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3-5

今回は会話文回じゃないはず。

あれから数日後。アナベルは馬車に揺られて、王宮にやって来ました。呼び出しです。まぁ、許嫁なのでしょっちゅう呼び出されるので慣れっこです。


やがて馬車が到着すると、馭者から声がかかりました。


「お嬢様、バレーヌ公爵家の馬車が前にございます。」


「構わないわ。隣に停められるのならそこで降ろしてちょうだい。バレーヌ家と仲が悪いのは当主だけの話だから。他に問題があるなら先に行くまで待たなければならないけど。」


「特に問題ありません。このまま停めさせていただきます。」


アナベルの確認を得て、馭者は馬車を停めます。踏み台を置いてもらい、アナベルが馬車から降りると、カトレア嬢が立っていました。


「あら、カトレア様、ごきげんよう。」


「ごきげんよう、アナベル様。クラルティ家の馬車が見えたから、もしかしてと思いましたの。」


「そうでしたの。」


……ちょいと意外ね。様子を見る限り、バレーヌ公爵や夫人はいないし、カトレア様も私みたいに一人で来たみたい。


カトレア嬢がここにいる理由を考えていると、カトレア嬢が提案してきました。


「アナベル様、よろしければ途中まで御一緒に参りませんこと?」


「ええ、よろしいですわね。」


悪くないので、一緒に行くことにした。


王宮の中に入り、進んでいきます。目的地は何回か行ったことがあるので場所はわかるのです。アナベルはカトレア嬢の進行方向が一向に分かれないので、不思議に思いました。


「カトレア様、カトレア様は今日はどのような御用事でいらっしゃったの?」


「殿下方に呼ばれたのよ。アナベル様もそうではなくて?」


「ええ、そうでごさいますわね。」


……目的が一緒だったってことか。殿下方がらみという時点でなんとなく理由がわかってきた気がする。


二人がしずしずと、教養の高さを見せながら仲良く廊下を歩いていると、


「あ!アナベル様ごきげんよう!!」


リリアーヌ嬢が前からかけて来ました。しかも距離が離れているので、大声です。


「すみません、カトレア様。無礼な知り合いに出合ってしまいましたわ。」


「私とアナベル様の仲ですもの、構いませんわ。ただ、彼女のお相手は任せますわよ。」


「もちろんですわ。」


そうやって、リリアーヌ嬢が二人の元につくまでの間に、アナベルはカトレア嬢に詫びました。任せられたということは、リリアーヌ嬢がカトレア嬢に対して何かしでかさないようにしてもらうという、信頼でもあり、脅しでもあるような意味です。


「リリアーヌ嬢ごきげんよう。転ぶと危ないですから、廊下は走っては行けませんわ。」


「お久しぶりです!遠目にアナベル様が見えたので、いてもたってもいられなくて。ずっと会いたかったものですから。」


リリアーヌは両手を合わせて上機嫌で話します。


「そういえば、あなたはどうしてこちらに?」


「はい!ステファン殿下にお会いしに来ましたの。以前、アナベル様にご紹介いただいて、とても素敵な方だったので、お顔を拝見したいと思いましたの。」


……バカ正直ね。ステファンに会いにきたとかバカじゃないの?王子なんだから会いたいって理由で会えるような人間じゃないのに。大体ステファンに会いにくる他の令嬢も、父の仕事についてきたとかそれらしい目的を言って誤魔化すのに。堂々と会いに来たって言ったら格好のネタになって社交界に変な噂流されかねないもの。


「殿下もお忙しいからあまり困らせないようにお気をつけなさい。」


「はい!」


「こちらはバレーヌ公爵家のカトレア様よ。」


「ごきげんよう、カトレア様。アスラン伯爵家のリリアーヌと申しますわ。」


「…ごきげんよう。」


カトレア嬢、笑顔が素晴らしいですが、目の奥が若干曇っています。重厚な仮面で隠していますが、不機嫌な様子です。アナベルにはわかります。だって自分もよくそうなるから。


「ねぇ、あなたはステファンのことが本当に好きね。」


「はい。」


……カトレア様のためにも、早くこの子と別れたいのだけど、その前に確認しておかなくちゃ。


「じゃあ、妃になりたいのね。」


それは許嫁のアナベルにとって大切なことでした。それに、なんだか今ハッキリ聞かなければならない気がしたのです。

そりゃそうだろう、カトレア嬢と周りで立ち聞きしていた人達はそう思いました。


「へ?」


しかし、リリアーヌ嬢は意表を突かれたような顔をして、


「そんなわけないじゃないですか、ステファン殿下は推しですよ?推しとしては大好きだけど、私の場合は恋愛とは別ですもの。」


予想を覆す答えをしました。

1-1に出てきた、リリアーヌの家名と爵位をこちらの都合で少し変えて、使っています。そして彼女の性格も脳内迷子。

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