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変夏のプロローグ

 俺は考えるのだ。


 異世界に召喚されて異能の力を得てヒロインや世界を救うニート、ドMかと思われる自己犠牲によって問題を解決してヒロインの心を掴んで離さないぼっち、オンラインゲームに閉じ込められても比較的冷静で俺TUEEEが可能なひきこもり、スライムをレベルカンストするまで殺し続けるサイコパス、実はチートレベルの力を隠しながら平凡を自称する自虐風自慢主人公。


 そんなスーパースターと言ってもいい主人公が二次元に溢れている中、三次元でフェイクスリーピングをしながら教室を見回している俺は一体何なのだろうと。

 

 オンラインゲーム中毒で朝から一度も起きずに青春に中指を立てるように過ごす生徒、イジられないようにラノベにブックカバーを付けて読むがブックカバーも二次元仕様で防御力皆無の盾を装備する生徒、相変わらず教卓の前を拠点として活動し続ける円卓の騎士一同。


 春と何も変わらず日々は流れていた。


 予鈴が鳴り、もうすぐ昼休みが終わり五時限目の教科担当が教室へやってくる、教卓を中心に青春の花を咲かす陽キャに対して口頭で注意を促うながし授業が開始される。


 そして俺はその時間を待ち望んでいる。


 フェイクスリーピングを解除し俺は必要な教科書やノートを机に揃えていく。

 窓際最後尾の自席へ向かい一人の女生徒がトコトコと歩いてくる、彼女もまた五時限目で使用するであろう教材を机に揃えていく。


「木立くん起きた?いつも寝てるね」

「ん……やる事ないからな」

 

 彼女はそんな俺のいつも通りの返答を聞きクスッと微笑むのであった。

 そして青春の一幕を感じさせるやり取りを堪能していた俺だったが、不意に後頭部に軽い衝撃が走る。


「もっとシャキっとしな!背筋も伸ばしな!」


 俺の頭を平手で叩いた女生徒の指示通りに俺は目元を擦り背筋を伸ばす。


「ん……それでよし」


 俺の頭を叩いた声の主は満足気な反応をする。

 そんな様子を見ていた窓際最後尾の女生徒、笠木雪は俺の後頭部を叩いた女生徒へ苦言を申すのだった。


「あ、綾香!そんな事しちゃダメでしょ!」


 綾香と呼ばれた生徒は何かおかしい事をしたかと言わんばかりに返答をする。


「コイツはいいんだよ、これくらい気合入れてやらなきゃ」

「さっきまでは木立くんからラインがこないとか恋する乙女みたいな愚痴零してたのに……」


 笠木の言葉に田中綾子ことケバ子は顔を赤らめて即座に反論する。


「ゆ、雪!それ今はいいから!」


 笠木とケバ子のやり取りを見つつ俺は思う。

 前言撤回しよう…春とは少し違う変化を遂げた生活となっているのが現状だ。


 そして俺はこの教室で声を大にして言いたい。


 どうしてこうなった。

第二章の始まりなのです><

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