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秋愁とアリスの悩み

本日の更新分になります!!

「笠木は、この学校主催のハロウィンイベントの事は知っているか?」

「うん、大吉達が話してたからなんとなくは知ってるよ、どうかしたの?」


 問題はここだ、藤木田の言っていた内容が本当だとするなら仮装……先ほどまで話題にしていたコスプレを笠木がする可能性があるのだと俺の脳は結論付けた。

 俺は、コスプレには一切の興味が無い、好きでも嫌いでも無くどうでもいい範疇なのだ。


 しかし……笠木がコスプレをするというのならば話は変わってくる。俺の脳内笠木フォルダに新たな一枚を保存したい衝動に駆られる事はもちろん、最近は笠木が視線に鋭い事もあり笠木欠乏症を発病した俺の身体が無意識に笠木を欲しているのだ。

 そのため、陰キャの俺は快適な自室を抜け出してでも笠木が参加するというのならば有志が主催するハロウィンイベントに参加したいと考えている。


「笠木は、その……参加するのか?」


 恐る恐る俺が笠木に参加の有無を問うと、笠木は悩む間も無く答えが決まっているように直ぐに返答をしてきた。


「ううん、参加しないかな」

「そうか……」

「イベントに興味はあるんだけど、クラスだけじゃなくて色んな学年の人も来るみたいだし……みんなも参加しないから私もいいかなって思うの、コスプレして目立つのも怖いし……」


 笠木の言う、みんなとは円卓の騎士連中だろう。アイツらがこういったイベントに参加しないとは意外だったが、笠木が参加しないと判明したならば俺の不参加も確定したな、脳内には申し訳ないが笠木フォルダの更新はまたの機会にしておこう。


「木立くんは参加……しないよね」

「……あぁ、その通りだ」


 流石は元陰キャだ、俺の気持ちがよく分かっている。しかし遠回しに陰キャと言われているようで少し悲しさを覚えてしまう。


 五時限目が終わり、難なく六時限目までギャルゲのような速度で時間をすっ飛ばして放課後になる少し手前、俺のスマホにはロリ子からのメールが届いていた。

 どうやら放課後は、俺が丹念に掃除をしたシクベでの待ち合わせを行うらしい。ロリ子に連れてこられたと言えど、今や俺の聖域に他者を入れたくないが仕方ない。


 放課後になり、俺はシクベの手入れを入念に行っていた、放課後になり教卓で談話を繰り広げるロリ子の姿を確認していた事もあり、此処に来るまでは時間があるだろうと断定していた。

 何やら文化祭で使ったと思われる資材の欠片やらが散乱している状態だが、埃を被っていたくらいだから俺が自発的に処分しても問題はないだろう。

 俺が資材や喫茶店を行ったと思われる看板の整理をしていると、誰かが階段を昇ってくる音がする。


「おっ! いんじゃん、結構待った?」


 案の定、階段を昇ってきたのはロリ子である、待ったかと言われればそれなりに時間が経過している事を手元のスマホで確認する。

 だが、時間で文句を垂れていても仕方ない、さっさと用件を済ませる事にしよう。


「いや、さっき着いた。それで人気の無いところに呼び出すという事は周りにバレたくない内容の相談か?」


 ロリ子はニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべながら階段の残りをゆっくりと昇ってくる。


「わかってんじゃん、相談ってゆーか、オメーに頼み事あんだよね」

「頼み事……? 俺に出来る事はまとめサイトのコメ欄で自分語りを叩く事くらいのものだぞ」

「うっわ……キモ」


 笠木のようにスルーされるのも悲しいが、素直な感情を言われるのも結構ダメージが入る、どっちにしろ自虐ネタはハマらなければ効力はマイナス方向にしかシフトしないって事が分かっただけ良しとしよう。


「それで頼み事の内容を言ってくれ、俺はさっさと家に帰りたいんだ」

「言ってくれって言うなら聞いてくれるって事でしょ? んじゃオメー悪役やれよ」


 は……?


「もう言葉通りの意味だけどオメーにウチを脅してほしいんだわ おけまる?」

「何やら物騒な事に俺を巻き込むな、俺は帰るぞ」


 俺が予想している以上にロリ子の頭はぶっ飛んでる、これまで培ってきた俺の陰キャ経験値が警報ランプを赤く灯している。

 恐らく、肝心の概要はこれから言うつもりだったのだろうが、そんなのを聞いたら逃げられなくなる。平然を装い置いていたスクールバッグを手に持ち階段を急いで降りようとするが……。


 相変わらず体格に見合わない強靭な握力で肩を握りつぶされ俺は膝から崩れるように地べたに座る事となった。


「っ……! お前どんな筋力してんだよ!?」

「オメーがモヤシなだけだろ、とりま話は聞いてけよ……な?」


 これもうお前が悪役じゃねーか、正義の味方の到着はまだかよ。しかし……これは逃げようにも逃げられないのだろうと観念し俺はせめて話だけでも聞く事になるのだった。

 そして、俺がロリ子に作った貸しを清算する時が訪れたという事である。


 成功すると仮定するならば、俺が捧げる対価はクラスでの地位である。元々無いから関係ないんだけど田中や笠木辺りは勘づいてくれる事に期待して俺はロリ子の頼みを引き受ける事になった。

最後まで見ていただきありがとうございます!!!!楽しんでいただけているのか気になる次第でございますます!

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