンする事はないけど。


「善処する……」

「その言葉はしない人の常套句ですぞ」


 こうして陰キャと陽キャを仲間にした勇者藤木田のリア充化計画がスタートするのであった。

土曜なので一件のみです>< ちなみに昨日の更新分に追記する形で更新してますですのよ>、<

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