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秋愁と文化祭の渦中へ

今日の更新です!

「おい! テメェ何撮ってんだよ!?」

「クッソキメーんだけど、前髪なげーし!」

「は? コイツあれじゃない? 四組のヤベーやつ」


 前髪の事は言うなよ……後四組のヤベーやつってなんだよ、それについては俺は知らないぞ、ちょっと気になるじゃねーか。


「いや、動画サイトと蒼い鳥のSNSにアップしてヨイネ! 稼ごうかなと思ってな」


 無論、そんなもの俺はやってない。ムービーはこれ以上笠木に手を出せないようにしてやる為に撮ってるのは本当だ。


「はあぁ~? 意味わかんねーんだけど……マジ最悪、消せよ」

「消すも何も現在進行形で撮ってるからな、止めるって言い方が正しいぞ」


 俺の言い回しに腹が立ったのか取り巻きの一人が俺の手からスマホを奪おうと近づいてくるが、もちろん俺は後ろに下がって避ける。


「逃げんなや! テメー!」


 普通に怖いから凄むの止めてほしい、そんな顔されたら逃げるに決まってんだろ。そんな顔されなくたって逃げるのが俺だけども。


「ここって職員室からそう遠く無いよな? 俺がスマホ持って職員室に駆け込むのとお前らが男の俺から周りにバレないようにスマホを奪うのが先か競争でもしてみるか?」


 どんなバカでも分かるだろ、俺がどれだけ小さく頼りなさそうとは言え、男であるという事は肉体でそれだけアドバンテージがあるのだ、そいつから力づくで奪えるかと言われたら実質無理なのである。

 こういう時に池田のような恵体が羨ましくなる。


「んじゃ、何したら消してくれんのよ?」

「止めなって! コイツ絶対ヤバイの要求してくるって」


 何したらって自分たちのしてる事考えれば分かるだろうに。どれだけ頭が弱いんだコイツら。


「笠木に用があるんだ、ただちに笠木に詰め寄るのを止めろ。それだけで消すぞ」

「マジで消せよ?」

「お前の言い方が気に入らない、消してくださるんですか? って言い直せ。立場弁えろよ」

「クソッ! マジキモイ……ッ! 消してくださるんですか!?」


 言い方の問題じゃない、コイツ普通に怖いわ、うん。もうどうでもいいから早めに終わらせよ。


「あ、あぁ、じゃあとりあえず笠木はクラスに行ってクラスリーダーに指示を仰いでくれ」

「う、うん……わかった! 木立くんはその……」


 そんな顔をしなくても俺なら問題無い、高校入学前はいつだって一人だった。一人で全部やってきたんだ、これくらい俺の人生ではよくある話に過ぎない。


「安心しろ、約束は約束だからな、消したのを確認させてから行く」

「う、うん……!」


 笠木は俺の言葉通り大階段を駆け上っていく。もうこれで後はどうなってもいいのだが、消さないと納得はしないだろう。

 俺は三谷と取り巻きにスマホを見せて録画終了を押して保存された写真をゴミ箱へ移す様を見せつける。


「テメェ今度こんな真似したら分かってんよな?」


 分かってた、消したらこうなるのは分かっていた。まぁ笠木が教室に行った時点で俺の勝利は揺るがない、何で教室へ行かせたのかコイツらには分からないだろう。


「てかコイツさ……田中のお気にじゃね?」

「あっウチもそれ思った!」


 大した省略を出来ないなら、言葉通りに言って欲しいものだ、オキニとか何の隠語だよって思っちゃったじゃねぇか。

 察しの悪い奴でも理解出来たろ、教室に笠木を誘導させた理由が。


「笠木が泣きながら教室に向かったという事はこの後……誰がここに来るか分かるよな?」


 俺の言葉の意味が分からない程のバカじゃない三谷は俺を睨みつけながら、取り巻きを連れ体育館へ向かっていく。

 田中という絶対強者には本当にいつも助けられる、三谷達が勝手に嫌な未来を想像してしまっただけだけども、やはり今度何か返すべきだよな……と財布から小銭を取り出し飲み物を買い大階段を昇る。

 そして最後に聞こえた『前髪切れ』という取り巻きの言葉で俺の心は深く傷ついて幕を下ろした。


 それにしても笠木が何で三谷に詰められていたのか俺は知らないが、どうせ妬みだろうと階段を昇り切ると笠木は、曲がり角で俺の様子を見ていたようだった。


「教室には行かなかったのか?」

「お化け屋敷でお客さんたくさんいるし綾香が心配するから……また助けられちゃったんだね……私」


 危なかった……その綾香姐さんの襲来を期待していたのだが、笠木には伝わらなかったのか。アイツらが、多少察しの悪いバカで助かった、池田レベルのバカだったら完全にアウトだったな。

 しかし、よくよく考えて笠木の立場になれば泣いた顔を見せたくないのは当たり前だろ、笠木は八方美人だから尚更こんな顔を人に見せたくはないだろう。


「問題無い、笠木、時間はあるか?」

「うん……」


 他意は無いが、このまま校内に放置しても仕方ない。本人も教室には戻り辛いだろうし本当に他意は無いよ? うん。


「俺には文化祭の楽しさというのが理解出来なくてな、他意は無いんだが笠木に時間があるなら俺に文化祭の楽しみ方を教授してもらいたい、本当に他意は無い、うん」

「他意は無いのは分かったけど……私も文化祭ってよく分からないから教えられないかも……」

「数学的に考えれば、マイナスとマイナスを足したらそれは更にマイナスになる、だが掛けたらどうだろうか? 俺と笠木という文化祭にマイナスの感情を抱いている人間が掛け合わされたらどうだろう?」


 ……まどろっこしい、俺にそんな遠回しにカッコつけるような言葉は似合わない。別に断られたら前髪のせいにしたらいい、そうだ。俺は前髪が長いしキモイんだよ。


「その顔をした笠木を教室に帰らせようとした俺の判断ミスだ、なので弁解の機会を得たい」

「えっと……文化祭を回るって事でいいのかな?」

「ま、まぁ、はい、そうです」

「じゃあ行こっか……私ももう少し木立くんの事知らなきゃダメみたいだしね」


 悪いな藤木田、黒川……お前らに買うタピオカは売り切れで届けられそうにない。

最後までみていただきありがとうございました!

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