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秋愁における主人公達

今日の更新分です><地味に体育祭編が長いですが、そろそろ終わりになります!! そして五月から続くラブコメの呪いに対する結末を見届けていただけたら嬉う嬉う!

体育祭編が終わっても三章はまだまだ続きます>< 秋は案外イベントが多いのです!

 笠木に一仕事頼んだ後に、俺は廊下の窓からグラウンドを眺める、作戦決行は午後のタイミングで緊張を解すには適度な時間だと思う。


 笠木は『それだけでいいの?』と鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていたが、俺が欲しいのはきっかけだ、そして今の俺では用意する事が出来ないのも事実。


 共犯者と言えど共犯者らしい事をしたのは最初で最後だと思うと、本当に色々な事が擦れ違っていたと思う。

 俺が笠木と話してる間に藤木田が出場していた借り物競争は終わってしまったが、時間に余裕があるので玉入れや玉転がしといった種目は確認する事が出来た。


 順位として体育祭の貢献に値するかと言えば、獲得ポイントも低く値しないと言えるが、藤木田が何やら楽しそうな雰囲気を出していたので俺の中では良しとしよう。


 そんな中、ほぼ人が来ない体育祭中の廊下に階段を昇る音が響く。人がいない為に反響が大きく、ホラーゲームのような感覚だが気にせず俺は窓の外を眺める。

 意味とか理由とか特に無いが、理由を無理やり付けるなら、こうして一人窓の外を眺めてる姿は俺の中ではカッコイイと思うのが理由だ。


「木立」


 名前を呼ばれ、振り向くと階段を昇ってきた黒川が立っていた。


「どうした?」

「どうしたじゃない、姿が見えないので探しに来た」


 藤木田が多種目に出場して一人になる黒川は暇なのか寂しいのか俺を探しに来たらしい。クラウドさんと話してればいいとは思うのだが、帰ったのだろうか?


「野暮用があって教室に用があったんだよ、んで土埃とか嫌いだし廊下から観戦してただけだ」

「そうか、実はなクラウドさんが弁当を三人分作ってきてくれていてな、良かったらどうだ?」


 んんぅ!? クラウドさんは黒川との距離を詰めようと急接近しているのだろうが、今の俺には甘すぎる、何より当の本人が好意に気付いていないのが俺の殺意の波動を助長させるのだ。

 しかし、三人分用意したとなると手間も掛かっているのだろうし昼飯代も浮くし有り難い。


「じゃあ、ご厚意に預かりご相伴させてもらう。それよりクラウドさんは?」

「流石に校内に入れる訳にはいかないからな、先に場所取りをしてもらっている」


 何から何まで黒川の為に献身的で羨ましいな。黒川というよりクラウドさんに幸あれと俺は願うばかりだ。


 黒川と何気ない会話をしつつも校舎を離れると、スピーカーの割れた音が体育祭午前の部終了のアナウンスを流していた。

 それに伴い午前の最後の種目に参加していた他の参加者の群れから藤木田が駆け寄ってくる。


「いやはや、某も貢献とはいかないまでも貴重な経験をさせてもらいましたぞ!」


 どうやら藤木田は俺の想像していた通り体育祭と言う青春を存分に堪能していたらしい。それにしても藤木田に関しては黒川や俺と違い、高校という舞台の青春に置いて一切の失敗が無い。

 中学までは場所が悪かったというだけで藤木田は陰キャや陽キャというカテゴリを跨げる珍しいタイプなのではないだろうか?


「そして木立氏、先ほどの件はどうなったのですかな?」

「あぁ、とある作戦を決行する事になった」

「先ほどの件とは何だ? 俺に内緒事か……クソッ!」


 何やら熱湯にも近い友情を感じるが、言う機会が無かっただけなのに、こっちが悪い事をした気分になってくる。


「まぁまぁ、黒川氏も今から聞く事になるでしょうし、それで木立氏」

「ん?」

「某達の手助けは必要ですかな?」


 本当に俺の事をよく分かっている、俺がはぐらかさないで喋る事で藤木田は察したのだろう、しかし何やら心情を見透かされているみたいで恥ずかしい気分になる。


「別に必要じゃないな」

「んな!?」


 藤木田は俺の言葉が予想外だったのだろう、安心しろ。

 少しだけ天邪鬼が発動しただけだ。と内心一人で笑ってみるのも有りだが、こちらもご相伴に預かるとしよう。


「しかしだ……壁の厚さによっては手助けがあった方が確実性は増すだろうな、うん」


 わざとらしく青春ラブコメ物の登場人物のように呟く振りをして藤木田と黒川の方へ眼を配らせると呆れたような表情をしつつも満更ではないらしい。


「木立氏、めちゃくちゃ似合いませんな……棒ですぞ」

「何を言う藤木田、木立が素直だと逆に気持ち悪いだろ」


 性格悪いのがデフォみたいに言わないでもらいたい、俺としてはカッコイイと思っていたんだが……。

 それでも、今の俺に必要なのは自力では無い。


 一番必要なのは周囲の力を借りる事だ、どう足掻いても俺一人の力なんぞ知れている。

 どれだけ優秀な個でも有象無象の集団に押しつぶされるなんてこの世の道理だ。

 個人的には好きな方法ではないし、それでも逆境に一人抗う主人公に憧れを抱くのも事実だが、今必要な事ではない。


 五月から続く青春ラブコメの呪いに終止符を打とうではないか。

最後まで見ていただきありがとうございました!

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