冬萌のパレード
お久しぶりの更新です! 最近は仕事が忙しかったりTwitterで愛されマスコットキャラをしているので投稿出来ておりません、いやしておりませんでしたが更新になります!
「もっと書けカス」と言いたいそこのアナタ様! ほんっっっとうに!!! 申し訳ございませぬ;w;
特に言い訳とかはないですが、完結まではゆるりと書くのでお暇なときに「あっカス更新してんじゃん」くらいに見ていただけたら幸いでございます!
そして何気なく小説家になろうに投稿してから半年以上経過したという私的イベントがございましたが、今回も前月に引き続き特に何もございません、そして総PV30万間近という事で、私にしては頑張ってるなと賛辞を自分自身にお送りしたい次第でございます。
突破したからと何かメリットがあるわけではないですが、テストで98点より100点の方が嬉しいですよね?
財布に一葉さんより諭吉さんがいた方が嬉しいのと一緒です、数字はあればあるだけ嬉しいものなのです、はい。
まぁ例外はありますけどね。
そしてこのWEB小説界隈でも、私に限らず全作家さんが数字はあるだけ嬉しいのだと思います。
「分かる人だけ見てくれればいいよ」なんて言う作家も存在しますけど、分かる人が大勢いた方が嬉しいに決まってるんです、作家ってのは虚勢を張ってナンボでしょ? って私は思います。
そんな私を含めたうだつの上がらない作家さんの強がりを見かけた時は、私の拙い前書きを思い出してみてください。
そうすれば貴方は昨日の貴方よりも優しくなれているはずです、そして私どもに優しくしていただければwin-winの関係を築き上げる事にも繋がりますね。
久しぶりの前書きでテンションが上がってしまいましたが、そろそろ終わりにしたいと思います。理由は次の更新までにみなさんで考えておいてください。
ではでは
黒川の事前入手した情報通りにクラスイベントは進んでいた。
ちょうど壇上に上げられているサッカー部でイケメンと評判の名前も知らない男子生徒宛てに寄せられた質問を田辺が読み上げている。
照れ隠しながらも男子生徒が質問に答えると、言葉を上手く縫うように高橋が茶々を入れて面白おかしく進行するというパターンであった。
「あのサッカー部はこういった事に慣れてるから進行が上手くいっているようだが、これをガチの陰キャである俺にやってみろ、ドモって場を凍らせる自信があるぞ」
「たしかに木立氏には荷が重いでしょうな……ですが田中女史からの質問しか来ないと分かり切っておりますので多少なり気は楽ではないですかな?」
うん、俺の緊張を解したいという気持ちは伝わってくる。
しかしだ……田中からの質問しか来ないと決めつけるのは早計であると俺は言いたい。
いや、まぁ……事実なんだけれども腑に落ちない。
「藤木田、もしかしたら木立にも隠れたファンがいるかもしれない」
そうだよ、黒川! 俺が求めてるのはそういったフォローだ。陰キャをフォローする要素をよく心がけている、木立ポイントあげちゃおうかな。
期待させすぎず、且つ落ち込ませないようにバランスを重視したナイスフォローである、しかし黒川にこんな気遣いが出来るなんて普段が酷いだけに意外すぎる。
「黒川氏」
「……どうした?」
「顔がニヤついているでありますぞ」
「ふっ……俺なりのジョークだ、言っている時から笑いたくて仕方なかった」
堪えきれずに小声でクスクスと笑い合う藤木田と黒川。腹が立つのが大笑いではなく小声で堪えるように笑っているその姿。
俺には配慮しないのに、こんなクソみたいなクラスイベントに配慮するように笑うなんてブラックジョークにも程がある。
しかし、ここで怒ってはダメだ。もしかしたら俺が怒る事によって完成する笑いなのかも知れない。だったら俺は冷静に怒らないのが正解だ。
そして……この催しが始まってから、既に四人が壇上で公開処刑されている。だとしたら俺に順番が回ってきてもそろそろおかしくはないのだ。
クリスマスのイベントという事もあって、脳内がピンク色に浸食された人間が書いたと思われるアチアチな質問内容に答えて拍手を送られながらも壇上を降りていくサッカー部の例のイケメンの姿を目で追うと、壇上にいる猿が俺の方をニマニマとしつつ目配せをしてきた。
どうやら、次が俺の番らしい。今にもこの体育館を後にしてやりたいが、そうはいかないのだと俺は腹を括る。
「それじゃ次は……木立! 陰キャの木立純一くーん、壇上へどーぞぉ!」
陰キャを誇りある称号のように使わないでもらいたい。称号というより犯罪者の焼印に近いと俺は思う。
分かってはいたものの改めて呼ばれると、心臓の鼓動が早くなったように感じる。
どこぞのラブコメ主人公は『心臓の刻む律動が、秒針の速度を追い越して云々』なんて詩的な表現をしていた気がするが、秒針を追い越すどころかメタル系バンドのライブ定番曲くらいのBPMを心臓が奏でてるし、詩的な表現してる余裕なんてないからね?
俺は無言で壇上へ昇る、処刑台まで一歩づつ足を前に繰り出す死刑囚の気分はこんな感じだろうか? 死んでいないのに死刑囚の気持ちが分かるとかレア体験で心臓が口から出そうだ。
「はいは~い、んじゃ木立くんご案内いたしま~す!」
いや、案内されずとも既に登壇してるし、早く終わらせてくれ。
不意に顔を上げると、体育館中が見渡せてしまった。
俺に全くと言っていいほど興味が無いのか、隣の席の友人と談笑をしているであろう生徒。誰でも構わないのかネタが欲しくてスマホを掲げているゴミクズやとりあえず口笛を吹いて盛り上げたいモブ。
そして……体育館の後方壁際で先程とは打って変わって、笑わずに真剣な目で俺の心配をしている藤木田と黒川。
遠くの席からいつも通り……いや、訂正しよう。
少しだけ落ち着かない様子の笠木。
俺の席の隣……テーブルの上に両手を握り締めて口元をキュッと締めて緊張した様子の田中。
俺より緊張してる奴がいるのが笑えてしまい、自然と笑みが零れているのが自分でも分かる。
高校に入学してから数ヵ月、藤木田以外に俺に興味が無かったであろう人間だらけの牢獄。
そんな中で、こんなにも俺に興味を持った人間がいる事……それが今までに体験のした事のない感覚で緊張よりも気恥ずかしさが勝ってしまい顔を伏せてしまう。
俺がこんな場所に立っていていいのだろうか? そういった自虐的な思考が浸食している脳内の片隅で俺が、俺自身の成長と未来に期待を抱くのは悪なのだろうか?
俺に対する肯定と否定が渦巻く中、田辺から一つ目の質問が投げかけられた。
「んじゃ木立にいくつか質問が届いてて、一つ目は……『アンタは告白したい派? されたい派?』……ってド直球すぎるっしょおおぉぉ! では木立! オネシャスシャス!」
うん、グウの音も出ないくらいにストレートな。
ついでに誰が質問したのか文体から読み取れる言葉遣いで察する事が出来るあたり、俺も彼女の事を少なからず理解出来ているのであろう。
さて、田中に俺は何て返してやろうか?
最後まで読んでいただきありがとうございましたンゴ!




