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秋愁と蒼天井

今日の更新です>< 最近は何やら生々しいようなドロドロ感が凄かったので、わりとあっさりした目で見れるパートとなっております!

 体育祭当日、生徒代表によるテンプレ通りに選手宣誓という名の偽りタイム始まっていた。恰も参加者代表のように意気揚々と右腕を蒼天井へ向かい垂直に伸ばし誓いの言葉を述べるが、俺はおかしいと思っている。

 スポーツマンシップに乗っ取り正々堂々とか、そもそも俺は同意した覚えが無いしお前が代表だとお前が登壇するまで知らなかった。

 いくら俺がヒール寄りの人間だからと言えど、正々堂々と体育祭に参加しないわけでもないが、こういった細かい部分を内心チクチクと突くのが好きなのだ。我ながら性格は悪いとは思うが陰キャ特有の中毒みたなものだと自分自身納得している。


 体育祭という運動が苦手な生徒にとっては地獄の選手宣誓と体育教師による注意喚起、名前も知らない校長のどうでもいい挨拶を終えて各生徒は自身のクラスの席へと談笑しながら戻っている。


「木立氏、どうされましたかな? 今日の顔はいつもより酷い状態に見えますぞ!」


 朝っぱらから喧嘩売ってんのかコイツ。いや俺の捉え方が卑屈なのもあって嫌な風に聞こえる。藤木田は運動が苦手なわりに地獄と思っていないのか通常の授業日よりもテンションが高く感じる。


「そりゃそうだろ、クラス全体種目に出るのは良いとしても二人三脚が控えてるからな、憂鬱だ」

「やはり昨日の件を引き摺っているのですな……某や黒川氏に相談してくれればいいものを……」


 正直な話、こういった件に関しては藤木田や黒川に相談してどうにかなるとは思えなかったのが理由なのと半分以上は俺が発端なのもあり、相談するのに気が引けるのもあった。


「俺達の方から手を差し伸べないと木立は口を開かない、今後は何か察したら俺と藤木田の方から声を掛ける事にしよう」


 黒川の言葉通り、俺から大事な部分についての相談をする事はこれまで一切無かった。笠木と共犯者になった件についても笠木からの接触だし、昨日のロリ子に関しても同様だ。

 藤木田と黒川の立場から見れば、俺が不明確な部分を抱えている存在だったのだろう。今はそれが不誠実とは思っていないが、今後の俺の課題の一つだ。


「友情の温度高くないか? 嫌じゃないけど多少恐怖を感じるぞ」

「俺も藤木田も、木立とは友人ではあるが恩義を感じている。友を助けるのに理由は必要ない」

「黒川氏! 某は今の台詞感動しましたぞ!」


 何やら、黒川も朝にしては珍しく喋るしテンションが高いが、騙されるな藤木田。

 友を助けるのに理由は必要ない。とか言っておきながら、前置きに恩義を感じている。と言っているんだぞ。理由あるじゃねーか。


「それより黒川が朝からグロい顔してないのは珍しいな、何かあったのか?」

「俺としては不本意だが昨晩クラウドさんがな、いつもなら深夜まで俺と殺戮を繰り広げているのに早めに切り上げてしまってな、ソロプレイも気分が乗らなくて早々に就寝をした」


 相変わらず物騒な物言いだが、体育祭の話が話題として出てクラウドさんなりに黒川の体調を考慮したのだろうか?

 そして、その好意に一切気付かない黒川という鈍感系主人公をそろそろ、どうにかしなくてはと自分の事がありながらも俺は心配していると黒川はジャージのポケットからスマホを取り出し何やら驚いた表情をして周り見渡し始めた。


「どうやら、クラウドさんが見に来てるらしい。暇なのだろうな」


 鈍感系キャラクターも程々にしないと、いつか闇堕ちしたクラウドさんに刺されるのではないだろうか? 藤木田も俺同様に先程までは高かったテンションも落ち着いたかのように死んだ魚の目をして黒川へ視線を送っていた。


「挨拶くらいしてきたらいいんじゃないか、挨拶は基本だぞ、行けよ」

「ですな、さっさと行くべきですぞ、はよですぞ」


 俺と藤木田に追いやられるように黒川は俺達の急変した態度に難を示しながらも保護者席の方へと小走りで駆けていく。

 俺達は黒川の事を思っているからこそ黒川を邪険に扱ったのだ。嫉妬とか甘いイベントに虫歯になりそうだったとかそういうのではない、うん。


「それにしても木立氏はこれからどうするおつもりなのですかな?」

「体育祭ではどうしようもないからな、今日を無難にやり過ごして明日を待つ」


 藤木田が言っているのは、今日の体育祭の過ごし方ではなく笠木や田中の事だろう。正直な話でどうすると言われても、どう動いていいか決めかねているのが現状だ。

 話を聞いてもらえない事には誰も先へは進めないし幸せになれないと考えている。


 無難に営業活動をするかのように地道に田中に話しかけるしかないのだろうか? 昨日のトラウマが蘇り吐き気がしてくるな。一先ずは憂鬱な笠木との二人三脚という地獄へドナドナされるのを待つだけだ。


「それよりも出場種目多いんだからお前こそ今日頑張るべきだ、何種目出るんだ?」

「玉入れと騎馬戦と大玉転がしですな、個人の分ですと借り物競争だけですぞ!」


 これは藤木田の性格上や趣向の問題なのだろう。個人競技よりも複数人での競技が本人の能力や性格上好ましいと判断したと思われる。

 やはり陰キャとは言えど藤木田は前向きなタイプの陰キャだ、そんな藤木田と反して俺は受動的で時間を待つだけとは味気ないとも思う。


 それにしても体育祭は憂鬱だし嫌いだと思っていたが、雲一つない蒼天井の下にいるのは陰鬱な気分に明るめのフィルターを掛けてくれて今の俺には丁度いい。

 こんな日は何一つ問題が起きずにゆっくりと流れてほしいと盛り上がる生徒や友人の姿を見て俺は思うのだった。

最後まで見ていただきありがとうございましんがん!

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